西宮市役所前で抗議集会を開く入居者と支援者(9月29日) |
阪神・淡路大震災の被災者のためにUR(都市再生機構)から借り上げた復興住宅の入居者に、住居の明け渡しを求めている西宮市にたいし、抗議の声が広がっています。
同市は、URとの二十年契約「期限」が九月末の借り上げ復興住宅「シティハイツ西宮北口」の入居者に、退去と損害賠償を求めています。
同市役所前では九月二十九日、入居者と支援者ら八十人が抗議集会を開催。ひょうご震災復興借り上げ住宅協議会の安田秋成代表、西宮UR借り上げ市営住宅連絡会の松田康雄代表、借上復興住宅弁護団の吉田維一弁護士らが、URとの二十年契約を盾にした退去強要の不当性を訴え、コミュニティを破壊し仮設住宅や復興住宅で「孤独死」を生んだ震災の教訓に背をむけた許されない対応だと抗議しました。
集会では「コミュニティを保護すべき被災自治体が、被災者のコミュニティを根底から破壊することは、人道上からも許されない」などと指摘した集会決議を採択し、市に提出しました。
吉田弁護士も同弁護団の「要求書」を市に提出。「要求書」は、「制度上、必要な手続きである『事前通知』がされず、終身居住できると信じてきた借り上げ公営住宅の入居者への明渡請求は、『不意打ち』の『退去要求』行為に他ならず、違法であるのはもちろん、人倫に反し許されない」と市を厳しく批判しています。
同連絡会代表の松田氏は、西宮市が借り上げ住宅の空き部屋をURに返還せず家賃を払い続けていることなどの問題で住民監査請求を提出しました。
各界から「継続入居を」の声
借り上げ住宅の入居者への退去強要にたいし、医療関係者、法曹界をはじめ各界から批判の声が広がっています。「神戸新聞」(九月二十九日付)は、県医師会の川島龍一会長の談話を掲載。そのなかで川島氏は「継続入居を認めない市もあるが、震災を経験した自治体として覚悟を持って負担すべきだ」と指摘しています。
(2015年10月11日付「兵庫民報」掲載)
