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2015年10月25日日曜日

発言:津川知久さん(憲法改悪ストップ兵庫県共同センター代表)

国民が自覚高めたたたかい


津川さん

十月のある日、元町を歩くと商店街で顔見知りの店員さんが、「ご苦労様でしたね。毎日のように宣伝されてたいへんでしたね」と声をかけてくれました。「このあとも頑張ってくださいね」と励ましもいただきました。都会のなかで、そんなに親しいわけではない方から、声をかけていただけるようになっていることに、今度のたたかいの成果があらわれていると嬉しくなりました。

この変化は、法案成立後も続いています。

十三日の憲法共同センターの神戸大丸前宣伝では、四十分程度で六十一人から戦争法廃止への署名が寄せられました。宣伝のあいだ中、そこかしこで話し込むという状況が生まれました。

「これは、たいへんだ」「自分にも何かできないか」というような思いで立ち上がり、法案の強行成立後、さらに元気になっている感じがします。

驚いたのは、SEALDsのメンバーらが、最終盤、「賛成議員を落選させよう」というスローガンを掲げたことです。戦争法を定着させないために、どうするかを自分たちで考え、提起する。若者たちのそうした行動に、社会の前進を感じます。日本共産党が、あの徹夜国会のあと、中央委員会を開いて「国民連合政府」を提案しましたが、見事な提案だと思いました。若い人や共産党の提案にわくわくする思いです。

十月三日に憲法共同センターの代表者会議をひらいて、「戦争法廃止」を掲げる運動を提起しました。その後、中央総がかり行動実行委員会が、全国で二千万人署名と強行された十九日の毎月宣伝が提起されました。このこともうけて、兵庫県では百万人の署名を集めようと決めました。

兵庫県の人口は約五百五十万といわれますので、その五分の一近くを集めようということです。来年七月の参院選までに、この署名をやりきれば、県内の政治的な力関係を変えていけます。

このことに正面から取り組みながら、毎月第二火曜日と十九日の宣伝、そしてたたかいで発展してきたブロックごとの交流会議なども開き、来年一月十一日に予定している総会兼決起集会を大きく成功させたいと思っています。

私たちは、安倍第一次内閣当時から、国民が憲法を自分の手にし、社会のすみずみまで生かす社会にしていくことを掲げてきました。今回のたたかいでは、言葉としても難しい「立憲主義」ということがふつうの会話でもでてくるようになりました。戦争法廃止のたたかいは、国民が憲法の値打ちと主権者だという自覚をさらに強め、社会的な力をつくるたたかいでもあると思います。安倍暴走政治を倒して、戦争法廃止の政権を実現すれば、市民革命が初めて日本で起こったといえる状況になるでしょう。

それは、一人ひとりの主権者が国政を担う民主主義の新たな段階をつくることと思います。そのために全力を尽くしていきます。 (

(2015年10月25日付「兵庫民報」掲載)

「戦争法廃止の国民連合政府」をご一緒に―広範な団体・個人と懇談

日本共産党は、戦争法の廃止と、集団的自衛権行使容認閣議決定の撤回のための「国民連合政府」実現を呼びかけ、広範な団体・個人との懇談、対話、街頭宣伝など、取り組みをいっそう強めています。

金田、堀内、森原氏が元町駅前で訴え



日本共産党兵庫県員会は十七日、月例全県いっせい宣伝を行い、元町駅前では、金田峰生参院選挙区予定候補、堀内照文衆院議員、森原健一県後援会長が訴えました。

金田氏は「史上最悪の安倍政権を退場させ、国民の手によって国民の政府をご一緒につくりましょう」と呼びかけました。

党西宮市委員会が医師会など約30団体訪問



日本共産党西宮市委員会は十四日、「戦争法廃止の国民連合政府」の呼びかけのため、西宮市内の医師会、商工会議所、老人クラブ連合会、連合など約三十団体を訪問しました。

いそみ恵子県議と市会議員団を中心に三組で訪問しましたが、訪問先の受け止めは様々で、「役員会で報告したい」、「役員に呼びかけ文を渡したいので六十五部欲しい」などの積極的な団体もあります。ある労働組合では、「戦争法という呼び方はどうかと思う。中国などの心配もある」との意見もありましたが、憲法違反の法律と言う点では一致、最後は「組合の要求文書を持って帰ってください」と打ち解けた雰囲気になりました。
*
十五日には西宮市役所前で昼休み集会を開催、約三十人が集まり、リレートークやコールなどで来庁者や市民に戦争法廃止の国民連合政府実現をアピールしました。
(杉山たかのり=西宮市議)

堀内衆院議員が兵庫県保険医協会と懇談



堀内照文衆院議員と兵庫県委員会は十四日、兵庫県保険医協会の西山裕康理事長ら政策宣伝広報委員会のメンバーと「戦争法(安保法制)廃止の国民連合政府」の提案について懇談しました。

堀内議員は、冒頭、戦争法案廃案を求めて、若者や学者、ママたちとともに医療人も声をあげ、一人ひとりが主権者として立ち上がったことが、最終盤の野党の共闘につながったことを紹介。「提案」は、このたたかいが土台にあるとして、「提案」の三つの内容を報告しました。

保険医協会の加藤擁一副理事長は、「この提案には非常に期待している。廃止するための一点共闘をつみあげ、世論をひろげれば、社会保障を充実させる政府にもつながると思う。世論をつくっていきたい」と語りました。

懇談には、党県委員会から森勇治副委員長、門屋史明党国会議員団兵庫事務所長代理らも同席しました。

(2015年10月25日付「兵庫民報」掲載)

憲法が輝く兵庫県政へ(4):学校予算

今、学ぶ権利が侵されている

兵庫県高等学校教職員組合書記長 梅林真道

県「行革」による兵庫県予算の削減対象は学校予算についても例外ではなく、兵庫県の教育予算は、十年前と比べると一〇%以上も減らされています。それぞれの学校では、教職員だけではなく生徒にも協力を呼びかけながら節約に努めていますが、もうそのような地道な努力で何とかなる限界をはるかに超えています。そのような中でも、教育現場では学校予算削減が「教育の質の低下」につながらないよう、必死になって踏ん張っています。

高教組は、県教育委員会及び県に対し、教育予算の増額と県行革の中止を強く求めてきましたが、その取り組みの一環として、昨年、各学校の協力を得て学校予算調査を行い、六十校から回答が寄せられました。それぞれの学校から寄せられた悲鳴に近い声を幾つか紹介させてもらいます。

「工業高校での実習費が削られ、保護者に負担をお願いしている」「体育館の屋根が錆び、雨漏りしているのに改修の予算が付かない」「消費税が上がり光熱費も上がっているのに、予算はお構いなしに下げられる。せっかくクーラーがついても、電気代がないので使用できない」「夏休み中三十五℃の職員室で仕事をしていた」「授業準備のための消耗品を自腹で買う人が増えてきている」「必要な出張に行くための旅費が出せないと言われた」等々‥‥

総務省の「決算状況」によると、二〇〇一年度を基準とすると、二〇一三年度の教育予算は八六・一%にまで減少しており、特に二〇〇八年度以降は「問答無用」の削減が行われてきたことがわかります(表)。

表 県教育予算決算額の推移
*総務省「決算状況」より作成
年度 総額(千円) 構成比 対01年比
2013 441,138,942 21.3% 86.1%
2012 452,408,433 22.3% 88.3%
2011 464,646,551 21.6% 90.7%
2010 466,387,878 21.0% 91.0%
2009 468,853,526 21.0% 91.5%
2008 483,005,334 24.5% 94.2%
2007 505,230,964 25.4% 98.6%
2006 510,806,584 23.4% 99.7%
2005 502,816,364 19.0% 98.1%
2004 504,257,854 24.1% 98.4%
2003 495,048,420 23.6% 96.6%
2002 493,447,488 24.1% 96.3%
2001 512,517,497 24.7% 100.0%

また、高教組の調査から明らかになったことは、学校予算の内で学校施設・設備の維持管理のための費用はもうこれ以上の削減が難しい段階にきており、いよいよ生徒たちの教育活動に充てるための費用(教育振興費)が大幅に削減される段階に入っているという事実です。

「教育」は「県民サービス」ではありません。憲法第二六条で規定された「国民の権利」です。県教育委員会自身も「ひょうご教育創造プラン」の中で「安全・安心な学習環境の向上」をうたっています。未来の兵庫県を支える若者たちが、よりよい環境で学び、育ち、いつかまた兵庫県を発展させていくことができるように、教育費を大幅に改善していくことが早急に求められています。

(2015年10月25日付「兵庫民報」掲載)

消費税をなくす会第26回総会

消費税10%中止、戦争法廃止に総力を



消費税をなくす兵庫の会は十月十七日、あすてっぷ神戸で第二十六回総会を開催し、各地域・分野から三十七人が参加しました。

金田峰生・常任世話人(国会議員団兵庫事務所長・参院選挙区予定候補)が情勢報告を行い、戦争法案に反対する空前の国民的反対運動の広がりのもと、「戦争法廃止の国民連合政府」実現の呼びかけについて、三点の内容を述べました。さらに、安倍内閣の新「三本の矢」についても、法人税率引き下げ、消費税一九%、社会保障抑制など大企業優先であり、国民不在の展望のない経済政策であることを暴露。世論と運動をさらに高め、増税中止・戦争法廃止のため全力をあげることを表明しました。

常任世話人会の報告提案で、消費税が「最悪の不公平税制」であり、「福祉のため」ではなく、「戦費調達財源」になる危険性があり、消費税大増税・戦争法を許さないよう、「会」の真価を発揮しよう、消費税一〇%中止・戦争法廃止のために草の根からいっそう運動をひろげ総力をあげようと呼びかけました。

議案討議・交流は七人が発言し、「毎月の宣伝行動を行っている会からは、参加者を増やし、中身を知らせ、多くの賛同者を増やすための工夫・努力が必要」、「街から店がなくなり廃業が続いている。消費税が八%になり数百万の消費税を分割納税したこと」、「年金の切り下げ、生保費の削減、軽減税率」についても語られました。

大嶋誠・消費税廃止兵庫各界連絡会事務局長(税理士)から連帯挨拶があり、庄本えつこ県議も参加しました。

藤原紀嘉=消費税をなくす兵庫の会事務局長)

(2015年10月25日付「兵庫民報」掲載)

日本ベトナム友好協会兵庫県連合会が第50回総会

草の根の交流深める



日本ベトナム友好協会兵庫県連合会は十七日、神戸市内で、第五十回総会を開催し、ベトナムからの留学生六人を含む四十人が参加しました。

藤田誠一会長(神戸大学教授)からの開会挨拶に続いて来賓の挨拶が続きました。兵庫県ベトナム人会のヴィ・ティ・オアン副会長、日本ベトナム友好協会本部の坂本恵副理事長、神戸VIETのグェン・バン・クエット会長、アリスト外語学院の西崎悦子理事長からそれぞれ五十周年のお祝いとお礼などが述べられ、日中友好協会からはメッセージが寄せられました。

初めての日越合作映画『ベトナムの風に吹かれて』のプロデューサー・上田義朗氏から「映画製作秘話」と題して、この映画の目的や、製作上の苦労などビデオを上映しながらの話がありました。

長沼幸正事務局長から二〇一四年度活動報告・山根香代子理事長から一五年度活動方針・山本辰也事務局次長から財政報告と予算提案、中村通宏副会長と鳥本敏明常任理事から、「NPO日ベト経済交流センター」の発会式が行われたことが報告され、拍手で採択。新役員が選出されました。

交流ではベトナム人留学生全員が発言、「物価が高い」のに「アルバイトの賃金が安く大変」なこと、「日本の文化や技術などをたくさん学んで帰りたい」そのために「仕事を紹介してほしい」など私費留学の苦労や、それを直接支援している会員の実践も紹介され、草の根の交流を深めました。

*
映画『ベトナムの風に吹かれて』の兵庫での上映は十月三十一日から神戸国際松竹で。監督=大森一樹、出演=松坂慶子ほか。

割り引き前売り券は日ベト協会兵庫県連で扱っています。☎078・612・1999

(2015年10月25日付「兵庫民報」掲載)

ノーモアヒバクシャ近畿訴訟・傍聴記(10/5)

〝中途半端な地裁判決〟の克服掲げ

副島圀義

十月五日の大阪高裁大法廷。ことし一月三十日の地裁判決(四人勝訴・三人敗訴)に対して原告と国の双方が控訴。その一回目の弁論でした。

尾藤廣喜弁護士

「ノーモアヒバクシャ訴訟」は、国が日本被団協と交わした約束を守らなかった結果、被爆者が裁判を起こさざるを得なくなったもの。国の不当性は明らかだ。

集団訴訟以来、司法の場で確立してきたことは「被爆状況とその後の経過を通じて、発病に被爆が相当な原因をなしていることが明らかであれば『原爆症』と認定するべきだ。『被曝線量の立証責任』を被爆者に負わせるのは間違いだ」ということだった。

しかし、地裁判決は「健康に影響した程度の被曝は認めるが、心臓病になるほどの高い被曝とは認められない」と、被爆者に被曝線量の立証責任を負わせる誤りを犯した。この誤りを克服することは、被爆者援護法の立法趣旨を堅持するためにきわめて重要だ(「内部被曝の影響を考慮していない点を含め、地理的範囲及び線量評価の両方において過小評価」と、国を批判もしているが…)。

原告・柴田幸枝さん

五歳の時に長崎で被爆。父に連れられ爆心地付近を五日間歩き回り脱毛・発熱などの急性症状もあり、以後ずっと病気がち。甲状腺機能低下症で原爆症認定を申請したが却下。地裁で勝訴してホッとしたが控訴された。同じように、地裁で勝訴したのに国が控訴、直後に亡くなった武田さんもさぞかし口惜しかったと思う。国の態度を改めさせるためにとことんたたかう。

*
この十月には、二十三日に故梶川一雄さんについての高裁弁論、二十九日に故武田武俊さんについての高裁判決と、裁判が続きます。



(2015年10月25日付「兵庫民報」掲載)

芦屋市で非核平和都市宣言30周年祈念のつどい

二度と同じ苦しみをさせたくない――被爆アオギリに託された思い広げよう


上映前に挨拶する、(左から)中村里美統括プロデューサーと伊藤茂利音楽監督。
ステージ右端は精道小学校で育てられているアオギリの鉢植え。

芦屋市で十七日、非核平和都市宣言三十周年・被爆七十周年非核平和祈念のつどいが開催され、百人を超える市民が参加しました。

主催は芦屋非核平和のつどい実行委員会(幸原久実行委員長)、芦屋市原爆被害者の会(千葉孝子会長)が共催、芦屋市と芦屋市教育委員会、コープこうべ第二地区活動本部が後援しました。

芦屋市議会が全会一致で宣言を決議した二年後の一九八七年十月に市民主体の実行委員会で開催して以降、阪神・淡路大震災後の数年を除く毎年、宣言を記念して開催されています。

今年は被爆アオギリに励まされて被爆証言活動を続けた沼田鈴子さん(故人)をモデルにした映画『アオギリにたくして』の上映がメイン企画です。今年、後援に加わったコープこうべが以前平和事業で寄贈した被爆アオギリの三世がいまも育つ市立精道小学校を会場にして開催しました。

つどいでは、上映に先立って山中健市長からのメッセージが紹介されたあと、映画製作の統括プロデューサーを務めた中村里美さんが講演。「二度と同じ苦しみをさせたくない」という被爆アオギリに託された思いを広げてほしいと訴えました。

参加者からは「最後まで涙、涙でした。戦後生まれですが、感じたことを孫に、友人等に伝えていきたい」「伝えなければでなく、伝えたいと思わせていただいた」などの感想が寄せられました。

平野貞雄=芦屋市議)

(2015年10月25日付「兵庫民報」掲載)

兵庫革新懇が講演会「言論と報道の自由」

読者の声で果たさせよう「社会の公器」としての役割


講演する鈴木健二氏(撮影:長井良弘氏)

兵庫革新懇主催の講演会「言論と報道の自由を守る」が十八日、神戸市長田区のピフレホールで開かれ、三百七十人が参加しました。

ヴァイオリン演奏のあと、前哲夫兵庫革新懇代表世話人が、「戦争法と並行して、国民の知る権利、言論と報道の自由への抑圧が強まっており、これを許してはならない。そのたたかいの一環としてこの講演会を開催した」と開会の挨拶をしました。

講演は小山乃里子さんの司会で進められ、最初に島洋子琉球新報社東京支社報道部長が「沖縄からの報告」を行い、沖縄の経済は決して基地に依存しているわけではないこと――辺野古基地建設反対のオール沖縄の勢力が勝利しているが、もともと新基地反対が沖縄県民の声であったこと――などを紹介。さらに、県民の声を報道している琉球新報や沖縄タイムスをつぶしてしまえ、などという自民党内部の暴言は許されるものではないと強調しました。

鈴木健二城西大学大学院客員教授は、「新聞報道の歴史と責任」をテーマに講演。明治時代以来の戦争で新聞の果たしてきた役割をくわしく振り返り、日本の新聞が権力に弱く、戦争の報道で伸びてきた事実を指摘。新聞の権力への癒着の要因は多々あり、新聞が社会の公器としての役割を果たすためには読者の声の反映が何よりも重要だと語りました。

参加者からは、「沖縄の現状や新聞の実態について深く知ることができた」などの声が多数寄せられました。また、辺野古基地建設反対の支援募金が十三万円余寄せられました。
堤隆二

(2015年10月25日付「兵庫民報」掲載)

基地調査レポート:姫路駐屯地

市街地で火を噴く大砲

田中信一(兵庫県平和委員会)

155mmりゅう弾砲

「ドーン…」「ドーン……」大砲のような地響きする大きな音、いや正に大砲の音である。戦車が、大砲(百五十五㍉りゅう弾砲)が、砲撃命令のもと、鳴り響いています。憲法九条はどこに!

ここは陸上自衛隊姫路駐屯地、平成の大修理が終わり観光客で賑わう姫路城のすぐ北側に位置する第三特科隊の駐屯地です。創立六十四周年記念行事が十八日に開催され、観閲式のあと、戦闘訓練が大観衆の前で繰り広げられました。


駐屯地司令の大津勝利一等陸佐は式辞で、「昭和二十六年警察予備隊として発足以来、今日創立六十四周年を迎えた」「今日、我が国を取り巻く情勢は、さまざまな課題や不安定要因がより先鋭化してきており」「一層厳しさを増してきています」「また、一昨年の国家安全保障戦略及び防衛計画の大綱の閣議決定につづき」「平和安保法制の成立により」「自衛隊の新たな役割や任務が付与されることとなります」「あらゆる事態に切れ目なく対応する訓練が必要になる」と述べました。

一九五一(昭和二十六)年以来、「軍隊を持たないとの憲法」を踏みにじってきた自民党政治。「戦争法」の成立で新たな段階に現場の自衛隊が進もうとしています。

「平和憲法が輝く日本政府の実現を」の決意を新たにしました。

(2015年10月25日付「兵庫民報」掲載)

映画「望郷の鐘」神戸上映決まる!

―国家の大きな噓に再びだまされないために



国家が総力を挙げて作り上げた大きな噓は、いつの時代でも見破る事は容易ではない――

このナレーションで映画は始まります。安倍首相・自公政権が強行可決した「特定秘密保護法」や「戦争法」。しかし、現代を生きる私たちは同じ轍を踏むわけにはいきません。

「だました国、だまされた国民に対する怒りと、悲しみ。国がだまそうとしても、国民がだまされなきゃ戦争にならないの。平和ボケと言われても平和な日本であり続けて欲しい。戦争を知らない若い世代に、ぜひ見て欲しい。そして考えてほしい」と山田火砂子監督は願いを語っています。

映画は、「中国残留日本人孤児」の父と慕われ、日中友好に半生を捧げた山本慈昭(一九〇二~九〇)の生涯を追います。

敗戦間近の一九四五年五月、長野県阿智村の住職で小学校教師を務めていた山本慈昭(内藤剛志)は村から請われて、阿智村満蒙開拓団に教員として同行します。だが、満州に着いて間もなくの八月、突如旧ソ連軍が侵攻し多くの命が奪われます。戦禍を逃れ逃避行の中、慈昭もソ連軍に捕らわれ妻子三人と生き別れます。そしてシベリアに抑留されますが、奇跡的に一九四七年、ただ一人帰国します。

一九七二年日中国交正常化の後、残留日本人孤児の肉親捜しと行方不明の妻子を捜し求める活動を始めます。やがて、その思いは日中政府を動かし、孤児たちの帰国事業につながり、「死んだ」と聞かされていた長女との再会を果たします……。

実行委員会は、戦争法廃止、日本国憲法を守り平和と民主主義を、と願うすべての方に協力を呼びかけ、多くの市民に鑑賞していただくため努めていきます。

主催:映画「山本慈昭『望郷の鐘』満蒙開拓団の落日」神戸地区上映運動実行委員会
日時:12月8日(火)①10時30分、②14時、③18時30分/上映時間は102分間
会場:新長田勤労市民センター別館ピプレホール
制作:現代ぷろだくしょん/監督:山田火砂子/出演:内藤剛志、渡辺梓、常盤貴子ほか
鑑賞券:一般前売り1200円、当日1500円/高校生以下前売り800円、当日1000円
問い合わせ:兵庫県労働組合総連合事務所☎078‐335‐3770

(北川伸一=映画実行委員会事務局・兵庫労連)


(2015年10月25日付「兵庫民報」掲載)

兵庫山河の会「山河」59号より

許すまい怒号のなかの採決でこの国を売るファシストたちを
山下 勇

戦争法夜半に可決のその直後「廃止求める政府」提案
古賀哲夫

戦争は平和装ひやって来る元特攻兵は熱く語りぬ
岸本 守

シールズのラップのコールリズミカル参加した人元気にさせる
鵜尾和代

地図の上国境線を消してみる難民などない我ら地球人
塩谷凉子

夜が更けて寝床で虫の子守歌心地好い音が眠りをさそう
高木庸子

眼鏡かけ計量する昆布七三グラム三月続いた朝の内職
浜野多鶴子

一人ずつ衣替えしてゆく秋日和仲間が増えて街は色めく
大中 肇

スーパーの花売り場にも秋来たるススキ・こすもす店を彩る
古賀悦子

還らざる若き日口惜し戦争の語り部われの言葉は湿る
安武ひろ子

(2015年10月25日付「兵庫民報」掲載)

財界には甘く、国民には辛く


段 重喜

(2015年10月25日付「兵庫民報」掲載)

観感楽学

戦艦「武蔵」の残骸がシブヤン海海底から発見と報道され、ゼロ戦特攻を〝永遠〟とする小説がミリオンセラーという。戦艦の相手、特攻機の突っ込む先も米機動部隊。決して略奪も餓死も慰安所も主題にはならない▼戦艦神話は「宇宙戦艦」にまで拡大再生産されているが、「大和」特攻は沖縄に達せず坊ノ岬沖に沈み、「武蔵」はレイテ作戦に間に合わず撃沈され、「陸奥」は瀬戸内海で自爆、「長門」は燃料キレで敗戦を迎え、戦後米軍の核実験標的艦となる。国民を飢餓状態にまで収奪して建造された戦艦の実像である▼戦艦だけではない。「大和」特攻に随伴した駆逐艦「初霜」は弾雲を巧みに避けて疾走、波間に漂う水兵たちを収容して帰投した。しかし幸運もここまで。練習艦となりわずか二カ月で宮津湾の空襲下沈没、戦後解体まで湾内に突き出た艦首を丹後の長老たちは覚えている▼俗論は「アメリカの物量に負けた」とする。しかし中国・アジア侵略の泥沼がすでに大勢を決していた。そこには略奪、強制連行、強姦、餓死、現地住民と彼我の兵たち百万の犠牲が積み重なっていた。戦後七十年、「武力抑止・国防論」への決別を覚悟した憲法の深淵だ。 (A)

(2015年10月25日付「兵庫民報」掲載)