被災者救済へ国は責任を
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堀内衆院議員 |
2月26日、10年ぶりに兵庫県出身の国会議員として選出された堀内照文衆院議員が、衆院予算委員会で初質問に立ち、阪神・淡路大震災から20年の課題を取りあげ、兵庫の声と心を国会に響かせました。
借り上げ住宅
「私も、神戸在住で、被災者の一人」と述べた堀内議員は、政府の被災者支援、阪神・淡路大震災被災者への基本認識をただしたうえで、借り上げ公営住宅問題を取り上げ、「ついの住みか」であったはずの借り上げ住宅から「20年の期限が来る」と被災者が追い出されようとしている実態を告発しました。
神戸市が示す継続入居の条件「85歳以上」にわずか1カ月足りない84歳11カ月の女性の「震災の後遺症で重いものが持てず、買い物は何回も往復しないといけない。病院は5カ所に通う。スーパーも病院も近いから何とか暮せる」との実態を紹介。「こういう人に住みかえを迫ること自体が生活基盤を破壊することになるのではないか」と追及しました。
また、難病のため車椅子で生活している男性が「1階に住んでいたが、該当する住みかえ先は一つしかない」と市に言われ移った先が14階。その3カ月後に市は障害者は継続入居できると方針転換し、その上その借り上げ住宅を市が買い取ることになったのに、男性の戻りたいとの希望には応えていない事例も紹介しました。
堀内議員は、こうした実態を「政治によってまさに新たな苦難を強いている。復興災害と言わざるを得ない」「大震災で九死に一生を得た被災者に対しこんな仕打ちをするのが日本の政治であっていいのか」と批判し、国土交通大臣に「自治体まかせにせず、国としても責任を果たすべき」と迫りました。
これに対し、太田昭宏国土交通大臣は、「兵庫県や各市に対し、入居期限後の支援策全般について、きょう出た例などもだして、丁寧な対処をしていただけるようにしたい」と答弁せざるを得ませんでした。
災害援護資金
また被災者生活再建支援法がないもとで、多くの被災者が頼らざるを得なかった災害援護資金の返済問題では、月1,000円の少額返済で「完済まで147年」と報道されていることも紹介し、自治体の判断を尊重し、返済免除の弾力的運用を求めました。
被災者生活再建支援法
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山谷防災担当相(向こう左端)、太田国交相(同右から2人目)らに迫る堀内議員(手前左端) |
被災者生活再建支援法の抜本拡充については、「他の制度などとのバランスを勘案」することが必要だとする山谷えり子防災担当相に対し、堀内議員は、「被災者生活再建支援法は、阪神・淡路の被災者にとっても悲願。阪神・淡路の被災者がバランスを欠いていると言ったことはない。何よりも自分たちのような苦しみを今後同じ被災者に味わわせたくないと制度の実現を喜んだ。一人ひとりの生活再建を図るという基本にたって、被災者の実態から出発し、切実に求められている支援法の抜本拡充を」と迫りました。
兵庫県から4人が傍聴、県内各地でも視聴
兵庫県から4人が上京して傍聴しました。終了後の堀内議員との懇談では、「とてもよかった」「地元の被災者の励ましになる」「一緒にたたかってきた堀内さんの質問は、感無量。今後のたたかいに生かしたい」などの感想を話しました。堀内議員は「終わった後、大島理森予算委員長も『かわいそうだよなあ。追い出しちゃあ』と語っていた」と紹介しました。
懇談中には、堀内室に自民党支持者という方から「たいへんよかった。民主党みたいな足の引っ張りあいじゃなく、中身のある質問だった。新人ですね。頑張ってください」と連絡もありました。
当日、神戸市内では、ひょうご借り上げ住宅協議会が開かれ、堀内質問をインターネット中継の録画で視聴しました。質問で紹介された声を寄せた入居者も参加しており視聴後は拍手喝采。「私たちの声がこんなに直接、国会に届けられるなんて夢のよう」など感想が寄せられました。協議会は録画をDVDにして多くの入居者に視聴してもらうことにしました。
