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2015年9月20日日曜日

西宮市が借り上げ住宅「明け渡し通知」

西宮市は、借り上げ住宅市営住宅について、URからの借り上げ期間二十年の満了をもって、入居者に退去を強硬に迫っています。

市内でもっとも早く「期間満了」となる「シティハイツ西宮北口」について西宮市は、九月末までに住宅を明け渡さななければ損害賠償を求めて法的手続きをとるとした通知書を八日付内容証明郵便で、同住宅入居者に送りつけました。

これに対し、同住宅入居者のうち七人の代理人となっている借上復興住宅弁護団は十日、「退去通知を撤回し、入居継続のためURとの交渉を行うことを求める」声明を発表し、同日、市長あてに提出しました。

弁護団は記者会見を行い、市が退去の根拠としている改正公営住宅法の施行(九六年八月)以前の入居であり、借地借家法が適用され、退去を求めるには「正当理由」が必要だと批判。仮に公営住宅法が適用されるとしても、同法で義務とされる、期限についての「事前通告」を行っていなかったことは市も認めており、やはり退去の必要はないと指摘しました。

さらに、市が訴訟を起こせば受けてたち、入居者の正当な立場を主張し、勝利する決意を表明しました。




ひょうご借り上げ住宅協議会も十一日、同住宅の入居者とともに西宮市役所秘書課を訪ね、市長あてに抗議文を提出しました。

(2015年9月20日付「兵庫民報」掲載)

兵庫労連第50回定期大会:安倍暴走政治ストップ

兵庫県労働組合総連合(兵庫労連)は第五十回定期大会を九月十二日、神戸市勤労会館で開催しました。

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津川知久議長が開会挨拶。冒頭に東日本豪雨災害被災者にお見舞いを述べ、国の果たす役割が問われているが、首相をはじめ政権は災害対策より戦争法案成立に努力を集中していると厳しく批判しました。

その上で、今大会は国会会期末へ戦争法案阻止へ緊迫した中での開催となり、組織をあげてたたかう決意を固め、戦争法案の行方がどうなろうとも新しいステージで憲法をいかす政治をつくることが求められる――この勢力・運動を大きくする方針を決定する今大会の意義を、全労連結成の行動綱領に触れて強調しました。

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北島隆事務局長は活動報告と方針提起で、この間に広がった戦争法案阻止のたたかいで果たした役割を強調。戦争する国づくりと労働者使い捨てをすすめる安倍暴走政治ストップへの秋季年末闘争へ全力をあげようと呼びかけました。

さらに、全労働者の賃上げをめざす社会的賃金闘争を展開、全自治体対象に地域経済活性化の懇談を広げるなど'16年春闘の前進への方針と組織拡大への努力を提起しました。

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討論では、戦争法案反対のたたかい、学習を大切にした運営の努力、各職場、産別のたたかい、地域経済活性化方針への共感など提起にこたえた活発な討議が行われました。JAL争議団、大阪市役所労組など支援も訴えました。

また、津川知久議長、北島隆事務局長、十人の副議長など新役員を選出しました。

大会終了後、参加者はポートライナー三宮駅前で戦争法案反対の宣伝を元気よく行いました。

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この大会に日本共産党からは、堀内照文衆議院議員、金田峰生党国会議員団兵庫県事務所長、小林明男党県労働部長が来賓として出席しました。

挨拶に立った堀内議員は、東日本豪雨災害で政府の対策を急ぐことを求めていること、戦争法案でも派遣法でも国民の声と運動が政治を動かしていること、二十回以上の質問を行い、兵庫の声を国会に届けたことを報告し、戦争法案阻止へ最後まで全力をつくす決意を述べました。

(2015年9月20日付「兵庫民報」掲載)

大阪高裁判決:NHK地域スタッフの労働者性を否定

大阪高裁第三民事部(江口とし子裁判長)は九月十一日、NHK地域スタッフの労働契約法上の労働者を否定する判決を下しました。

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NHK地域スタッフは、NHK受信料の契約収納業務に従事し、いわゆる「個人請負型労働」で働いています。この裁判は、全日本放送受信料労働組合(全受労)神戸支部の福島強司委員長が、NHKから契約期間内に解約されたことを不当として提訴したものです。

神戸地裁は昨年六月、NHK地域スタッフを労働契約法上の労働者と認め、福島委員長を解約したことは不当とする判決を下しましたが、NHKが控訴し、大阪高裁で争われていました。

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原告側は、ナビタンという携帯端末で常に稼働時間を管理されている実態や、月初めに提出を求められる業務計画書いわゆる勤務シフト表、ノルマの実態(目標数の一方的な指定)、業務場所の一方的指定、コアタイムを中心とする稼働時間の指示など細かな資料の積み重ねで、地域スタッフがNHKの指揮監督のもと業務に従事している実態を示しました。

また、労働法学者の意見書を提出し労働契約法の趣旨・目的に照らしてNHK地域スタッフは労働者にあたることを主張してきました。

しかし、今回の大阪高裁判決はこれらの事実をまったく無視し、「個人請負型労働者」の働く権利を奪う不当な内容となっています。

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判決後の報告会で原告の福島委員長は、「地域スタッフの働き方を、まともに見ていない腹立たしい判決で怒りを覚えます。この判決をこのまま受け入れる事は出来ません。今後も頑張ってまいりますのでよろしくお願いします」と決意を述べました。

(岡﨑史典=全受労神戸支部書記長)

(2015年9月20日付「兵庫民報」掲載)

ノーモアヒバクシャ近畿訴訟・傍聴記:9/9

がん術後は「医療の必要性なし」?

副島圀義

九月九日の大阪地裁。五人の原告のうちYさんについて崔信義弁護士が陳述しました。

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Yさんは七歳の時に長崎で被爆。爆心地から真南に四㌔㍍あまり、海洋気象台の近く、途中遮る物もない場所ですから直接の被曝量もかなりのものでしょう。翌日か翌々日、「米軍が上陸するらしい」との話を聞いて家族は、市北部の知人宅に避難に向かい、爆心地近くを徒歩で通過します。結局、知人宅に避難するのをやめ同じ道を通って自宅に帰りました。この往復で相当な残留放射線、二次放射線にさらされ、内部被曝したであろうことは容易にわかります。

四十歳を過ぎたころから、甲状腺腫瘍、食道がんなどを次々発症し入退院を繰り返します。食道がんの手術をうけ、抗がん剤治療を続けてきました。

食道がんについての原爆症の認定申請が却下され、昨年五月に提訴に踏み切りましたが、年末ごろから病状が悪化し、三月に死去。国の冷たい仕打ちが、どれほど生きる力を奪ったことでしょうか。

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弁護士さんなどのお話を聞くと、国側がYさんの食道がんを「原爆症」と認めないリクツは――①被爆距離は四㌔㍍以上である、②翌日か翌々日に爆心地近くに入った(入市)証明がない、③だから食道がんになるほどの放射線を浴びていない。(国の「基準」で固形がんを原爆症と認めるのは三・五㌔㍍以内か、百時間以内に二㌔㍍以内に入った人、などです)、④食道がんは手術で治癒しており「医療を必要とする」状態ではない――ということのようですが、「手術したらあとは医療の必要がない」なんて、厚労大臣の代理人は、そこまで無知(無恥?)か、とあきれてしまいました。


このグループについての次回弁論は十二月十一日午前十一時です。

(2015年9月20日付「兵庫民報」掲載)

なまの舞台をごいっしょに:東京芸術座『蟹工船』

神戸演劇鑑賞会10月例会



「蟹工船」とは、カムサッカ沖で捕獲した蟹を、すぐ船上で缶詰に加工する船のこと。言い換えれば船がそのまま工場である。

昭和三年(一九二八年)四月、函館港。蟹工船・博光丸がエンジンを響かせ、出港を待っている。船の周辺は、かり集められた漁夫、雑夫、見送りの人たちでごった返している。

やがて、博光丸はドラの合図と共に、静かに港を離れた。しかし、出向前の長閑な風景とはまったく違ったのが、船の中の、劣悪な環境と、浅川監督の上長にたいし絶対服従せよ、との激しい檄だった。

一幕は、この劣悪な環境の中での激しい労働に、弱り始める労働者たちの姿を、細部漏れなく描いている。やがて、雑夫宮口が姿を消す。が、見つけられ、ウインチに宙吊りにされて、労働者たちの前で、ぶらんぶらんゆれている。

この出来事のあと、日を追うごとに労働は厳しくなる。病人、怪我人も容赦なく労働に追い立てられ、彼等は、息も絶え絶えになっていた。しかし、船頭頭たちは、労動者たちを殴りつけ、蹴り上げ、ますます労働強化に拍車をかけた。

やがて、労働者たちは、力を合わせることを考えだし、権力者たちに立ち向かって行く。現代の言葉だと〝団結〟である。しかし、労働者の前に立ちはだかった権力の壁は揺るがなかった。その前にたち、彼等は歌う「ソーラン節」を。泣きながら。その歌声の底には、明日への、現代の私たちへの、希望が託されている。 (小谷博子)

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東京芸術座公演 村山知義演出による『蟹工船』/原作=小林多喜二、脚色=大垣肇、演出=印南貞人・川池丈司、出演=北村耕太郎・井上鉄夫ほか/①10月4日(日)13時30分②5日(月)18時30分/神戸文化ホール中ホール/会員制(入会時に入会金千円と月会費2カ月前納)、月会費3千5百円(大学生2千円、中高生千円)/☎078・222・8651、FAX 078・222・8653

(2015年9月20日付「兵庫民報」掲載)

「あさぎ」九月詠草:姫路年金者組合

安倍首相「戦争法案」皆いかる戦地に行くは先頭でどうぞ
明るくて元気なデモが記事になり百田は沖縄の新聞つぶせと
藤原信子

「戦争の芽を摘む」とゆう皇后のおことば編みし女性週刊誌
占領を進駐と言い敗戦を終戦と言う偽装恥ずかし
衣川有賀子

この暑さ熱中症の死亡記事毎日毎日報ぜられいる
この暑さ今までになき猛暑なり電気しまつし命を落とすと
江藤雅江

秋たつ日つくつく法師鳴き初め夕餉とりつつ娘らと語らう
原爆忌平和への想い述べる児ら永久に語れる日本でありたい
常田洋子

風あれて道にはみだすトマトの木踊りいるがに激しく揺れる
猛暑にて家にこもれば友人が我家のトマトを届けてくれる
田渕茂美

(2015年9月20日付「兵庫民報」掲載)

ひなたぽっころりん(562)



(2015年9月20日付「兵庫民報」掲載)

観感楽学

戦争法案の成立を見越した戦争計画を自衛隊が先走って作成していたことが次々と発覚した▼二〇一二年日米合同指揮所訓練(ヤマサクラ61)では演習計画が米国防総省から流出。中国、北朝鮮を想起させる連合軍が西日本の分離・支配と大阪占領をめざし上陸。侵攻阻止の防御戦闘を実施する陸自中部方面隊と米軍が〝侵略軍〟を打破するというもの▼YS37(二〇〇〇年)では米軍ホームページで演習シナリオが流出。下関に上陸した敵軍団に自衛隊は応戦するが後退、岡山付近で米軍の支援でやっと殲滅というもの。陸自の抗議で削除されたが、週刊誌が取り上げたため、トイレや売店の分かる駐屯地絵図まで姿を消した▼こうしたトラウマのせいかYS51(二〇〇七年)では中部方面隊ホームページ以外の写真禁止、米兵外出制限のための駐屯地内コンビニの開店、地元自治体への協力や説明なしなど徹底した秘密主義をとった▼この時、図上演習配置図などを示すメモリーの紛失事件が起きたが米にも伝えず公表もされなかった。国民の目が届かない所で文民統制されず、軍事組織が好き放題に戦争計画を作ることが放置されていることほど恐ろしいことはない。 (K)

(2015年9月20日付「兵庫民報」掲載)