Web版の発行はしばらく休止します

「兵庫民報」編集部は2012年11月から専任1人で続けてきましたが、その1人も2020年末で退職し、2021年1月からは嘱託となりました。編集業務の整理のため、「兵庫民報Web版」はしばらく休止いたします。それにともないTwitterへの転送も休止します。 紙版の通常号のご購読をお願いします。

2015年8月2日日曜日

発言:黒木邦彦さん(神戸松蔭女子学院大学文学部准教授)

敵対よりも関心寄せ合う関係を



2年間韓国で働いていて、4月から今の大学に勤め始めましたが、この2年間で日本がやけに世知辛くなったなと感じたんです。教育に関しては「大学の文系学部を潰す」「役に立つことを教えろ」と言いながら、テレビでは「日本はスゴイ」と妙に煽る。ヘイトスピーチなどもありますし、閉塞感が強まっているんじゃないかと。戦争体験者の話を聞くに「いつの間にか戦争になった」とのことですから、「ん?」と思ったところから意外と早い、危ないのかなと心配しています。

単純に戦争は嫌ですね。僕、鉄砲なんて持てませんし――韓国の友だちの徴兵体験を聞くに、武器ってかなり重いそうで。韓国で教えていた子たちも「徴兵での訓練は地獄だった」と。そんな話を聞いて「いいなあ」とは思わないですよね。

今回の法案については「従米法案」という表現がピンと来ました。アメリカは「敵対国家」にいちゃもんを付けて、そこが自国をアメリカナイズしなければ潰すという国ですよね。そんな国の手先になって、彼らと一緒に火種をまきちらしかねないこの法案に賛同するなんて、頭のねじが3本くらい外れているんじゃないかと思います。

しかも、アメリカについた国のうち、先進国と見なされている国の半分ほどはテロの犠牲になっています。この事実を鑑みると、「世界平和のために」とはとても考えられません。そういう中に日本も入っていったら、間違いなく標的になりますし。卑近な例で考えれば、自分や周りの人たちが殺されるかもしれない。それはやっぱり嫌ですよね。

「戦力は保持しない」と憲法で明文化しているのは、日本くらいなんですよね。数1000年続いている人類の文明において、軍隊を維持したままでは争いがなくならなかったわけだから、21世紀の人類は日本国憲法9条を踏まえた国作りを一度試してみたらいいと思うんですよ。

世界に5千~6千はあると言われている言語を研究している関係上、多様性という言葉に魅力を感じるんですが、「従米」ということになると、多様性とは真逆ですよね。そういう観点からも「従米法案」には賛成しかねます。

国家レベルで見ると、近隣の中国や韓国もどうかと思うのですが、彼らとの言語文化の共通性・類似性は活かすべきだと思います。日本は漢字文化圏にありますし、日本語と韓国語はよく似ていますから。近隣諸国に対して、アメリカの軍事力を笠に着るのではなく、言語文化レベルで繋がれば、EUのような結び付き(問題は噴出していますが)も作れるのではないでしょうか。「いつ攻めてくるか分からないぞ」という20世紀以前風の文言で敵対心を強めるより、言語文化の近さに目を向けて、互いに関心を寄せ合う方が遥かに生産的でしょう。(談)

(2015年8月2日付「兵庫民報」掲載)

兵庫でも330人:安保法案に反対する学者の会 賛同広がる

内田樹神戸女学院大学名誉教授、益川敏英京都大学名誉教授など全国の61人のさまざまな分野の学者が呼びかけ人となり、6月11日に発足した「安全保障関連法案に反対する学者の会」(学者の会)は、6月15日に「『戦争する国』へすすむ安全保障関連法案に反対します」というアピールを発表し、賛同者を募っています。学者の賛同者は、7月27日9時現在で12,392人、市民賛同者は26,399人にのぼっています。

学者の会への県内の賛同者も広がり、県内34大学・短大のほか、専門学校、研究所などから、330人(7月27日9時現在)の学者・研究者が賛同しています。

そのうち賛同者がもっとも多い神戸大学では106人が賛同。この賛同者を中心に99人の神戸大学関係者が、7月30日に緊急学内集会を開催することをよびかけています。賛同者の一人が、集会の呼びかけ文と賛同者一覧のチラシをツイッターでツイートすると1日で瞬く間に200以上のリツイートがされ、「ついに母校も立ち上がってくれた!お世話になった先生方も立ち上げ賛同人に(;_;) OBとして賛同人に加わらせていただきます!」「賛同人の中に『一児の母』という肩書きの方がおられた。このセンスいいな!もしかしたらどこかにお勤めかもしれないし専業主婦かもしれないけど、『一児の母』の立場でもの申すのもとても大事と思う。『一児の父』でもいい」などの返信も寄せられています。

「学者の会」には神戸大学のほか、関西学院大学で49人、甲南大学で30人、神戸市立外国語大学で20人、神戸女学院大学で18人、神戸学院大学で17人、兵庫県立大学で14人(いずれも27日9時現在)が賛同しています。

(2015年8月2日付「兵庫民報」掲載)

加古川駅前:古刹の長老も子育て世代も「戦争法案NO!」


「戦争法案NO! 戦争させない・9条壊すな! 2市2町総がかり行動」が7月26日、JR加古川駅前で行われ、400人以上が参加しました。

加古川市、高砂市、播磨町、稲美町の9条の会代表世話人らが呼びかけたもので、集会では、2市2町9条の会代表世話人の高橋逸氏(高橋会計事務所所長)の開会挨拶、あすわか兵庫・弁護士9条の会の大多和優子弁護士のゲスト発言のあと、呼びかけ人の鳴海眞人(日本劇作家協会会員・稲美町)、西村正二(西村病院院長・加古川市)、林田薫風(善福寺住職・播磨町)、松本憲三(前平荘町内会連合町内会長・加古川市)、幹栄盛(鶴林寺長老・加古川市)、宮先一勝(美濃部達吉研究会会長・高砂市)の各氏がリレートークしました。

鳴海氏は15歳の時「負ける」としゃべっただけで特高警察に逮捕され大牟田炭鉱に送られた経験を語り、幹氏は、「私たちも憲法に違反し、国民主権を忘れて70年の平和を享受してきた」と逆説的な表現で憲法を生かす努力の重要性を強調。宮先氏は、天皇機関説を唱え弾圧された美濃部達吉を紹介し、集団的自衛権行使容認の閣議決定は立憲主義に反すると指弾しました。

会社員のAさん(33歳)が小学校2年・1年の2人の子どもといっしょにリレートークに飛び入り参加。「子どもたちの未来のため、国民の声で安倍政治をストップさせよう」と訴えました。

元自衛官の泥憲和さんも飛び入りで、リレートークに参加しました。

参加者らは国会の方向に向け、「憲法違反の戦争法案反対!」「安倍政権は今すぐやめろ!」とシュプレヒコールをあげた後、市内をデモ行進して訴えました。

(2015年8月2日付「兵庫民報」掲載)

新婦人若い世代チーム:王子動物園前で訴え


「だれの子どもも、ころさせない!」と「安保関連法案に反対するママの会」が発足したことに呼応して、兵庫でも新婦人の子育て世代が立ち上がっています。第一弾として7月26日、神戸市立王子動物園前で宣伝。急な呼びかけにもかかわらず、灘区や中央区などから、子ども含め14人が駆けつけました。

ママが次々とマイクを握り、リレースピーチを繰り広げました。「強行採決の日、自衛隊勧誘チラシが初めて家に入り、背筋が凍った。子どもたちの真っ白な未来を戦争で真っ黒にさせたくない」「動物園を楽しめる幸せを大事にしたい」と訴えました。

この宣伝に、中学生5人が「僕たちは戦争したくない!」と、高校生男子が「18歳で、ひとごとではない。選挙も戦争反対の人にいれたい」と次々と署名に応じました。会員との対話で、戦時中は動物園の動物も軍の命令で殺されたと聞いた子育て世代の夫妻は「そうなんですか。知らなかった」と署名してくれました。署名は47筆、シール投票は反対が20人分集まりました。

28日には神戸市立須磨水族園前で第二弾が取り組まれるなど、各地でレッドアクションが次々と計画されています。

(荻野潤子=新婦人県本部・若い世代チーム代表)

(2015年8月2日付「兵庫民報」掲載)

三田市議補選: 国永紀子さん当選


三田市議補選(欠員3・立候補6人)は7月26日投開票で行われ、日本共産党の国永紀子氏(68)=元=が7,167票(得票率20.25%)、3位で当選しました。

これにより三田市議会(定数22)で日本共産党は現有3議席から4議席となり、第二党となりました。

国永氏は、「ストップ戦争法案」「憲法9条を守る力を三田から強く大きく」と訴えるともに、中3までの35人学級、認可保育所増設、国保税・介護保険料利用料引き下げなど市民要求実現を掲げ支持を広げました。

(2015年8月2日付「兵庫民報」掲載)

憲法県政の会:医療・介護テーマの講演&シンポに130人

憲法が輝く兵庫県政をつくる会は7月25日、神戸市長田区の新長田勤労市民センターで「どうなる兵庫の」をテーマに「講演&シンポジウム」を開き、医療・介護関係者をはじめ、加入団体や地域の会から130人が参加しました。初めてのとりくみとして、神戸市内の介護事業所約600カ所、県内42医師会に案内を郵送しました。

*
田中耕太郎・代表幹事が「国による社会保障の連続改悪で県民の医療・介護がどうなるのか、どうするのか、一緒に考えよう」と開会あいさつ。全日本民医連の藤末衛会長が「安倍内閣のめざす医療・介護総合ケア」をテーマに基調講演をおこないました。藤末氏は、「自立・自助」「国民皆保険の変質・解体」など一連の社会保障解体攻撃にふれ、「このときだからこそ、県民のために働く首長をもつことがいっそう重要になってくる」と強調しました。

*


シンポジウムは、石川康宏・代表幹事をコーディネーターに5人のパネリストが発言しました。代表幹事で県保険医協会副理事長の武村義人氏は、医療・介護総合法について「とにかく入院させない、病床削減を確実にすすめ、在宅医療も安上がりにするもの。今後の地域医療を考えれば、医師とスタッフを増やし、医療、介護の受け皿を増やし、患者負担を軽減することが必要」と訴えました。

豊岡市の「ろっぽう診療所」の藤井高雄所長は、但馬地域の公立病院統廃合について、経営の効率化優先の公立病院改革プランの弊害を指摘し、公立病院の赤字の最大の原因である保険診療点数や国の予算のあり方について問題提起しました。

「社会福祉法人駒どり」の竹崎智博専務理事は、国による負担増で、特別養護老人ホームの入所費用が年金でまかなえきれず、施設側は介護報酬の削減で苦しめられていることを紹介し、「介護の仕事が続けられる介護報酬にしていくことが必要」と訴えました。

「NPO法人あぁす」の藤原みゆき介護部長は、「自立」「連帯」を強調する県の老人福祉計画を紹介。要支援の介護保険外しと自治体の支援事業にふれ、「保険」と異なる「事業」では、財源的制約のうえ、市長村に決定権があり、サービスの質と量が担保されないと指摘。「予算をしっかりと確保させ、サービスの保障と、一人ひとりが大切にされる本来の地域包括ケアシステムの構築を自治体に働きかけていきたい」と訴えました。

石川康宏代表幹事がまとめをおこない、「生存権、国民の健康権を守ることを放棄する、憲法をほうりだす政治を許していいのか。国がやる気がないときに、自治体、兵庫県はどういう態度をとるのか。兵庫県政をつくりかえて、国の流れに抗する、本来の憲法どおりの医療、介護をやっていくことを争点にする必要がある。2年後の知事選挙にむけてみなさんの知恵と力を」と訴えました。

*
松山秀樹代表幹事が閉会あいさつ。「医療・介護への攻撃も戦争法案も、命を軽視し、憲法に違反している共通点がある。命を大切にするために、戦争法案を通さない。医療・介護の改悪を許さない。平和と基本的人権、住民の自治を何より大切にする憲法県政へ力をあわせよう」と呼びかけました。


(2015年8月2日付「兵庫民報」掲載)

第23回障害者の明日を語り合うつどい

第23回障害者の明日を語り合うつどいが7月26日、あすてっぷKOBEで開かれ、50人が参加しました。

開会挨拶で石倉勝実行委員長は、「障害者権利条約批准から2年目。私たちの願い実現にどう条約をいかすかがテーマ」とつどいの趣旨を紹介するとともに、「平和でこそ障害者の尊厳は守られる。戦争はもってのほか」と安保法案など戦争する国づくりを強く批判しました。


基調講演でNPO法人日本障害者センター理事・事務局長の白沢仁氏は、障害者権利条約にふさわしい施策実現を求める当面の課題について報告。障害者総合支援法の施行後3年後の見直しに向け、法では障害者や家族など関係者の意思を反映させる措置を講じると定めてあるが、予算抑制へ財務省が動きを強めていることに警告を発しました。

また、条約批准2年後の政府報告書に対し、パラレルレポートを提出する取り組みの重要性も強調しました。

シンポジウムでは、「65歳になると障害者福祉サービスから介護保険へ移行されるが、神戸市は(サービスが減る)介護保険にできるだけ該当させようとしている。私は〝非該当〟になったがそれでもホームヘルプサービスが30時間から20時間に減らされた」(視覚障害者)

「嚥下障害で唾液も飲めないので吸引が必要だが、ヘルパーにしてもらえる事業所が見つからず、子どもを預けて仕事に就くことができない」(重度障害児の母親)

「手話通訳や要約筆記など聴覚障害者の意思疎通支援の事業を拡充してほしい。しかし、厚労省はそれを個別給付に替える動きをしており、手話通訳・要約筆記の有料化につながらないかと懸念している」(聴覚障害者)

―などの実態報告・要求や、障害年金の現状と課題、無年金障害者の問題などが報告されました。

実行委員会では、今回のシンポジウムなどで出た要望・意見も予算要望に反映させたいとしています。

つどい終了後には、参加者有志が、JR神戸駅前で戦争法案反対の宣伝を行いました。

(2015年8月2日付「兵庫民報」掲載)

民青東播地区:映画『標的の村』に「怒りと元気湧いた」


民青東播地区委員会は7月20日、青年のつどいとして映画『標的の村』を見る会を開きました。

地区委員仲間で試写会をして、基地肯定派も含めて多くの人と一緒に見たい作品だとの思いを強くしました。党東播地区委員会も的確な援助をしてくれました。92歳の大宮栄一さんのシベリア抑留体験や元神戸製鋼所の技術開発者で西明石9条の会事務局長の出口幹郎さんの講演「フクシマとオキナワの今」も併せて企画しました。

抑留体験を語る大宮さん

緊急企画にもかかわらず神戸新聞から取材もあり、久しぶりに民青の名前が単独で記事になりました。

当日は、法案が強行採決された怒りの広がりもあり、最初の上映は立ち見が出る満席で、全体で90人が集まりました。

作品はヘリパッド反対と普天間基地閉鎖の座り込みの記録です。米軍基地が何らかの安全や人権を守るため必要だという欺瞞を暴く力があります。座り込みに参加もしていない7歳の少女を防衛局が告訴し、裁判所を主権者弾圧に悪用する――一片の大義も民主主義もない実態が描かれていました。

日米両政府と安保条約の手で対立させられる同じ沖縄県民同士を、島に伝わる農民の抵抗歌がつなぎ合わせようとしていきます。島の歌は初めて聴く私たち観客をも座り込み現場につなぎ合わせるように響き、県警に引っ張って行かれる痛みも、野蛮な権力への悔しさも伝わってきました。

怒りはごまかさず喧嘩はしないという懐深い明るさがあふれていて、「怒りと元気が湧いた」という感想が目立ちました。また、遠方から参加した青年を民青に迎えることもできました。

民青東播地区委員会では、このつどいを力に、きっと戦争法案を廃案に追い込もうと決意を新たにしています。

(服部憲=民青東播地区委員会)

(2015年8月2日付「兵庫民報」掲載)

「見つめよう! アジアと日本を」連続講座開講


兵庫県AALA連帯委員会は「見つめよう!アジアと日本を」と連続5回講座を開催しています。第1回目は7月23日、「アジアの安全保障の問題」と題し、太田和宏氏(神戸大学大学院人間発達環境学研究科准教授)が講演しました。参加者は30人を超えました。

太田氏は、まず、アジアの現状を見るには、グローバル社会からの視点と、現代は歴史的に大きな変動過程にあるという認識を踏まえた視点の二つの視点が必要だと述べました。

さらに、米国は、原油の中東依存を減らすなど、貿易相手としてアジアの比重を高めているという背景もあって、いまや世界第2位の経済力に発展した中国がアジアに台頭してきていることを紹介。

中国は軍事面でも膨張をしているが、米国も東南アジア諸国も中国と密接に経済交流をしており、中国と対立するということは考えていないと指摘しました。

中国の軍事膨脹には注意をしながらも、中国と話し合いをつづけてきたASEANの国々に太田氏は注目し、日本の軍事一辺倒の展開によってアジアの緊張を激化させないことが重要だと強調しました。

参加者からは「中国の軍事膨脹が目立つが、平和外交を主張する勢力は出ないのか」「中国脅威論はどうか?」などの質問が出され、太田氏が丁寧に答えました。

*
次回は9月24日、「日本とアジアの歴史問題」と題し、太田氏が引き続き講演を行います。

(2015年8月2日付「兵庫民報」掲載)

戦後70年・日中友好協会創立65周年記念講演会


日本中国友好協会兵庫県連合会は、「戦後70年・日中友好協会創立65周年記念講演会」を7月25日、こうべまちづくり会館で開催し、「戦後70年、日中和解の道」と題しての尾西康充三重大学教授の講演を31人が聞きました。

尾西氏は冒頭、戦争法案、原発再稼働問題をはじめとする今日の政治情勢を解説。さらに文科省が国立大学の「文科系」の廃止を狙うなど大学の危機について述べ、「いますでに頭の後ろに銃口は突きつけられている」と力説しました。

主題部分で尾西氏は、戦争を描く「リアリズム」を軸に、小林多喜二と石川達三、田村泰次郎の作品を対比しながら話しました。

石川達三については、『蒼氓』や出世作『心に残る人々』でのブラジル移民の出発港であった神戸にも触れつつ、南京虐殺を描いた「生きてゐる兵隊」を詳しく紹介。田村泰次郎については「従軍慰安婦」を描いていることを紹介。

それぞれリアリズムの眼をもち、社会科学がないという限界はあるが、私たちに教えてくれるものがあると述べ、「戦争は人を変え、暴力が暴力を呼ぶ。戦争法は阻止しなければならない」と結びました。

(前田清=日中友好協会兵庫県連)


(2015年8月2日付「兵庫民報」掲載)

妄想敵:大門みきしエッセイ(2)

戦争法案に賛成という人がまだ2、3割います。その理由としてよくあげられるのが、「北朝鮮や中国のことが心配」ということ。この間、自民党がさかんに宣伝してきた「北朝鮮・中国脅威論」が浸透しているようです。

さらに反対世論を増やし廃案に追い込むにはこの論を打ち破ることが必要です。この間、近畿各地の街頭演説や集会では必ず「北朝鮮・中国脅威論」がいかに根拠のないものか、北朝鮮の国状や日中の経済関係の親密さなどデータをあげてお話しています。様々な問題もすべて外交努力で解決すべきものです。

実際に北朝鮮がアメリカに向けてミサイルを撃つとか、中国と日本が一戦交えるなどありないことは自民党議員だって100も承知です。中東派兵という戦争法案の本質をごまかすために、身近な「仮想敵」を演出しようとしているに過ぎません。

「仮想敵」が「妄想敵」になると珍事件が起こります。2008年9月、高知県・足摺岬沖で国籍不明の潜水艦が領海侵犯したと防衛省が発表しました。軍事アナリスト(当時)の小川和久氏などはテレビで「中国海軍の潜水艦に違いない」と断定しました。しかし1週間後、防衛省はクジラを潜水艦と見誤った公算が大きいと発表を訂正。交信しても返事がないのは当たり前です。

お化けなどいないのにお化けがいると思いこみ、恐怖のあまり銃をかまえて撃ったら、そこにいたのは人間だった。妄想から戦争が始まることだってあるのです。

(参院選比例予定候補・活動地域=近畿2府4県)

(2015年8月2日付「兵庫民報」掲載)

俳句:新俳句人連盟兵庫支部

大空に軍靴の音して夏至だ
邦子

絵てがみを転がりでたるさくらんぼ
由美子

古希となるガマの遺骨や沖縄忌
昭子

デモ帰り四方の水田の余苗
俊子

会期延長夏大根に鬆が入り
ますみ

眠れぬ夜幽霊たちとフラダンス
あやこ

蚯蚓鳴きさわぐ戦争法の泥
淳一

六月のTシャツの赤「戦争アカン」
好子

蘇州運河宵の夜店に酔いにけり
山明

独りの膳猫背になりつつ豆の飯
冬木

(2015年8月2日付「兵庫民報」掲載)

ひなたぽっころりん(559)



(2015年8月2日付「兵庫民報」掲載)

観感楽学

7月18日に開かれた日本共産党創立93周年記念講演会。志位委員長の講演をYouTubeでじっくりと聞きました。今の情勢を、わかりやすい言葉で話し、展望がストンと聞き手の胸に落ちる。さすがです▼この93周年を祝って、作家で僧侶の瀬戸内寂聴さんと憲法学者の小林節慶応大学名誉教授のお二人がメッセージを寄せておられますが、これが実におもしろい。お二人の生の声、表情が見える動画は一見に値します▼寂聴さんは、「これまで投票しても投票しても議席が伸びないと文句を言っていたが、最近、評判が良く議席も伸びてきた」と素直に喜び、小林さんは「国会質疑での共産党の活躍は抜群」「日本共産党は頼りがいのある政党だ」と評価されました。さらに小林教授は、「私は共産党に全く抵抗がない」と強調し「共産党にふれてみよう」「共産党にさわってみよう」と呼びかけました▼いま、安倍内閣に対する国民の怒りがかつてなく高まっているとき、これまで政治に無関心と見られがちだった労働者や若者に、共産党に「さわってみよう、ふれてみよう」と大胆、率直に入党を呼びかけるべきです▼来年夏の参議院選挙で議員定数が増える兵庫県で、金田峰生さんを確実に当選させるためにも新たな人材は絶対に必要です。先日、党後援会世話人会議で、辛口意見で知られる漫画家の段重喜さんが「金田さんよう頑張っとるで……」と金田さんの活動を褒めました。候補者とともに頑張りましょう。 (D)

(2015年8月2日付「兵庫民報」掲載)