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2016年2月14日日曜日

なまの舞台をごいっしょに:前進座『切られお富―処女翫浮名横櫛』

神戸演劇鑑賞会2月例会



二月の舞台は、前進座歌舞伎の傑作の登場です。「切られ与三郎」の書き替え狂言で、現代風に言えばパロディにあたります。

与三郎をお富に置き替え、お富の魅力を余すところなく描き切る。歌舞伎では〝悪婆物〟と称される。悪婆とは、文字通りの悪いお婆さんの意味ではない。「自立した男勝りの根性のしっかりした女性のこと」、封建社会の中で〝人間〟として生きようとする女性のことです。

お富は惚れた男にとことん尽くす、一途な心を持つ女性。不義を見破られ、身体中傷だらけにされながらも、男のために、強請ゆすり、かたり、果ては夫まで殺害する。自分で決めたことをやり抜く、歌舞伎版女の一生の物語です。

幕が開くと、安蔵が、手下の者たちと、何やら良くない相談をしている。かねてから、横恋慕をしている赤間の妾・お富への思いを遂げる相談らしい。やがて、四人の手下がお富を引きずってくる。お富は抵抗するが、屈強な男の力には勝てない。助けを求めるお富の声が響き渡る。そこへ、通りかかったのが井筒与三郎。危うい所を助けられる。

だが、お富は、与三郎に以前逢ったことがあった。二転、三転のどんでん返しを繰り返しながら、お富と与三郎の意外な結末が。

黙阿弥の七五調の台詞、歌舞伎独特の言い回しを聞けば、春から縁起がいいわいな。

(小谷博子)

前進座公演『切られお富―処女翫浮名横櫛(むすめごのみうきなのよこぐし)』/作=河竹黙阿弥、補綴=小池章太郎、演出=中橋耕史、出演=河原崎國太郎、藤川矢之輔ほか/①2月26日(金)18時30分②27日(土)13時30分/神戸文化ホール中ホール/会員制(入会時に入会金千円と月会費2カ月前納)、月会費3千5百円(大学生2千円、中高生千円)/☎078・222・8651、Fax078・222・8653

(2016年2月14日付「兵庫民報」掲載)

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