堀内照文衆院議員は、国会審議に入った労働者派遣法改悪案にかかわって、この間、2度質問にたちました。
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5月12日は、衆議院本会議で、法案の趣旨説明に対して、安倍首相などに党を代表して質問しました。
堀内議員は、労働法制は本来、人間らしく働ける環境をつくるためのもので、「打破すべき岩盤規制」とは呼べないと、安倍晋三首相の姿勢を厳しく批判。戦後の労働法制の大原則である直接雇用に風穴を開けるのが労働者派遣法の制定だったと指摘。その後、規制緩和が進められ、非正規雇用を拡大させたと述べました。さらに、今回の改悪案は①派遣元に無期雇用されていれば期間制限をなくす②労働組合から意見聴取すれば、受け入れ期間を際限なく延長できる③別の部署に配置換えすれば、同じ人を使い続けられる―と問題点を指摘。「正社員から派遣への置き換えがますます進むことになる」と迫りました。
安倍首相は、派遣延長について、「(会社側が)事前に対応方針を説明する」というだけで常用代替防止の担保を何も示せませんでした。派遣労働者の正社員化についても、「正社員募集の情報提供を義務付ける」と繰り返すだけ。堀内議員は「教育訓練や情報提供をいくら進めても、正社員への登用が保障されない。派遣先に雇用責任を果たさせるべきだ」と求めました。
また、堀内議員は日本の雇用慣行が損なわれる場合は再検討するなどとの「修正」がくわえられたことについて、「派遣労働が拡大することを危惧しているということだ」と指摘。「労働者に『生涯派遣』を押し付けるような法案は廃案以外ない」と批判しました。
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5月15日には、厚生労働委員会で質問しました。
堀内議員は、今回の派遣法改悪が派遣を使い続けたいとの経済界の要望を受けたもので、とても審議するに値しないことを浮き彫りにするべく質問をおこないました。
堀内議員が、派遣先企業が派遣の受け入れを延長する場合に義務とされる職場の過半数労働組合などの意見聴取について、「組合がそもそも応じなければどうなるのか」とただすと、坂口卓厚労省派遣・有期労働対策部長は「派遣先は意見聴取を働きかけたので、手続きを怠ったとは考えにくいが、審議会で議論してほしい」とのべ、意見を聞かなくても期間延長できることを示唆しました。堀内議員は「(法案には)意見を聞かなければならないとはっきり書いてある」と批判しました。
また堀内議員は、技術者派遣大手シーテックが2009年、無期雇用の派遣労働者4,800人を1~2カ月「自宅待機」にした後に解雇した事例を示し、「安定とは程遠い」と強調したうえで、無期雇用の派遣労働者の実態を告発しました。
「医療材料の物流を行う会社で、初めは登録型派遣で働き、その後、無期雇用の派遣社員となった。要冷品を扱うため、5℃の冷蔵庫で一日働き、無期雇用ということで日直や当直を次々入れられる。10年つとめたが身体がボロボロになり、辞めざるを得なかった」という神戸の労働者の実態を紹介し、「無期雇用といっても、心身を壊してやめなければ、劣悪な雇用環境が継続するだけ。安定とはほど遠い」と語気を強めました。
堀内議員は、改悪案の施行日を9月1日にしたのは、違法派遣の場合に派遣労働者を直接雇用にする「みなし制度」の10月施行を発動させないためだとのべ、「動機も目的も労働者保護とはかけ離れたものだ」と批判しました。
(2015年5月24日付「兵庫民報」掲載)