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2015年8月7日金曜日

養父事件:2年9カ月も呼び出しつづけ送検

「警察の行為は〝拷問〟、すみやかに不起訴決定を」

兵庫県警・養父警察署が7月6日、「養父市議選にかかわる公選法違反被疑事件」について書類送検を行いました。

この事件は、2012年10月の養父市議選で、八鹿高校卒業生宅に届いた手紙が公選法違反だとして、県警・養父署が元八鹿高校教諭Aさんに対し、3年近くも出頭を求め続けているものです。

警察は当初、3人の元教諭に24時間、尾行、張り込みを行い、7日間で40数回にわたり呼び出しを行いました。さらに選挙から半年もたってからAさん宅の家宅捜査を行いましたが、押収した品物は2カ月後にすべて返却しました。

しかし、その後2年9カ月の間、捜査の終結も送検もせず、呼び出しだけを続けていました。

Aさんの弁護団と「養父警察の不当捜査をやめさせる市民の会」はこの間、呼び出しがAさんの健康に悪影響を及ぼしており、直ちに中止をと医師の診断書も持って申し入れを行いましたが、養父署は診断書の写しの受け取りすら拒否。さらに不当なことには、7月11日に弁護人が養父署の本件責任者に申し入れした際は、すでに6日付けで送検していたにも関わらず、そのことを明らかにしませんでした。

「市民の会」は、今回の送検について、「2年9カ月もわざと処理せずにきたのは悪意ある制裁であり、こうした警察の行為は『拷問』にあたる」と強く非難。また、神戸地方検察庁豊岡支部に対して「すみやかな不起訴決定を求める」団体署名運動を展開しています。

「市民の会」は、そもそも手紙を公選法違反という口実で受取人から回収してまわったこと自体が、憲法21条(通信の秘密・言論表現の自由)や国際人権規約19条(表現の自由)に反していると批判しています。さらに、国連自由権規約委員会人権委員会が1993年以降、日本の選挙運動規制を是正するよう勧告を繰り返していいますが、2012年の第6回日本審査に国民救援会が養父事件を報告、「公選法改正前の現状でもこうした規約違反の捜査は中止すべき」と意見を提出し、14年には同委員会が公選法の制限規定の発動を「控えるべき」と勧告していることも指摘しています。

(2015年8月9日付「兵庫民報」掲載)