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2016年1月10日日曜日

兵庫生存権裁判:最高裁でのたたかいへ足がかりも


神戸市と尼崎市に住む現在八十一歳以上(最高齢は九十一歳)の生活保護受給者九人(うち一人は控訴後に死去)が両市を相手に、老齢加算の減額・廃止の取り消しを求めた裁判について、大阪高裁は十二月二十五日、神戸地裁に続き、原告らの控訴を棄却する判決を言い渡しました。

控訴審で大阪高裁は、原告と弁護団が、老齢加算廃止の判断過程を明らかにするために求めていた資料提出や証人調べ、原告らの過酷な生活実態を明らかにする原告本人尋問も認めませんでした。

しかし、今回の判決でには、①老齢加算廃止による健康影響を考慮しなければ廃止が違法となる余地がある②厚生労働大臣の裁量権の範囲の逸脱や濫用を判断する上でドイツ連邦憲法裁判所の判断が参考になる③社会権規約の内容として「制度後退禁止」を規定していると解釈し、社会保障制度の後退である老齢加算廃止が法や憲法に違反することになる余地がある―ことを認めています。

原告・弁護団は、これらの判断は、国際人権法の観点から、今後、政府の裁量に一定の歯止めをかけるみちを開くものと評価しています。

すでに同種事件では老齢加算廃止を容認した最高裁判決もありますが、兵庫生存権裁判が明らかにしたこれらの論点について、新たな審理と判断を求めなければならないとして、原告・弁護団は最高裁に上告してたたかうことを表明しています。

(2016年1月10日付「兵庫民報」掲載)

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