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2015年10月4日日曜日

病床削減許すな:来春策定予定の県「地域医療構想」

全国で四十三万床もの病床削減をねらう安倍政権が昨年強行成立させた「医療・介護総合法」に基づき、現在、兵庫県「地域医療構想」策定が進められています。

二次医療圏ごとに策定


「医療・介護総合法」では、都道府県は、病床機能を「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」の四つの機能に分類し、国が示した指針に基づき、二〇二五年における機能別の病床必要数を二次医療圏域ごとに明らかにした「地域医療構想」を策定し、機能再編を進めることとされています。

兵庫県は、医療審議会保健医療計画部会に諮って構想案づくりを進めるとともに、同時並行で各圏域に検討委員会(非公開)を設置。構想を来春策定する予定です。

病床数を大幅削減⁈


八月の審議会には、県内の「必要病床数」の見込みが示されました。


高齢化率がピークを迎える二〇二五年に「必要な」病床数と現行の病床数の差は、推計方法により異なりますが、「マイナス五百九十七床~一千二百七十七床」、つまり「最大五百九十七床が不足~最大一千二百七十七床の削減が必要」となっています。
表は、最大で一千二百七十七床が過剰として削減が必要とされる場合の見込みから作成したものです。

北播磨・西播磨・但馬・丹波・淡路など郡部中心の圏域では、急性期(表では省略)も慢性期も病床が「過剰」となり、仮にむりやり「必要病床数」に合わせた削減が進められると、高齢者人口はほぼ変わらないにもかかわらず、四割近い病床削減になりかねない地域もあります。

合計数では病床不足となる都市部の圏域でも、慢性期病床は軒並み「過剰」に。高齢者人口の伸びが一四・九%なのに逆に一五・三%の削減となる神戸圏域をはじめ、大幅な削減が必要、ということになってしまいます。

今でも医療資源の少ない郡部で病床削減となったり、特養ホームなどが大幅に不足する中、高齢者人口は増えるのに、慢性期病床が大幅削減となったりするなど、示された「必要病床数」がまったく現実にあわないのは明らかです。

削減前提の推計押し付けられ


これは、「必要病床数」を計算する基になった国の医療需要推計が、地域ごとに異なる実情や、潜在的な医療需要などをまったく考慮しない全国一律のもので、「急性期」等は現行水準を超えないこと、「慢性期」に至っては、削減することを前提としたやり方になっているからです。

また、構想のもととなる現行の病床数と六年後の予定病床数は、各病院に報告させ都道府県を通じて国がとりまとめた()ものですが、複数の機能をもつ病棟でも無理やり四機能のうちの一つに分類させ、ベッドがあっても医師不足のためにしかたなく病棟を閉鎖しているなどの事情があっても、動いている「稼働病床」だけで機能を判断されるなど、地域・病院ごとの実情が反映されていません。

病床機能報告制度
都道府県ごとにまとめることになっていたが、「負担軽減」を理由に、国がみずほ総研に委託して病院提出の報告書と診療レセプトデータを一律に集約。

国のねらいは医療費削減


医療審議会では示された必要病床数を「出発点として」協議していく、としています。

国のねらいは、病床を減らして医療費を削減することであり、都道府県にも「医療費適正化計画」と整合させて「地域医療構想」を進めることを求めています。

一方で国は、「地域医療構想」はあくまでも都道府県が地域の実情に応じて自主的に策定するものだ、とのべ、全国知事会も「地域の実情を踏まえた対応」を求めています。

県「地域医療構想」を国の推計通りに策定し、病床削減を実施させるのでなく、住民や医療関係者の声を十分反映させ、必要な医療を確保させることが求められます。

(2015年10月4日付「兵庫民報」掲載)

憲法が輝く兵庫県政へ(1):平和

戦争法にもとづく軍事強化を食い止め兵庫県民の平和・安全優先の兵庫県政を
兵庫県原水協事務局長 梶本修史

井戸知事が就任して最初の仕事は、姫路港への米軍艦寄港の許可だった(二〇〇一年八月)。

兵庫県は、「核兵器に対する県民の不安を払拭するため」「県民の平和と安全を守る立場から」と、「非核三原則に係る状況について」米側に回答を求めた。神戸市が非核「神戸方式」を実施していることを意識したものであることは明らかだ。しかし、米国からは、事実上の「回答拒否」だった。

それにもかかわらず兵庫県は、「非核三原則を遵守している」と一方的に判断して寄港を認めた。その後さらに二度も寄港を容認した(〇三年十一月、〇六年八月)。

兵庫県は、「非核証明は自己証明なので、自己証明をいくら求めてもどれくらいの価値があるかわからない」と非核「神戸方式」を非難する発言まで行なった。

さらに、「現行の枠組み、米政府の基本的な考え方というものを前提に判断したい」「非核証明を出しなさいと言うと…入ってくるなということになる。すくなくとも日米安保条約上の相互関係からすると特定の理由なしに拒否をする理由がない」(記者会見)と、日本の政治家とも思えない発言で、安保条約最優先で米軍艦に全面開放する立場を表明したのだ。

米軍機の低空飛行訓練は、但馬地域以外のたつの市新宮町、上郡町などでも目撃されている。ドクターヘリ空域と重なる訓練空域で米軍オスプレイの訓練計画もあるのに、兵庫県は低空飛行の中止を要求するどころか、県の防災訓練に米軍を参加させ、オスプレイ参加まで要請する始末だ。

十一月には、伊丹市の陸上自衛隊中部方面隊で日米合同指揮所訓練が行われる。自衛隊からは、「本演習の場を活用し、関係機関の参加を得て、国民保護訓練を実施予定」とされている。軍事演習に自治体などが動員されようというのだ。国民保護計画は、日本有事の際に、国民と自治体を戦争動員するものだが、今回の戦争法で集団的自衛権行使の際にも発動されるように改定された。

「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうに」(憲法前文)、地方自治体などが役割を果たすことが求められ、「憲法尊重擁護の義務」(九九条)が定められている。

憲法の保障する地方自治の原則を破壊してまで、米軍の戦争を支援する態勢づくりが推進されている中で、兵庫県が、「現行の枠組み、米政府の基本的な考え方というものを前提に判断したい」というような態度をとることは、憲法の立場を投げ捨てるものだ。

県議会が採択した「核兵器の廃絶と恒久平和実現に関する意見書」で「国際社会の先頭に立ち、核兵器廃絶に向けて行動する責務がある」としているのに、非核平和宣言すら行おうとしないで、沖縄県はじめ日本中で問題になっている米軍行動の根拠となる安保条約を無条件に容認する態度で、県民の安全は守れない。

(2015年10月4日付「兵庫民報」掲載)

猪名川・稲美両町議選:日本共産党が現有議席確保

猪名川町議選と稲美町議選は9月27日投開票で行われ、両町とも日本共産党は現有議席を確保しました。

猪名川町議選


下坊辰雄氏 池上哲男氏
猪名川町議選(定数16、立候補19人、投票率53.9%)では、共に現職の池上哲男(62)氏が7位で、下坊辰雄(63)氏が11位で当選しました。日本共産党の得票合計は1,399票(得票率10.5%)で、前回(1,282票、9.6%)、14年衆院選比例(1,344票、10.2%)を上回りました。

稲美町議選


大路ひさし氏
稲美町議選(定数16、立候補18人、投票率52.6%)で現職の大路ひさし氏(69)が612票(得票率4.6%)、12位で当選。前回は685票、14年衆院選比例は1,224票でした。






(2015年10月4日付「兵庫民報」掲載)

閉じられた正門:大門みきしエッセイ(4)

九月十八日夜の参議院本会議で、戦争法案を強行採決した鴻池委員長の問責決議案に賛成の討論を行いました。

その中で小林節・慶大名誉教授の言葉を紹介しました。小林さんは中央公聴会で、憲法九六条を変えて改憲のハードルを下げようとした安倍首相のやり方を「裏口入学」と厳しく批判したうえで、今回の戦争法案を「閉じられた正門を蹴破って押し入るようなもの」と断罪されました。

その表現を引用しながら、「どうしても集団的自衛権を行使したいなら、こそこそごまかしたり、姑息なへ理屈を並べたり、憲法を勝手に踏みにじるのではなく、正々堂々と憲法改正を提案すべきだ」といいました。

終わってから本会議場を出るとき、鴻池さんが私に「いい討論だった。ありがとう」と言いました。問責の賛成討論をして本人からお礼を言われたのは初めてです。

周りにいた自民党議員たちも「大門さん、よかったよ」とほめるので、徹夜の疲れで人の話が逆さまに聞こえるようになってしまったのかと思いました。

連休明けに会った同じ委員会に所属する自民党議員が解説してくれました。「参院自民党には安倍さんの『解釈改憲』というやり方に疑問を持つ人が多い。あのとき大門さんに卑怯だと叱られ、もっと堂々としろと言われてしびれたんだよ」と。

本気でそう思ったなら、安倍首相の暴走を参議院で止めるべきだった。止められなかった責任はつぎの参議院選挙で自分たちが取ることになるのだから。

(日本共産党参院議員・参院選比例予定候補)

(2015年10月4日付「兵庫民報」掲載)

俳句:新俳句人連盟兵庫支部

プラカード握る手の皴昇る月
俊子

路面電車に月光と客二人
淳一

「俺は脱走兵」父の告白曼珠沙華
その子

遠くより母のこえする大花野
昭子

病む肺も反戦デモや秋うらら
冬木

アメリカの為に死なないデモの夏
山明

しらしらとファシズム育つ男郎花
邦子

愛しさと憎さグツグツきのこシチュー
あや子

涙拭き秋刀魚の焦げ目いい具合
ますみ

(2015年10月4日付「兵庫民報」掲載)

ひなたぽっころりん(563)



(2015年10月4日付「兵庫民報」掲載)

観感楽学

自民党が衆参両院で圧倒的多数を占める現状は、いうまでもなく小選挙区制というマジックのせいです。この選挙制度の恐ろしさが「戦争法」をめぐる国会質疑と採決を通じて実証されました▼得票率が三割にも満たないのに議席の大半を占める自民党が、国民の声を黙殺して強行採決し、戦争への道へと踏み出しました▼一方、「戦争法」に反対する国民のたたかいはさらに広がっています。この国民の声を、国会に正しく反映するためにどうするか、その展望を示したのが「戦争法廃止の国民連合政府を」の声明です▼先般、珍しくNHKがこの問題を「時論公論」でとりあげ、平成二十一年の衆院選で、共産党が立候補者を三百から百五十二に絞ったことが民主党政権実現につながり、先の衆院選では沖縄で統一候補が全員勝利したと紹介。しかし、次の選挙でこの呼びかけが実現するかどうかは、やはり「戦争法反対」「安部政権打倒」の国民運動の広がりにかかっています▼安倍首相は、この法案成立を手土産に渡米し、オバマ大統領との面談、議会演説を目論んだようですが無視されました。日本国民が戦争法に反対していることはもう世界中が知っています。 (D)

(2015年10月4日付「兵庫民報」掲載)