「知性」に基づき言葉放ち続ける
SEALDs KANSAI(自由と民主主義のための関西学生緊急行動)の京都デモには2千人以上、大阪では8千人以上の人が集まりました。国会前では毎週、SEALDsが数千人、数万人規模の抗議活動を展開しています。さらに北海道、東北、信州、四国、九州、沖縄―全国で若者・学生が中心となって反対行動が盛り上がってきていると実感しています。
私は、この安全保障関連法案が欠陥だらけであるだけでなく、今回の立法プロセスそのものがすでに日本を戦争に近づけるものだと考えています。
思い返してみてください。2013年に特定秘密保護法を安倍政権は通しました。昨年には解釈改憲の閣議決定によって憲法を骨抜きにしました。今国会が始まる前には他国の議会で「夏にはこの法案を通す」と表明しました。短期間で議論を終えることを明言し、10もの法案をひとまとめにして国会に提出し、国会では野党の質疑にまともに答えようとしません。「反対するメディアをつぶす」と脅し、「法的安定性は関係ない」「支持率は関係ない」「時間がきたら決める」と法案可決に突っ走ってきました。
今回の安全保障関連法案が始まりではありません。これまで安倍政権の下で、立憲主義、民主主義はことごとく破壊され続けてきました。
歴史を見れば分かるように、戦争はある日突然始まる訳ではありません。権力者を縛る憲法や主権在民の原則が侵害されることによって、国家は戦争へと向かっていきます。そういった観点に立てば、すでに日本は戦争への一歩を踏み出していると言えるでしょう。
こんな政治はもうたくさんです。私は立憲主義や民主主義といった近代政治の最低限のルールすら守れない政治家には辞めていただきたいと思っています。
民主主義において重要な要素の一つは「対話」です。しかし、安倍政権は自分に都合のいい時にしか人の話を聞こうとしません。こちらがいくら問いかけても、ロボットのように同じことしか繰り返しません。これでは対話はなりたちません。そのような人たちを前に言論や言葉というものがとても無力なものだと私は感じる時があります。
しかし、私たちは言葉を、言論を捨ててはならないのです。それでは彼らと同じになってしまい、問題を解決するための扉を閉ざしてしまうことになるからです。そして、なにより、「大学」という最高学府に身を置く者として、私たちは言論と言葉を守らなければいけないのです。
だからこそ、私たちは「知性」の名の下に、最高学府の誇りにかけて、何度でも彼らのうそを暴き、何度でも彼らの間違いを指摘しなければなりません。
私は事実と論理に基づいて彼らに言葉を放ち続けることを諦めません。私たち一人ひとりの中にある言葉を紡ぐことが、この狂気とも言える政治に対抗する最も有効で、強力な手段となります。
「戦争には反対だ」と、「立憲主義、民主主義に沿った政治を求める」と声をあげましょう。路上で、SNSで、学校で、居酒屋で、職場で―あらゆる場所で、私たちは対抗空間を作り出しましょう。
まずはこの安全保障関連法案です。本当に止めましょう。(神戸大学緊急集会での発言から)
