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2016年1月24日日曜日

市民にあたたかい神戸市政へ〈3〉:中学校給食(下)

安全・安心な自校調理で中学校給食の再開を(下)

神戸の中学校給食を実現する会 井村弘子

神戸市の中学校給食の問題としてこれまで、「おかずが冷たくおいしくない」「選択制で利用率が四割程度」「栄養教諭が配置されない」などがあげられていました。

全国各地でデリバリー方式から撤退


いま、全国で「民間委託・デリバリー方式」から「親子方式」「自校調理方式」への転換が相次いでいます。厚労省「大量調理施設衛生管理マニュアル」で「一〇℃以下又は六五℃以上の温度管理の配送」が義務付けられていますが、デリバリー方式では六五℃以上での配送が困難。一〇℃以下の「冷たい給食」は、「おいしくない」と生徒の利用率が低迷した結果、食育を推進することができなくなったというのが主な理由です。

姫路市では、年間一億円の費用で利用率一〇%台にとどまり、文科省の「学校給食実施基準」第二条(すべての児童・生徒に対し実施する)に反するとして、「デリバリ―方式」からの撤退の方向を打ち出しました。

神戸市は、政令指定都市では学校数が多く、デリバリー方式を選んだ例が多いとしますが、大阪市(百二十四校)でも、市民の運動で六年かけて「親子方式」への転換が始まりました。

兵庫県内でも、新たに実施を開始・決定した芦屋市は『自校調理方式』を選択し、川西市でも、実施計画の内容・方式は未定ですが「自校調理方式を基本として検討をすすめる」との基本方針を明らかにしています。

「自校調理」への転換市長の決断で可能


神戸市は、「デリバリー方式」採用の根拠の一つに、「経費が安く、すぐに実施できること」をあげていました。しかし、維持管理運営費は、他の方式より「デリバリー方式」の方がかさみます。(表参照)

各方式の年間財政負担(運営期間40年で割戻し)
単位:億円、神戸市教育委員会資料より作成
自校調理 親子 センター デリバリー
初期投資費 3.6 1.6 3.2 0.4
修繕更新費 6.6 2.7 5.6 0.4
運営維持費 16.2 18.6 13.6 18.4
年間経費
26.4 22.9 22.3 19.2

「デリバリー方式」は初期投資が少なくても、「異物混入問題」で明らかになったように、安全・衛生面への設備投資がおざなりにされ、監督指導がゆきわたらない致命的欠陥があります。

「自校調理方式」を選択した場合、初期投資費は約百四十億円かかりますが、市債償還年数二十年で負担すると、年間七億円程度ですみます。どちらの方式をとるかは神戸市の姿勢、市長の決断にかかっています。

また、「デリバリー方式」の準備で、すべての中学校の配膳室の整備が終わっており、これを活用すれば「親子方式」(小学校で調理した給食を近くの中学校に配送する)はすぐできます。

神戸の中学校給食を実現する会は、自校調理方式での給食実施を求める、新たな市長請願署名を開始しています。

憲法二六条が生きる「未来への投資」を


日本国憲法二六条は、「すべて国民は……ひとしく教育を受ける権利を有する」「義務教育は、これを無償とする」と定めています。「会」の代表でもある料理研究家の坂本廣子さんは「食は未来につながり、こどもが変わり、地域全体が変わる。給食は憲法の理念を生かした、未来への投資です」と語っています。

もう一度、署名積み上げ神戸市動かそう


「会」が神戸市全区に結成され五年。九万筆の署名が神戸市を動かし、「給食実施」が決まり、多くの保護者・市民に喜ばれました。

この五年間の運動の中で、よく学び、各地の給食も試食して、運動する側みんなも成長したドラマが山ほどあります。三人の子育て中のAさんは「私は母親のネグレクトで辛い幼児期を過ごしましたが、小中学校に通えたのは『給食』があったからです。中学校給食の運動に参加させてほしい」との手紙を「会」に寄せ、以来、運動に参加しました。

九万筆の署名活動では、運動会、音楽会、夏祭り、PTA役員にも訴えました。新たに始まった署名にも大きな反応が返ってきています。もう一度署名を積み上げて神戸市を動かしましょう。

(2016年1月24日付「兵庫民報」掲載)

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