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2015年10月18日日曜日

発言:吉江仁子さん(明日の自由を守る若手弁護士の会兵庫事務局長/あいおい法律事務所)

国民主権の新しいステージへ

吉江さん

明日の自由を守る若手弁護士の会(あすわか)は憲法改正にかかる情報、とりわけ、自由民主党の「日本国憲法改正草案」の内容と問題点を広く知らせようと二〇一三年一月に結成。あすわか兵庫は同年十月に立ち上げました。


憲法カフェで憲法のお話をしてほしいというご依頼は去年の二月ごろから入るようになって、月二回から四回ぐらい会員が代わる代わる出かけてきました。

日本国憲法は、人も国土も荒廃させた戦争の反省のなかで生まれたものです。だから、「全体主義はあかん」「個人が尊重されなあかん」「平和でないとあかん」と書かれていて、それを国民でなく、国家に対して守るよう求めている――という話をしています。

「個人の尊重」という言葉は硬いですけれど、憲法カフェに来られる人は、今の社会や自分の生活について、「何かおかしい」「これは正しくないじゃないか」と思っているけれども、井戸端会議なんかでは言えず、当たり障りのない話をしていらっしゃるんだな、と感じます。そういう人たちがカフェに来られて、「やっぱり、おかしかったんだよね」「一人ひとりが自由で平等な存在で、尊厳ある個人として生きていきたいという、私の考えでよかったんだ」と元気になって帰って行かれます。

日本国憲法の持っている価値そのものに皆さんが勇気づけられるのだと感じます。

私たち、あすわかとしては、憲法カフェが続けていかれることに希望を感じます。戦争法案の〝おかげ〟で憲法の話をさせていただく機会がものすごく増えました。


「国民主権の国だから、自分たちが政治を選ぶことができるのだ」と思う人が一人でも二人でも増えれば、日本は変わると思ってやってきました。

一昨年十一月以来、月一回続けて来たJR神戸駅前などでの朝宣伝も、雑踏のなかのBGMみたいなものですが、去年の閣議決定が問題になった頃にはポケットティッシュ付きのビラが三十分ほどで八百五十枚はけるなど、反応がすごくよくなりました。

今年夏には、戦争法案廃案を求める署名運動に取り組みました。八月末から九月初めのたった二週間ほどの取り組みでしたが四千人以上の方にご協力頂きました。そのうち二百十三人の個人の方と二十八の団体からはわざわざ郵送して頂きました。

郵送してくださった皆さんに法成立後、九月二十日に発表したあすわか兵庫の声明と報告文を送ったのですが、さらに、そのお返事を頂きました。

「辺境の地のわが村でもこうした署名運動ができたことをうれしく思っています。ウチの小さな畑に『平和』のノボリを立てました……国民主権、民主主義の新しいステージに立つよろこびを与えてくださりありがとう」。読んでいて、本当にうれしくなりました。


戦争法成立後も憲法カフェは続いています。

「なぜ、この戦争法はだめなのか」を聞きたいというご依頼がまだあります。いかに憲法違反なのかや、民意を無視して米国との約束を優先させたことなどを話しています。最後には、「選挙は、『僕たち抜きに、僕たちのことを決めないで』という仕組みです」「国民主権ですから、議員さんとつながっていきましょう。そのために署名をしたり、集会をしたり、そこに議員さんを呼んだり、政党の事務所を訪ねたり……自分で選べるぐらい情報を集めて選挙に行きましょう」と呼びかけています。


違憲の法律がいつまでも国民生活を規律していては困ります。早期に廃止しなければなりません。日本共産党の「戦争法(安保法制)廃止のための国民連合政府」の提案には注目しています。

あすわか兵庫も街頭宣伝、憲法カフェなど、ひきつづき頑張っていきます。 (談)

(2015年10月18日付「兵庫民報」掲載)

金田氏先頭に宣伝、諸団体訪問・懇談:戦争法廃止の国民連合政府をご一緒に


日本共産党県委員会は十一日、毎月行っている東日本大震災メモリアル宣伝を三宮・交通センタービル前で行い、弁士にたった金田峰生党国会議員団兵庫事務所長は、戦争法廃止・立憲主義を取り戻す「国民連合政府」実現を訴えました。

金田氏は、戦争法廃止、立憲主義を取り戻す一点で一致する政党はもちろん、国民の皆さんとつくる政府だと訴え、協力を呼びかけました。「わが党としても、覚悟をきめて提案させていただいております。安倍政権が壊した立憲主義、平和主義、民主主義を取り戻すために、ぜひ、力をあわせましょう」と訴えました。

配布していたリーフも次々とうけとられ、「安倍政権は倒さなあかんな」「頑張ってください」という声も寄せられました。

24日に国会報告・懇談会


九日、金田峰生氏は、十月二十四日に予定している大門みきし参院議員・堀内照文衆院議員の国会報告・懇談会(たちばな職員研修センターで午後二時から)の案内とともに、「国民連合政府」提案リーフをもって、団体を訪問しました。

この日訪問したのは、兵庫県行政書士会、JA兵庫中央会、兵庫県看護協会など八団体です。

日本共産党県委員会は、引き続き「国民連合政府」提案リーフでの訪問や懇談を行います。

労働者後援会は23日に総会


日本共産党兵庫県労働者後援会は十月二十三日、大門みきし参議院議員を迎え総会を開きます。

同後援会事務局は、たたかいの発展、来年の参院選に向けて構えをつくるため、この総会を成功させようと、「戦争法廃止のための国民連合政府」の提案も持ち、金田峰生参院兵庫選挙区予定候補といっしょに、各産別後援会を訪問しました。

どこでも金田峰生さんの訪問に驚くとともに「国民連合政府」提案への共感が表明され、「参院選で定数三になった兵庫県は頑張らないと」との決意が語られました。

ある産別後援会では、「連合労組でも、戦争法案阻止のたたかいでいかに頑張ったかが語られ、廃止への決意も語られている。共同の条件や可能性はある。この提案を職場で広めたい」との声も出されました。

姫路労働者後援会も市内七カ所の企業・職場門前でのリーフ配布を始めました。

兵庫県労働者後援会総会は十月二十三日午後六時から神戸市立婦人会館四階「つばき」で開催。大門みきし参議院議員が講演し、金田峰生兵庫選挙区候補の決意表明もあります。

(2015年10月18日付「兵庫民報」掲載)

「安保法制に反対するママの会」と市議会意見書や国民連合政府提案で懇談

ママの会と懇談する
松本市議(こちら向中央)と門屋氏(左)

日本共産党県委員会は十二日、「安保関連法に反対するママと有志の会@兵庫」(ママと有志の会)と懇談しました。

懇談では、松本のり子神戸市会議員団長が、この間、「ママと有志の会」が神戸市議会に提出した「安保関連法案の慎重審議を求める意見書」提出を求める陳情について報告しました。

松本議員は、「陳情は、総務財政委員会で採択されたが、本会議はこれから。ただ、戦争法が成立しているから、皆さんの意をくんだ内容にかえて提案しようとしています。皆さんの取り組みが議会を動かしています。貴重な取り組みです」と述べました。

日本共産党の「国民連合政府」提案については、門屋史明党国会議員団兵庫事務所長代理が紹介。提案の三つの内容を説明し、「『野党は結束してほしい』との声に応えるのと同時に、立憲主義、民主主義が破壊されている非常事態を打開するために提案させていただきました。皆さんのご意見もぜひ、うかがいたい」と呼びかけました。

「ママの会」のメンバーからは、「『戦争法』という名前にしたのは、ちょっと極端すぎるのではないか」「野党の共同をもう少し早めにいってほしかった」「これを実現させるうえで、私たち市民はどうしたらいいのか」など疑問がだされ、松本、門屋両氏は、「ママの会や若者など、ここまで自らの思いで自主的にたちあがった運動はなかった。そういう点では、皆さんの声を力に、この提案をさせてもらっています。実現させるのも、世論と運動の力がカギ。引き続き、力をあわせましょう」と答えました。

「ママの会」のメンバーは、引き続き、各政党の国会議員とも懇談を行っていきたいと語っています。

(2015年10月18日付「兵庫民報」掲載)

憲法カフェ:安保関連法に反対するママと有志の会@兵庫


「安保関連法に反対するママと有志の会@兵庫」は十月十二日、神戸市灘区の六甲道勤労市民センターで、あすわか兵庫の松田昌明弁護士、野田倫子弁護士を迎えて憲法カフェを開き、子どもも含めて約二十人が集まりました。

*
松田弁護士は、はじめに子どもたちを対象に「憲法紙芝居」を上演。そのあとレジュメにそって立憲主義や日本国憲法、安保関連法や選挙制度について話しました。

質疑応答では、「日本国憲法の主語が『国民』となっているが、在日の方は含まれないのか」「自民党の憲法草案に、なぜ『家族』という項目があるのか」「違憲審査の裁判がなぜできないのか」など熱心に次々と質問が寄せられ、松田、野田両弁護士が丁寧に答えました。

野田弁護士は、「憲法で保障されている自由権のなかでももっとも大事なのは、表現の自由。正しい情報を得て、何が正しいのか判断し、政府にモノをいうことは、侵させてはいけない。しかし特定秘密保護法は、そのことを阻害している。政府の動向をしっかりみていかないといけない」と語りました。

また松田弁護士は、「今回の安保法制は、憲法違反なんだという一点で、理解を広げていくということが大事だと思います。そういう点では、憲法を知るという活動が大事。こうした取り組みも、引き続き広げていきましょう」と呼びかけました。

*
カフェ後のお昼には、メンバーがそれぞれ持ち寄った一品を出しあい、子どもたちと一緒に交流会を行いました。

(2015年10月18日付「兵庫民報」掲載)

憲法が輝く兵庫県政へ(3):借り上げ復興住宅

二十年目の人災を許すな:借上復興住宅からの「違法追い出し」撤回を

借上復興住宅弁護団・弁護士 松山秀樹

阪神・淡路大震災では、住家の全半壊がおよそ二十五万棟、約四十六万世帯でした。自治体には、被災者住民らに対して、早期に恒久住宅を供給することが求められました。ところが、自治体が自ら建設する公営住宅だけではとても被災者の需要に応じることはできず、民間や住宅・都市整備機構(現・UR)から建物を借り上げて、公営住宅扱いで住民に供給したのです。これが「借上復興住宅」であり、今も阪神間に総数約六千戸が存在します。

西宮市役所への抗議行動で発言する
ひょうご震災復興借り上げ住宅協議会の安田秋成代表(右)と
西宮UR借り上げ市営住宅連絡会の松田康雄代表(左)
(9月29日)

これらの借上復興住宅のうち、西宮市の「シティハイツ西宮北口」は借上期限が平成二十七年九月三十日に満了しました。西宮市は、同住宅に入居している被災高齢者を被告として、住居からの強制的な退去と損害賠償を求める訴訟を提起する議案を十二月議会に提案する方針を表明しています。

神戸市の借上復興住宅「キャナルタウンウエスト一~三号棟」は来年一月末に借上期間が満了し、神戸市も一部の例外を除いて、被災高齢者に対して退去強制をする方針を打ち出しています。「追い出し」の理由は、借上期間が満了したからということです。

しかし、誤解してならないのは、借上復興住宅で借上の期限(多くは二十年間)が設定されているのは、URなどと自治体との間の「借上契約」についてだけです。

入居者と自治体との間の「入居契約」は、通常の市営住宅などの公営住宅と同様に「期限の定めのない」借家契約です。ただし、借上復興住宅に入居した場合には、入居者に借上期間(二十年)が満了した時に転居するという条件がつけられている点で、通常の公営住宅と異なるのです。

そして、転居という条件は入居者の住居の安定にとって極めて重大な条件ですから、公営住宅法では、入居者を保護するために、自治体には入居決定時に、入居者に対して「借上期間満了時に転居しなければならない」条件を明確に通知することが義務づけられています(事前通知制度)。

ところが、西宮市は、今回、退去を求めている入居者に対して、入居時に二十年後の退去義務をいっさい通知していませんでした。キャナルタウンウエストの多くの入居者にも神戸市が事前通知をしていなかったことが明らかとなっています。西宮市も神戸市も、被災者に対して「終の棲家」を提供するとして借上復興住宅に入居させていたのです。

自治体自ら事前通知を怠っていながら、入居者に退去を強制することは明らかに違法です。これでは、消費者に重要な事実を告げない悪質な訪問販売などと同じです。しかも、いま退去が強制されようとしている入居者らは通常の借家人と同様に借地借家法に基づき入居した人々ですから、借地借家法で保護されています。民間の借家で「期限がきた」といって家主が退去を求めることができないのと同じです。

このように西宮市や神戸市が借上復興住宅の入居者に退去を強制することは、通知を怠っているという公営住宅法違反と借地借家法違反で二重の意味で違法なのです。

兵庫県弁護士会も、本年七月に意見書を出し、借上期間満了後も、希望する者の継続入居を認めるべきである、と訴えています。

震災を乗り越えて生き抜いてこられた被災高齢者に対して、住居から追い出すことは、健康と生活を脅かす人災に他なりません。二十年目に被災者に再び危機が迫っています。

借上復興住宅弁護団では、継続入居を希望する全ての人の継続入居を認めさせるため全力を挙げる決意です。今、緊急の取り組みとして西宮市が十二月市議会に提出しようとしている「提訴議案」の撤回を求めた署名活動をしています。ご支援をお願いします。

(2015年10月18日付「兵庫民報」掲載)

「中小企業振興条例」:パブリックコメント募集20日まで:10月県議会で制定へ

兵庫県議会で、中小企業振興条例の制定への議論がすすんでいます。

今回、議論が行われた政務調査会長会で、いそみ恵子党政調会長は、他府県で実現している先進的な内容を取り入れ、「小規模企業者にも重点を置くことを明確にした条例に」、「分離分割発注などで中小企業の受注増を」、「金融機関や大企業に、中小企業の振興への役割と配慮を定めるべき」、「知事が条例にもとづく計画をつくる際に、中小企業振興会議を置いて、審議を行う」などの意見を述べ、条例案に盛り込むことを主張しました。

二〇〇二年に日本共産党が独自条例提案

中小企業振興条例については、日本共産党県議団が、二〇〇二年に議案提案権をつかって単独で条例提案を行い、「新しい政策条例が議員提案されるのは二十九年ぶり」(読売新聞)と言われました。

その後、全国的な取り組みもあって、条例制定が相次ぎ、現在三十四道府県にもなっており、兵庫県としても制定することが切望されていました。

今回、政務活動費の問題や、いっせい地方選挙などを経て、県民の「もっと県議会に役割を発揮してほしい」という願いをうけ、各会派の間で条例制定が議論され、議員提案での成立をめざして、県民意見募集(パブリック・コメント)を行うことになりました。応募締め切りは十月二十日です。

パブリックコメント募集案内ページ
http://www.hyogokengikai.jp/iken/iken.html


くりかえし本会議で条例制定を求める

日本共産党はこれまで、本会議質問などで、井戸敏三知事に対して、パナソニックに代表される補助金による大企業誘致頼みの産業施策から転換し、兵庫県に根をはる中小企業をしっかりと支援し、地域経済の活性化のために振興条例を制定するよう、繰り返し求めてきました。

今後の取り組みの重要性

パブリックコメントでしめされている「要綱案」は、他会派も含めて合意された内容で、「中小企業振興会議」など、日本共産党の主張した内容が一部含まれていない点もありますが、県民からの意見を受け、最終案になり、十月議会の最終日に提案される予定となっています。

さらに、条例制定後も、条文を根拠として、兵庫県政に中小企業支援の強化を求める道も開かれます。今後の取り組みも重要となってきます。

(2015年10月18日付「兵庫民報」掲載)

庄本えつこ県議が一般質問

平和、地域経済、地域医療、防災、教育で県民の声代弁し知事に迫る


十月六日、兵庫県議会で、庄本えつこ県議が、はじめての一般質問を行いました。

日米共同指揮所演習(ヤマサクラ)での「国民保護訓練」に参加するな


庄本県議は、秋に伊丹市で予定されている日米共同指揮所演習(ヤマサクラ)が、安保関連法制の成立をうけて、米軍指揮のもと、海外で戦争する訓練になる危険性を指摘。同時に検討されている「国民保護訓練」への参加をしないよう求めました。また、中学生の体験活動(トライやる・ウィーク)として自衛隊はふさわしくないことも強調しました。

井戸知事は、「日米共同演習をどのような形態で行うのかは、防衛に関する事項で、国において適切な対応がなされるべき」と述べ、高井教育長は、「自衛隊も有益な活動場所のひとつ」と、県民の不安の声に背をむけました。

「地域創生」で行政サービス集約の懸念、住宅・店舗リフォーム助成制度の創設を


庄本県議は、兵庫県の「地域創生戦略」案が、行政サービスの集約化につながる懸念があること、平成の大合併や「県行革」による地方事務所の統廃合、県職員の削減によって、県下の地域の衰退を加速させたことに真摯にむきあってこそ、地域の真の再生・創生ができることを指摘し、全国や先進地の例をあげて、「住宅・店舗リフォーム助成事業」の創設を求めました。

井戸知事は、「地域の衰退の要因は、経済的価値や効率を過度に追求して東京一極集中をまねいてきた国土構造が形成されてきたことにある」と述べる一方、自らがすすめた「県行革」の悪影響を認めませんでした。

石井産業労働部長は、「住宅・店舗リフォーム助成は、結果として、中小企業の振興につながる」ことを認めつつ、空き店舗や事業承継など「公共性の高いものに助成」すると答弁しました。

「地域医療構想」で病床削減押し付けか


県が策定をすすめる「地域医療構想」の部会で、病床の四つの機能、二次医療圏ごとの二〇二五年の病床数が西播磨、但馬・丹波、淡路などで大幅に削減する推計が示されました。この数字をもとに病床削減が前提となる計画がつくられることが懸念されています。(十月四日付一面記事参照

庄本県議は、「地域の実情や、救急を担う民間病院の苦労、潜在的な医療需要をまったく考慮していない」と批判し、病床の転換や削減を病院に押しつけないことを強く求めました。

井戸知事は、「地域医療構想は、当初、一方的に病床が削減される計画という不十分な理解が広がっていましたが、その後、医療介護推進基金を活用して、必要とされる医療提供機能を確保する仕組み」「国が一定の削減を求めている、慢性期病床については、在宅医療の充実が前提」と答弁しました。

津波による尼崎の河川堤防被害について


庄本県議は、尼崎のゼロメートル地帯での津波遡上による河川堤防の被害について、兵庫県が行った詳細調査(静的解析)を県議会ではじめて明らかにしました。三カ所の調査のうちのひとつである左門殿川では、縦と横に約九十センチも堤防がずれ、隙間があくほどの被害をうけると指摘。河川から浸水しないとする県当局に対し、「浸水想定や予測を上回る沈下もある。河口から六キロで三カ所のごく限られた調査地点」と批判して、箇所を増やしたさらなる調査を求めました。

また、大阪側がインターネットで調査結果や専門家を含めた委員会資料を公開していることに比べ、「兵庫県は一度も根拠資料をしめして、住民に説明したことはない」と追及。調査結果などの公開と住民説明を求めましたが、田中県土整備部長は、「念のための調査。検討委員会で複数の学識経験者から妥当の意見」と述べ、住民への説明も「インフラ整備計画にわかりやすく記載」しているので、必要ないとの姿勢を示しました。

三十五人学級・少人数学級の拡大


庄本県議は、「兵庫県の教職員の勤務時間は小中とも全国平均以上で、多忙と答えたのは小学校九七・七%、中学校九四・六%」という県教育委員会の勤務実態調査をとりあげ、少人数学級を教員の増員で実現し、多忙化解消、教育条件改善を求めました。

特に、安倍自公政権が、「費用対効果」などと少人数学級への移行をストップしているもとで、兵庫県の姿勢が重要になっています。

高井県教育長は、「文部科学省の折衝の行方を見守っていく」「国で必要な措置を講じるべきもの」「ひきつづき、教員の負担軽減を図り、教育の質を高めるために、定数改善計画の策定を強く要望」と答弁しました。

(2015年10月18日付「兵庫民報」掲載)

病床削減計画から地域医療守ろう:加古川で学習会

加古川市の「二つの市民病院の存続と充実を求める会」は、地域医療を守るため病院中期計画に関する学習会を十月六日、加古川市人権文化センターで開きました。

講師に招かれた自治体問題研究機構専門委員の今西清氏は、「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律」により全国で四十三万床もの削減が狙われており、東播磨圏域では現在一千六百四十五床ある慢性期病床を二〇二五年には二八%減の一千百八十五床にまで削減する計画を県がすすめようとしていることを報告しました。(十月四日付一面記事参照

地域の受け入れ態勢ができていないのに、病院から地域・家庭での〝金のかからない介護〟へと振り替えさせようとしていると今西氏は批判し、今後は新公立病院改革ガイドライン「公立病院改革の推進について」(三月三十一日発表)の内容をより詳しく研究し、市民が声をあげる必要があると強調しました。
(岸本たてき=加古川市議)

(2015年10月18日付「兵庫民報」掲載)

地域医療と芦屋病院を守る運動が再スタート

総会学習会で医療崩壊と戦争法の関係学ぶ


「地域医療と芦屋病院を守る市民の会(芦屋病院を守る会)」が総会・記念講演会を十月十一日、芦屋市内で開催。四十人あまりの参加者が医療制度研究会副理事長の本田宏さんの講演(写真)を聴き、目下進行中の医療崩壊政策に立ち向かう気持ちを共有しました。

「芦屋病院を守る会」は地域医療と芦屋病院をまもるため七年間活動を続けてきました。今後は「あたたかく民主的な市政をめざす芦屋市民の会」に再合流して、その活動を継承発展させることとなりました。

講演は、運動の再スタートにあたって〝医療崩壊と戦争法の切っても切れない関係〟をしっかり学ぼうと企画されたものです。

参加者からは、「お医者さんの数が少ないとは驚きでした」「軽妙な先生のトークにすいこまれながら、日本の危機をわかりやすく理解できました」「戦争法は医療従事者にとってすぐ影響を与えてきます。国の予算等にも注意してみたい」「街のなかで叫んでもバカ扱いされるだけです。支配の丈夫な網を食い破りたい」などの感想がよせられました。
(副島圀義)

(2015年10月18日付「兵庫民報」掲載)

原発なくす兵庫の会:吉井英勝氏講師に学習会

安保条約がらみの異常さ解明


原発をなくし自然エネルギーを推進する兵庫の会(原発なくす兵庫の会)は、吉井英勝元衆議院議員を講師に学習講演会を十月六日、神戸市勤労会館で開きました。

吉井氏は、「原発をなくし再生エネルギーの爆発的普及へ」と題して講演。福島第一原発事故の原因も溶け落ちた燃料の状態も不明なのに被災者支援の打ち切りを言い出す政府の異常さを厳しく批判し、とくに、「安倍首相には特別な責任の重さがある」と強調しました。スマトラ沖地震(二〇〇四年)でインドの原発の地下室が津波に襲われたことをふまえ、吉井氏が二〇〇六年に提出した質問主意書で内部・外部電源喪失による重大事故の危険性を指摘したのに対し、安倍首相が「安全確保に万全を期している」と答弁しながら実際には何らの対策も取らず、福島の事故を招いたことは、まさに人災だと指弾しました。

さらに、日本の原発政策が日米安保条約絡みで進められている異常性を歴史的に解明しました。

一方、自然エネルギー活用は地域でも急速にすすんでいることをあげ、「太陽光、風力、地熱、バイオマスなど再生可能エネルギーは地理的条件でそれぞれ違う。だから企業の利益でなく地方自治が大事だ」と展望を語りました。

*
原発をなくす会の共同代表の津川知久兵庫労連議長は閉会挨拶で、この講演を力に原発からの撤退、自然エネルギーの推進を地域から行動で進めていこうと訴えました。

(2015年10月18日付「兵庫民報」掲載)

原発再稼働の不当性浮き彫りに:科学者会議市民フォーラム

日本科学者会議兵庫支部の市民フォーラム「原発の安全性を問う!」が十月十日、西宮市立大学交流センターで開かれました(後援=原発をなくす西宮の会)。

川内原発一号機(鹿児島)の再稼働が強行され、伊方原発三号機(愛媛)も再稼働のたくらみが進む中で、その危険性を明らかにするために企画され、小学生らを含む約四十人が参加、福井県(全国の原発五十四基のうち二十九基を抱える)で運動の中心を担う一人である山本富士夫氏(福井大学名誉教授)の講演と質疑が行われました。

山本氏は原発の仕組みを述べ、とくに原子炉内で核燃料棒がバーンアウト(焼損)をきたす「限界熱流束」に対し余裕のない状態で運転されることを指摘し、いったん冷却剤(主に水)の供給が止まると、福島のような重大事故が発生することを説明しました。

また、日本の原発は、余剰濃縮ウランの供給で利潤とエネルギー政策でのヘゲモニーを確保しようとするアメリカの意図によって始まったこと、いわゆる「原子力ムラ」と「安全神話」の形成について解説しました。

さらに、昨年四月の福井地裁判決(高浜原発の運転差止仮処分)の意義を人権・環境権の観点から評価、韓国や中国の原発事情も紹介し、運動面では、安保法制の問題なども含め「サイレント・マジョリティ」をいかにして味方にするかが課題であると強調しました。

(2015年10月18日付「兵庫民報」掲載)

兵庫県原水協創立60周年のつどい

非核「神戸方式」はじめ平和の歴史進めた兵庫県原水協のたたかい

県下各地から100人を超える人々が集まったつどい

原水爆禁止兵庫県協議会創立六十周年のつどいが神戸市の県民会館で開催されました。

主催者挨拶にたった津川知久筆頭代表理事(兵庫労連議長)は「原水爆禁止運動の歴史を振り返り、その中でも非核『神戸方式』を守り続けてきた兵庫県の運動が世界中に非核地帯を広げる力になってきた。いま、戦争法廃止の運動と一体不可分で核廃絶の運動を取り組もう」と述べました。

各界からお祝いの言葉が続きました――

安井正和日本原水協事務局長は「日本原水協創立の前年一九五四年、『憲法改正』を掲げて自民党が結成され、憲法をめぐる最初のせめぎあいを迎えた。その前にたちはだかったのが原水爆禁止を求める署名。国民の六割の三千万を超える賛同が集まった。五五年総選挙で自民党は改正発議に必要な議席を取れなかった」など、核廃絶を求める署名運動の役割と歴史を解明しました。

県被団協の岡邊好子理事長は「広島で十六歳で被爆。宝塚にきてから原水協を知り、その欲得を考えない親身な活動に力をもらってきた。被爆者援護法の改正へ頑張りたい」と語りました。

野口善國弁護士は「自らも被爆二世として、二〇〇三年五月から始まったノーモアヒバクシャ訴訟近畿訴訟に弁護団の一員としてかかわり、連戦連勝してきたが、去年から国が強硬な争い方をし三名が敗訴。原発事故の補償を切り捨てるためと考えられる」と述べました。

神戸港湾共闘会議の谷口利之議長は、長崎の出身で父親が被団協の谷口稜曄代表委員と同い年であり被爆者であることなどを紹介し、「クリスマス闘争、非核『神戸方式』記念集会を原水協と一緒に取り組んできた。平和はたゆまぬ努力のうえにある。これからも一緒に頑張ろう」と訴えました。

日本共産党兵庫県委員会からは金田峰生参院予定候補が挨拶。「原水協の六十年のたたかいが歴史を確実にすすめる力になっています。今、日本共産党は戦争法廃止の国民連合政府を提案しましたが、さらに核廃絶に貢献できる政府に発展させたい。ともに頑張りましょう」と呼びかけました。




(2015年10月18日付「兵庫民報」掲載)

「あさぎ」九月詠草:姫路年金者組合

忘れまじ愚かな戦さ語りつぐ同年代の被爆体験
ホコ天に一万二千の文字おどる「戦争はいや」「アベすぐやめろ」
藤原信子

「桜花」なる人間爆弾飛行機の子細をききて胸の汗冷ゆ
田の中の掩体壕にゼロ戦のエンジン一基どっしりと座す
衣川有賀子

福井から娘が帰りくる同窓会次は五年目楽しむと出
朝起きの良い娘は庭と水まわりピカピカにみがき帰りゆくなり
江藤雅江

団子食み幼き児らと愛でし月今は一人ベランダで見いる
お互いにそれとなく見る若い人スマホしながら優先座席
常田洋子

「昨日は何を食べたか」夫の問い七十五歳の日記を始める
「集団的自衛権」と言う言葉どこで覚えたか五年生の孫
山下直子

ここからは我らが出番と弁護士が法廷闘争に持ち込むと言い
戦争法廃止国民連合の政府をと説く共産党の英断
田渕茂美

(2015年10月18日付「兵庫民報」掲載)

ひなたぽっころりん(564)



(2015年10月18日付「兵庫民報」掲載)

観感楽学

兵庫県原水協が創立六十周年を迎えた。一九五五年十月八日の創立時には県知事、神戸市長、銀行頭取、自民党から共産党までが役員に名を連ねる文字通りの国民的運動としてスタートした▼作成された六十年史年表には生野町から広島へ十七人の教員の銀輪部隊、真夏に続く網の目平和行進、各地6・9行動と被爆者支援活動、学校や自治体と共同した原爆写真展など多彩な地域活動が記されている▼県下二十四地域(市町合併後の二十二市九区四町)で組織された原水協の草の根運動は核兵器署名の住民過半数達成に実る。県内二十一市七十町(当時)すべての首長が署名し、九〇年八月に県民過半数(二百七十一万百五十九筆)、十市(神戸市は全九区)六町で人口過半数突破▼年表だけでも三十一カ国百二十六人の海外代表が非核「神戸方式」に連帯して来県。一度に三十二人ものフランス代表団が訪れたこともあった。この国際活動が世界に非核「神戸方式」の名を知らせた▼大震災直後に二千人の被爆者を訪問し支援活動、原爆症認定裁判など、「原水協があったから今日まで来れた」との被爆者の声に原水協の真価が表明されている。 (K)

(2015年10月18日付「兵庫民報」掲載)