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2015年6月14日日曜日

6.21兵庫大集会:戦争法案反対の声大結集を

兵庫県弁護士会憲法問題委員会 吉田維一委員長


「集団的自衛権行使容認」反対、「特定秘密保護法」反対の市民集会などもやってきましたが、従来の市民集会と比べても関心が高く、参加者が多かったことから、市民集会よりも、多くの方々に参加してもらえるようなイベントが期待されていると考え、今回、弁護士会として初めて、「大集会&パレード」に取り組むことにしました。

この集会に向けては、これまで以上に、若手弁護士が力強い協力をしてくれています。これまでにも多くの参加の呼びかけを行ってきましたが、この間は、弁護士会の公式キャラクターである「ヒマリオン」も投入し、大学近くで、大学生向けの宣伝も行いました。30分で500枚のポストカードがなくなるなど、若い人たちにも反響は大きいんだと実感しました。


ある憲法学者の言葉で、「政治は憲法に従わなくてはならない」という言葉がありますが、とにかく今回の法案は、政治が越えてはならない一線を越えています。今回の集会で掲げている「集団的自衛権行使容認」反対、「特定秘密保護法」反対は、日弁連と全国52のすべての弁護士会が一致しています。明確な憲法9条違反です。

兵庫県弁護士会は、安全保障法制についても、集団的自衛権行使を認める点で憲法違反の法律であるとともに、後方支援活動の範囲が拡大し、他国の軍隊の武力行使と一体となる危険性が高く、海外における武力行使につながると考えており、「平和安全法制整備法」案、「国際平和支援法」案に反対し廃案をもとめる会長声明を発表しています。

今回の法案は、自衛隊員の生命を危険にさらすだけでなく、私たちの生活にも影響がある改正であることも忘れてはならないと思います。

特定秘密保護法がある中で、10分な情報提供が国会や報道機関になされない状況で、「存立危機事態」だとして集団的自衛権が行使されることになれば、日本を攻撃していない国に対して攻撃を行うことになります。攻撃を受けた相手の国も、日本に対し反撃しようとするでしょうから、日本は武力攻撃されるおそれがあるとして、今度は「武力攻撃事態」を認定することになるでしょう。そうなれば、すでに2004年に制定された有事法制の一つである自衛隊法103条が起動します。この条文は、私たちの土地や建物の収用を可能にし、生活必需品の輸送を制限でき、空港や港湾なども軍事優先に利用されるようになりますし、医療従事者なども徴用することができます。

日本が攻められていなくても自衛隊が海外で武力行使をする、その影響が私たちの生活にも及んでくるといった「リアルな現実」を想像し、これまで国民が憲法9条によって、渡してこなかった強大な権限を差し出す法案であることも知っていただきたいと思います。


私たち弁護士の最大の使命は、基本的人権の擁護にあります。戦争は最大の人権侵害であり、市民の人権は平和の中でしか守ることができないことは歴史が証明しています。弁護士の使命にかけて、6月21日の集会(14時~、三宮・東遊園地)を成功させるためにがんばります。ご協力をお願いします。(談)

(2015年6月14日付「兵庫民報」掲載)

新婦人:女性たちのレッドアクション


「戦争法案は廃案に!」の世論と全国津々浦々の行動、女性の「レッドアクション」が大きくひろがって、今、安倍政権を追いつめています。

新婦人はこの1カ月の間に22支部のべ230班400人が「レッドアクション」。署名は短期間で1万2,000筆をこえました。女性たちは、赤いのぼり旗、赤いTシャツ、スカーフや赤いタペストリーで地域、駅頭、スーパー前などで「戦争は絶対ダメ!」と力強くアピールしています。

「1カ月前と署名の反応が大きく変わった!」「中学生が『戦争に行きたくない!』と署名してくれた!」「1時間で署名が100筆近く集まった!」など、各支部から報告が寄せられています。

「毎日不安でたまらない」と子育てママたちが次々とマイクを握って宣伝行動や「違憲」「戦争NO!」の手作りプラスターで、Facebookで、街頭で、発信するなど若い世代が次々アクション。この6月議会に請願行動、国会議員に要請ハガキなど、どんどん支部、班からとりくみを広げています。

県本部は6月25日に「『平和の権利』は『女の権利』、戦争ダメ!女性たちのレッドアクションパレード」にとりくみます。憲法をこわす戦争法案を必ず廃案に追い込むために会の総力をあげる決意です。
(由利美香=新婦人県本部)


(2015年6月14日付「兵庫民報」掲載)

ストップ!戦争法案:灘区パレードに60人


「若者を戦場に送るな!」「憲法違反の戦争法案は廃案にせよ」「政府は憲法を守れ」、晴天に恵まれた6月6日のお昼前の灘区の空に力強い声が響きました。

戦争する国づくりストップ!憲法を守り・いかす灘区共同センター(略称=灘区憲法共同センター)が主催した、「ストップ!戦争法案 灘区パレード」が行われ、ベビーカーに乗った1歳の子どもとママパパをはじめ、老若男女60人が参加しました。

灘区憲法共同センターは5月16日に数年ぶりの総会を行い、戦争法案の学習と組織体制を強化しました。当初の予定では、6月6日は定例の宣伝日でしたが、情勢を踏まえて緊急にパレードを行うことを2週間前に決め、準備をしてきました。

午前11時にJR六甲道駅北側に集まり、出発集会をしたあと、水道筋6丁目の商店街まで約50分間、宣伝カーから平和や反戦の音楽を流し、ハンドマイクで訴えたり、「戦争法案反対!」「憲法を壊すな」とコールしたり、元気にパレードしました。

住宅街では音を聞いて、家から出てきてビラを受け取ってくれたり、商店街では笑顔や手を振り返す人も多く、用意していた200枚のビラも次々に受け取ってくれ、すべてなくなりました。

参加者からも「たくさんの反応があり、参加してよかった」「憲法違反の戦争法案を廃案にするために、さらに広げたい」などの感想がよせられました。

灘区憲法共同センターでは、引き続き、21日に行われる兵庫県弁護士会主催の「兵庫大集会とパレード」の成功に向け、地元での取り組みを強化していきます。

(福田耕治=灘民主商工会)

(2015年6月14日付「兵庫民報」掲載)

日本基督教団兵庫教区が「平和安全法制整備法」提案の撤回求める声明

日本共産党兵庫県委員会は月2日、「国会への『平和安全法制整備法』提案の撤回を強く求めます」との声明を5月18日の定期総会で採択・発表した日本基督教団兵庫教区を訪問し懇談しました。懇談に応じたのは、菅根信彦総会議長と小林聖牧師。県委員会からは、金田峰生国会議員団兵庫事務所長、小林明男国民県民運動委員会責任者、門屋史明国会議員団兵庫事務所長代理が参加しました。
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声明は、昨年の「集団的自衛権の行使容認」の閣議決定とともに今回の安保法制提案を、「立憲主義や国民主権の理念を愚弄する」ものと厳しく批判し、その提案の即時撤回を強く求めています。

小林牧師は、今回の法案については、「中身もひどいが、そもそも憲法違反のものを、憲法をかえることなく提案していることそのものが、許されない。日本国憲法のもとで生きる市民として、やり方そのものが間違っていると言わざるを得ない。さらに、80時間程度の短い審議で、自衛隊員に『死に行け』『たたかいに行け』ということを決めようとしている。自衛隊員の先輩である中谷氏(防衛相)も、どんな思いで言ってるんだろうと思う」と語気を強めました。

菅根議長は、「日本基督教団は、過去の戦争に戦時体制に組み入れられたと同時に、弾圧をうけた方もいて、この痛苦の反省にたって、50年代に憲法擁護の声明をだした。その立場で、小泉政権の時の有事法制、このあいだの秘密保護法案などにも反対する声明を出してきました。今回、法案をなんとしても食い止めるために共同を広げようと思い、各政党本部にも送らせていただいた。来ていただいてありがたい」と話しました。
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金田氏らは、「しんぶん赤旗」に掲載されている志位委員長の質問、6月21日の「兵庫大集会・パレード」(兵庫県弁護士会主催)などを紹介しました。

(2015年6月14日付「兵庫民報」掲載)











日本基督教団兵庫教区は5月18日に開いた定期総会で、声明「国会への『平和安全法制整備法』提案の撤回を強く求めます」を採択し、衆参両院議長や各政党本部に送付するなど、強く訴えかけています。

声明「国会への『平和安全法制整備法』提案の撤回を強く求めます」


2015年5月15日、政府は安全保障関連10法の改正案と共に新たに恒久平和支援法案を一括で「平和安全法制整備法」として、国会衆議院に提出しました。これらの法案は、2014年7月1日になされた「集団的自衛権行使容認」の閣議決定ならびに2015年4月27日の「新たな日米防衛協力の合意」を受けたものであり、自衛隊の活動範囲を事態的にも地理的にもほぼ無限とも言えるところにまで広げ、世界中のあらゆる所で米国および他国軍隊と共に武力行使を可能とするものです。これらの改正法案ならびに新規立法の国会への提案は、明らかに日本国憲法9条に反する違憲行為であると共に、憲法改正の手続きを経ずに実質的に改正をはかろうとする行為であり、それは立憲主義や国民主権の理念を愚弄するものであるとも言えます。

過去の過ちの中から平和を願い努力し続けてきた私達の歩みをないがしろにするばかりか愚弄さえする現安倍内閣の暴挙に対して、私達は強く抗議します。そして、2014年7月1日の閣議決定の取り消しと共に、この度の「平和安全法制整備法」の国会への提案を違憲行為であると認め、その提案の即時取り下げを強く求めます。

2015年5月18日
第69回/「合同」後46回日本基督教団兵庫教区定期総会
兵庫教区総会議長・菅根信彦


また、総会への提案理由は次のとおりです。

70年前、私達の国は、内外に大きな痛みと苦しみ、悲しみを背負わせた戦争に対する反省と後悔の念の中で新たに歩み直そうと決意しました。しかし、現在の安倍晋三首相ならびに安倍内閣は、その様な平和への強い願いや営みを踏みにじり、この国を「戦争する国」へと変質させようとしています。

今回の法改正がなされた場合、日本の自衛隊は世界のどこでも米国および他国の軍隊と共に武力を行使する事が可能となりますし、更には国連が統括しない有志連合が行う行動にも関与する事が可能となります。また、上記の様な共同行動において、任務遂行のために自衛隊の武器使用を認めようともしていますが、それが意味する所は敵対する相手の殺傷であり、これは明らかに戦闘行為です。そもそも集団的自衛権とは、「自衛」と称されていますがその実態は他国(同盟国)を守ることであり、本来的な「自衛権」とは性質を異にするものなのです。今回の法改正が意味しているのは、「積極的平和主義」等というまやかしの言葉で飾り立てられてはいますが、突き詰めるならば「アメリカの戦争に自衛隊が協力する」という事でしかありません。

そして、何より重要なのは、今回の改正案の多くが憲法9条に違反しているという事です。もし仮に政府が自衛隊を海外に派兵し、その地での戦闘行為に協力をさせたいのであれば、憲法を改正する以外にはないのです。ところが、憲法改正という手段ではなく、憲法の条項を法律の改正により実質的に改変しようとしているのです。これは、立憲主義の基本的な理念に反する行為です。また、10の法改正と1つの新たな法の成立を一括で提案し、更にはその審議を「80時間」という短時間の議論で衆院通過を目論んでいる政府の態度は明らかに国会軽視であり、先の「正式な手続きを経ずに、法律で憲法を改変する」と共に国民主権という日本国憲法の根幹すらも軽視していると言わざるを得ません。

私達は恒久的な平和主義をかかげ、平和的生存権を保障する日本国憲法を有する国に生きる者としても、そしてまたいのちを愛し、平和とつくり出す信仰者としても、今回の法整備を許すべきではなく、強く反対の声をあげていかねばならないだろうと考えます。

西宮母親大会が特別決議:〝戦争法案に反対〟

第45回西宮母親大会が6月6日、西宮市役所東館で開かれ、200人が参加しました。


子育ても音楽も楽しみたいと立ち上げた「子連れオーケストラ、西宮きらきら母交響楽団」の素敵な演奏ではじまり、西宮母親大会実行委員長、県母連実行委員長の挨拶のあと、「ひょうご母親大会合唱団・西宮・芦屋」のみなさんによる、心に響く合唱が披露されました。

フリージャーナリストの西谷文和さんが「人の命が大切にされる世界を――過激武装組織IS人質事件がなげかけること」と題して記念講演しました。

西谷さんは「政府の中にIS人質事件を利用して敵がい心をあおり、自衛隊海外派兵の世論形成につなげようとの狙いがあったのではないか」の指摘もあり、自らシリア・イラク等で取材された悲惨なシリア内戦の事実、破壊された街、失われていく命、傷つく子どもたちの様子を映像を通して紹介しました。イスラム国はなぜ現れたのか、その背景には中東地域で戦闘やテロ等がずっと続くことによって利益を上げる軍需産業、ウソをついてでも戦争へと導く勢力があることも強調しました。また、もっとも大切な事実を報道しなくなっているメディアへの批判は参加者の共感を呼びました。「集団的自衛権行使容認は戦争への道である。自衛隊でなく私たちは平和憲法を輸出しよう」と訴えました。

最後に「大会アピール」と〝戦争法に反対していきましょう〟との「特別決議」が採択されました。

「記念講演は、大変おもしろく、楽しく、しかしすごい内容で感動しました。」「戦後70年に相応しい素晴らしい大会でした。」などの感想が寄せられました。

(渡辺玲子=西宮母親大会実行委員長)

(2015年6月14日付「兵庫民報」掲載)

私たち教職員は二度と同じ過ちは繰り返さない

兵庫高教組書記長 梅林真道


兵庫高教組は、今年度新たに会館の外壁に横断幕を掲げ、外部に対しても「教え子を再び戦場に送らない」という決意を示しました(写真)。

このスローガンの〝主語〟は「私たちは」です。「私たち教職員は二度とあの同じ過ちは繰り返さない」という決意なのです。今こそ、戦後70年間掲げ続けてきた、このスローガンが輝きを放つ時です。

5月30日、安倍政権による「戦争法制」が国会で審議されているという極めて重要な局面の中、高教組は第99回定期大会を行いました。そして、今年の取り組みの中で最も力を入れるべき問題は、平和(反戦)の問題であることが確認され、また、そのためにこそ組合員一人ひとりが主役となって組織を強く大きくする運動に取り組もうという決意を新たにする大会でした。

昨年に引き続き、本部提起を積極的に受け止めた青年教職員からの前向きな発言も多く、また、発言者のうち4割が女性で、その事も今までとは違った新鮮な雰囲気をもたらしてくれました。職場や各単組・支部・専門部での様々な地道な取り組みを通して、改めて組合の大切さ・必要性を再認識させられました。

「組合を辞めようかと思った時期もあったが、組合の存在意義がわかってくればくるほど大切だと感じている。自信を持って『一緒にやろうよ』と声を掛けていきたい」――こういう新しい世代の声に、時には励まされながら、また時にはしっかりと寄り添いながら、今後の展望を見据え運動を構築していきたいと思います。

(2015年6月14日付「兵庫民報」掲載)

兵庫県AALA連帯委員会が総会:


7日、兵庫県アジア・アフリカ・ラテンアメリカ(AALA)連帯委員会は、日本AALA連帯委員会の小松崎栄氏を迎えた学習会を開催するとともに、4年ぶりとなる第34回総会を開催しました。

学習会では、「東アジアを平和、協力、繁栄の共同体に」と題し、小松崎氏が約1時間を講演。昨年、日本AALAでおこなった「アセアン訪問」の様子も紹介しながら、東南アジアの平和共同体について詳しく紹介したうえで、「経済的にもアジアの比重が高まっているなか、東アジア共同体の可能性も必然性も高まっている」と紹介。しかしその最大の障害になっているのが、安倍政権の暴走だと指摘。「東アジア共同体は、安倍内閣が狙う『戦争法案』の対抗軸でもある。『戦争法案』阻止のたたかいをひろげ、東アジアの新しい平和の流れをきりひらこう」と訴えました。

第34回総会では、経過報告、決算報告をおこなったうえで井村弘子常任理事が「戦争立法阻止」「辺野古新基地建設反対」「東アジア平和共同体実現めざす国際署名」など2015年度の活動方針や新体制などを提案。満場一致で採択されました。総会をうけて、兵庫県AALA連帯委員会は、会長に貫名初子氏、理事長に白石勉氏が再任され、新事務局長に井村弘子氏が着任しました。


(2015年6月14日付「兵庫民報」掲載)

全労連:初級教育制度「わくわく講座」開講

記念講演する中田進氏

労働組合の基礎を学ぶ全労連初級教育制度「わくわく講座」が今年からスタート。労働者の権利や憲法、ナショナルセンターの役割などをこれから組合役員になってもらいたい人や役員になって日が浅い人が学びます。

兵庫県内では80名以上が受講することになりました。6月7日には神戸市勤労会館にて開講式が行われ、兵庫県内の受講生やサポーターなどが集まりました。

記念講演では関西勤労者教育協会の中田進氏が「労働組合の社会的役割、学習意義」をテーマに分かりやすく語りました。中田氏は憲法について、条文だけでなく歴史的観点からもやさしく楽しく解説し、憲法の魅力を紹介しました。また、労働組合の社会的役割は経済・政治・思想の三つの闘争があり、とりわけ思想闘争は「無知は無力」とあるように資本の思想があふれている現在では労働者としての学習教育が必要と強調。戦争法案・派遣法など直近情勢にも触れながら、社会が大きく変わろうとしている中で労組の活動が問われていると指摘し、ぜひ受講生はそろって修了してほしいと期待がこめられた講演となりました。

講座の制度や使用するシステムについて説明が行われた後には、受講生がそれぞれ思いを語り交流しました。「団体交渉では思いどおりにならないこともある。是非勉強したい」「執行委員会の中で受講しようとなった」「後輩に伝えていくために受講」「働くとは何かを学びたい」など熱い胸の内が明かされる場となりました。

参加者からのアンケートでは講演について「わかりやすく楽しかった」「憲法を歴史的観点から聞けて勉強になった」「組合活動の必要性を知って頑張ろうと思った」「やる気が出ました」などの記載が多く、学習意欲がさらに深まった開講式となりました。

受講生は11月までの6カ月間、テキストでの独習を基本に、職場や地域でサークルでの学習会や講座専用のウェブシステムも利用しながら修了をめざします。

(土井直樹=兵庫労連事務局次長)

(2015年6月14日付「兵庫民報」掲載)

借り上げ住宅:神戸市の理不尽な明け渡し通知許せない

借り上げ住宅協議会・弁護団が声明

期限について何の記載もない入居許可書を示し市の理不尽さを批判する
丹戸さん(中央)と(その左右)佐伯弁護団長、安田代表

神戸市が兵庫区キャナルタウンの借り上げ住宅居住者に6月3日付で「借上期間満了に伴うご注意」を普通郵便で、次いで「借上期間満了に伴う明け渡しについて(通知)」を内容証明郵便で送りつけ、退去を迫っている問題で、8日に借上復興住宅弁護団(佐伯雄三団長)が、9日にひょうご借り上げ住宅協議会(安田秋成代表)がそれぞれ声明を発表しました。
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弁護団は声明で、市が公営住宅法を明け渡しの根拠としていることに対し、今回の対象となっている入居者は同法の改正以前に入居しており、同法は適用されないと指摘。当時の借地借家法の規定により期限の定めの有無にかかわらず、借受人(入居者)が居住を必要としている事情が優る限り、市からの解約申し入れの「正当事由」は認められないと主張。明け渡し通知を直ちに撤回するよう求めています。

さらに、仮設住宅、復興住宅と度重なる転居を迫られ、コミュニティが破壊されてきたことから、三度「きづな」を破壊することは許されないとし、入居者に寄り添い、継続入居に向け、URと借り上げ期間延長に向けた交渉を行うよう求めています。
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今回、通知を受けた丹戸郁江さん(71)は弁護団の声明発表に同席し、年金は4万5,000円で経済的に困難である上、難病も抱え、同住宅に一般の賃貸で入居している妹夫妻と助け合うことでなんとか生活できていることなど、転居が困難な事情を語るとともに、継続入居の意思を示す欄のない「完全予約制」申し込みをしつこく迫られた上、明け渡し通知を送りつけられたことについて「こんな理不尽は許せない。なんで私たち(入居者)抜きに決めるのか」と訴えました。

佐伯団長や安田代表らも、入居者を支え、「希望者全員の継続入居」を求め、取り組みをいっそう強めると表明しました。

(2015年6月14日付「兵庫民報」掲載)

災害援護資金返済免除借受人・保証人救済へ

県・神戸市と懇談―復興県民会議


阪神・淡路大震災救援・復興兵庫県民会議は、災害援護資金の返済免除問題で6月4日、兵庫県、8日、神戸市と懇談しました。

これには、岩田伸彦事務局長ら各団体代表らが参加。阪神・淡路大震災を対象にした返済「免除」の内閣府通知にもとづく自治体での具体的なとりくみの説明を受けるとともに、あらためてすべての借受人と連帯保証人の救済を要請しました。

兵庫県の担当者は、災害援護資金の償還事務にかかわる県内11市の担当者を集め、内閣府の通知にもとづいて、その主旨の徹底を図ったことなどを説明しました。

神戸市の担当者は、ことし6月から1年間、少額償還中の借受人の償還請求を保留し、「資力状況調査」を行うと説明。借受人が「弁済できる見込みなし」の場合、支払猶予(1年毎の更新)とし、保証人も「弁済できる見込みなし」の場合は「償還免除」とします。保証人が「弁済できる見込みあり」の場合は「支払猶予を継続」します。

市の担当者は、「被災者の生活再建を最優先にして、新・法定免除制度を最大限に活用し、速やかな償還免除事務を進める」と強調しました。

(2015年6月14日付「兵庫民報」掲載)

堀内衆院議員:年金個人情報流出を追及

マイナンバーは見送るべき


堀内照文衆院議員は、いま大きな問題となっている日本年金機構の個人情報流出問題に関して、6月3日の衆院厚生労働委員会で、同機構が委託した年金データ入力業務で違法派遣が行われていた実態を示し、個人情報を扱う業務の外部委託はやめるべきだと主張しました。

堀内氏の質問で、塩崎大臣は、年金機構の人員配置2万1,974人中、正規職員が1万880人として、外部委託が半数以上になることを明らかにしました。

その上で堀内氏は、同機構から年金データ入力業務を請け負った会社が労働者派遣法に基づく許可・届出のない別会社に社員を派遣、業務に従事させていたことを指摘。この派遣会社の住所に実体はなく、従業員に給与も支払わないなど、個人情報をまともに扱える事業者ではないことを明らかにし、「厚生労働省として労働環境の実態を調査すべきじゃないか」と迫りました。

これに対し、塩崎大臣は「調査を検討したい」と答弁。日本年金機構の水島藤一郎理事長は「(作業スタッフが)派遣であったとは把握していなかった」と述べ、外部委託した業務の実態をつかんでいなかったことを認めました。

堀内氏は、社会保険庁を解体・分割し、大切な個人情報を扱う体制になっていないと批判し、「不正常な状態を見抜けない業務委託の在り方そのものに無理がある」と述べ、外部委託を中止するよう求めました。

さらに堀内氏は、「今回の問題でマイナンバー(共通番号制度)の危険性が改めて浮き彫りになった」として、「ひとたび流出したら、致命的な被害になる。それを回避するにはリスク分散をするしかない」と強調。審議中の番号制度の対象拡大法案は廃案にして、原因究明や再発防止策が定まるまでは、10月からの番号通知や来年1月からの利用開始は見送るべきだと強く主張しました。
(2015年6月14日付「兵庫民報」掲載)

なまの舞台をごいっしょに:加藤健一事務所『バカのカベ~フランス風~』

神戸演劇鑑賞会6月例会


ピエール(風間杜夫)とフランソワ(加藤健一)

パリのマンションの一室で繰り広げられる爆笑喜劇。風間杜夫・加藤健一・平田満(声のみの出演)が30年振りに共演する、見逃せない舞台です。

出版社を経営するピエール(風間杜夫)はパリのマンションで暮らしている。彼には悪趣味がある。毎週火曜日の夜に、これぞ〝バカ〟と呼べる人物を招き、友人たちと笑い者にする卑劣なパーティを開いている。

今夜のゲストは、税務署員のフランソワ(加藤健一)。しかし、この日ピエールはぎっくり腰になり、一歩も動けない状態に。そこへ、フランソワがやって来る。ピエールは動けないままに、フランソワに、あれ取れ、こうしろと指示をするのだが、する事、なす事、裏目に出る。激しいピエールの怒号に従い、必死で動き廻るフランソワ。だが、必死になればなるほど指示どおりに動けない。

そこへ、夫の悪趣味に愛想をつかして家を出ていた妻・女流作家が巻き込まれ、更に、とんちんかんな騒動が起こる。その上、国税局の査察官がやってくる事態に。慌てふためくピエールだが……。

風間杜夫の生真面目な男振り。加藤健一のちょっと天然ぼけががっちり組み合い、醸し出される爆笑。品の良い台詞と〝バカ〟を見下すことの風刺も込められている、上質な喜劇です。

(小谷博子)

加藤健一事務所公演『バカのカベ~フランス風~』/作=フランシス・ヴェベール、訳・演出=鵜山仁、出演=加藤健一、風間杜夫ほか/①6月28日(日)18時②29日(月)13時30分/神戸文化ホール中ホール/会員制(入会時に入会金1,000円と月会費2カ月前納)、月会費3,500円(大学生2,000円、中高生1,000円)/☎078・222・8651、Fax078・222・8653

(2015年6月14日付「兵庫民報」掲載)

前進座『南の島に雪が降る』:7月17日

二度と戦争をしない戦争を風化させてはならない

劇団前進座 藤川矢之輔


ニューギニアのマノクワリに駐屯している日本軍兵士は、物資の補給を絶たれ、飢餓と疫病に苦しみ、日ごとに死者が増していきます。作れる物は芋ばかり、タンパク源であるトカゲやねずみを奪い合う毎日、その兵士たちを勇気づけたのは、芝居でした。

前進座の大先輩で後に東宝の映画俳優となった加東大介さんは、大阪公演中に召集令状を受け、ニューギニアに行き、演芸分隊を組織、さらにジャングルの中に劇場を建て、引き揚げの前日まで芝居を上演し続けました。

衣裳もかつらも小道具も、何もかもが手作り、軟膏と天花粉で白塗りし、口紅の代わりに赤チンをさした女形、落下傘を着物に仕立て直し、ブリキの台に墨汁で染めた麻縄や馬の尻尾を植えたかつら、役者も本職は加東さんだけ、あとはスペイン舞踊のダンサーや博多にわかの得意な真言宗の僧侶など、彼らを加東さん一人が指導するのです。

しかし「瞼の母」の劇中で紙の雪を降らせると青森出身の兵士たちが泣き、中にはその雪をつかみながら息を引き取る兵士も。悲惨な戦場で芝居が果たした役割、そして何もないところから芝居を創る苦労は、今の私達には想像もつきません。

現在97歳の方がニューギニアで芝居を観て感動した、という記事が某新聞に掲載されました。その実話を原作にした「南の島に雪が降る」を、戦後70年企画として神戸で公演します。

二度と戦争をしない、戦争を風化させてはならない、という強い思いを込めてこの芝居を創ります。


戦後70年特別企画・前進座公演『南の島に雪が降る』/原作=加東大介、脚本=瀬戸口郁、演出=西川信廣、協力=加藤武/7月17日(金)14時開演/神戸文化ホール中ホール/観劇料(税込み)5,000円、22歳以下3,000円/全席自由/主催=前進座『南の島に雪が降る』を観る会(問い合わせ先=年金者組合兵庫県本部☎078・371・2204、前進座大阪営業所☎06・6212・9600)


(2015年6月14日付「兵庫民報」掲載)

みんぽう川柳〈5月〉「消費税」

 選者 島村美津子

特選


一膳の飯もきっちり消費税
明石市 小西正剛

【評】天下の悪税「消費税」貧しいものが生きるのに最低必要な一膳の飯にも消費税、掲句はたんたんと事実を詠みながら押さえ切れない怒りが沸いてくる、ますますひろがってゆく格差。消費税大増税ストップ。

入選


消費税今にみてろとレジを打つ
神戸市 長沼幸正

八パーセント家計に響く母子家庭
神戸市 誠かおる

消費税食べるの悪いことですか
吹田市 喜田啓之

粗食のわれあざ笑うのか消費税
神戸市 山本尚代

弱者にもおまけは無しの消費税
神戸市 熊谷敏子

汗涙どこまで絞る消費税
神戸市 兵頭和子

消費税大企業には戻る税
神戸市 与茂田正

消費税そうだったのか米軍費
神戸市 川上俊智

消費税一泊旅行無縁なり
神戸市 松尾美恵子

家計簿へ着ぶくれていく消費税
神戸市 玉山歳子

消費税上がり駄菓子屋店仕舞い
神戸市 山元三恵子

税上がり夫の小遣いまたへらす
神戸市 藤田幸子

小銭入れさらえて払う消費税
神戸市 西川智子

米を研ぐ税もいっしょにゴシゴシと
大阪市 竹原春江

(2015年6月14日付「兵庫民報」掲載)

曲芸はやめろ 憲法を守れ

段 重喜

(2015年6月14日付「兵庫民報」掲載)

観感楽学

「戦争法案」にたいしての志位委員長の質問が、大きな反響を呼んでいます。YouTubeの視聴回数は、党首討論が6万回を超えたのをはじめ、SNSでも大きな話題となっています▼安倍政権の暴走は確かに常軌を逸していると言わなければなりませんが、国民的な反撃が力強く、急速に広がっている事は心強い限りです▼著名人からの懸念や批判の声が相次いでいますが、今年のアカデミー賞長編アニメ賞にノミネートされた高畑勲監督は、「(憲法9条が)政権の手足を縛ってきたのです。これを完全にひっくり返すのが安倍政権です」「『普通の国』なんかになる必要はない。ユニークな国であり続けるべきです」「私たちはかつてない驚くべき危機に直面しているのではないでしょうか。あの戦争を知っている人なら分かる。戦争が始まる前、つまり、いまが大事です」と警鐘を鳴らしています▼私の住んでいる地域でも、戦争体験者が「安倍さんは、戦争を経験してないから、怖いね」と語り、ある女子大では、民青同盟員がランチタイムをつかって「戦争法案」の危険性を語り合うなど多様な取り組みがはじまっています▼老若男女、立場や世代の違いを超えて「戦争法案」ストップの一点共同を今こそ。 (T)


(2015年6月14日付「兵庫民報」掲載)