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2015年3月1日日曜日

原発なくす会など県庁包囲:高浜原発3・4号機再稼働させないで!


「高浜原発3・4号機の再稼働はさせないで!」と2月21日、500人の県民が兵庫県庁を包囲し、関西広域連合の長でもある井戸敏三知事に訴えました。原発をなくし自然エネルギーを推進する兵庫の会、さよなら原発神戸アクション、原発ゼロ!核兵器ゼロ!ZEROこねっとが呼びかけたものです。

主催者挨拶で兵庫の会代表の金持徹神戸大学名誉教授は「『原発をなくしてほしい』が国民世論の多数。しかし政府は、原発をベースロード電源と位置づけ、次つぎと再稼働させようとしている」と批判しました。

アピールタイムで、福井県小浜市・明通寺の中嶌哲演住職は、住民が避難しなければならない事故をおりこんでの再稼働はとうてい許せないと批判するとともに、「百万ドル夜景を前にしんしんと死の灰つもる音を聞きおり」(奥本守『歌集紫つゆくさ』)という短歌を紹介し、「原発再稼働を許すことは『死の灰』をさらに増やすこと」「電力消費地である関西でこそ『再稼働ストップ』の声を広げてほしい」と訴えました。

ZEROこねっとの橋本銀河氏は、毎週金曜日の関西電力神戸支店前行動の参加者がのべ1万人を超えたことを報告し、「未来を決めるのは電力会社ではなく私たちだ」と強調。姫路支店前行動を続ける脱原発はりまアクションの小野純一氏らは「種を播こうよあきらめずに」と歌で訴えました。

堀内衆院議員(左から4人目)も参加

この行動には堀内照文衆院議員も駆けつけ、激励。参加者と手をつなぎ県庁を包囲しました。日本共産党県議団からは杉本ちさと県議が参加しました。

(2015年3月1日付「兵庫民報」掲載)

知事に要請書提出:福井地裁判決を尊重しすべての原発廃炉を

原発をなくし自然エネルギーを推進する兵庫の会は2月20日、兵庫県知事あてに「関西電力に対し、すべての原発の廃炉を要請すること」などを求める要請書を提出しました。

要請項目は―▽福井地裁判決を尊重し、関西電力に対し、すべての原発の廃炉を要請すること▽大飯原発3・4号機運転差し止め事件控訴を取り下げるよう求めること▽福井県からの避難者受け入れの計画を策定し、不十分な状態での再稼働には反対を表明すること。また、兵庫県民の避難について公表し、県民に徹底すること▽関西広域連合長として、原発再稼働において、立地自治体のみならず影響をうける全ての市町村の意思確認を「容認」の絶対条件とするよう政府にもとめること―など10項目で、関西広域連合の「原子力防災対策に関する申し入れ」(昨年12月25日)で再稼働の前提条件としてあげたことを、国に強く求めることを要望しました。

この要請には日本共産党から国会議員団兵庫事務所長の金田峰生氏が参加し、「避難対策では住民を被曝させないことを基本に」「原発ゼロの決断を」と求めました。

(2015年3月1日付「兵庫民報」掲載)

県補正予算案――きだ・ねりき両県議が質疑・討論

子育て、中小企業支援こそ


兵庫県議会で2月16日、国の補正予算による県補正予算の審議が行われ、日本共産党のきだ結県議が質疑を行い、ねりき恵子県議が反対討論を行いました。

《きだ結県議の質疑》


全県で第3子の保育料を無料に


きだ県議は、そもそも地方経済を疲弊させている一番の原因は、アベノミクスと消費税増税であり、景気回復どころか、ますます県民の暮らしと地方を疲弊させると指摘。働く人の賃上げ、地域に根付いた中小企業や農林水産業への支援、社会保障を充実して格差と貧困を是正する対策を求め、第一に、子育て支援や介護の充実を提案。

兵庫県内での、相生市の「子育て応援都市宣言」によって、近隣市町のなかで唯一転入者が転出者を上回る状況をつくりだした経験や、全国では、京都府が、府下すべての自治体の保育料を、(所得制限つきで)第3子以降無料にする方針を打ち出し、福井県では、国の交付金を使って、県と市町が協力して、保育料の無料化拡充などすすめていることを紹介し、兵庫県でも、こどもの医療費の無料化や、保育料の無料化、すくなくとも全県で第3子の保育料を無料にする対策や、介護サービスの購入支援等の拡充を行うことを求めました。

井戸知事は、「経済対策で、乳児子育て支援事業等や特定不妊治療費助成事業に追加助成を行う。第3子の全県的な保育料無料化については、財政的な制約もあり、県としては直ちに困難」と答弁しました。

新規就農支援の強化を


きだ県議は、国が、TPPや大企業の農業進出をすすめる国家戦略特区を推進するなか、大規模農家への集約化一辺倒でなく、小規模・家族で行う農業、新規就農者への支援を、金額上乗せや条件を柔軟にするなど、抜本的な支援の拡充を強く求めました。

《ねりき恵子県議の反対討論》


破綻した「大企業呼び込み」型の補助金


ねりき県議は、兵庫県の、昨年7~9月期の実質県内総生産は、前年同月比で3.1%減、名目県内総生産も 1.8%減となり、実質県民雇用者報酬は2.8%減となっていることを指摘。「アベノミクス」が波及していないのではなく、消費税増税で暮らしと中小企業の営業をこわし、アベノミクスそのものが破綻していると主張しました。

外からの大企業「呼び込み」にたよる兵庫県の地域振興策の破綻が、90億円の税金を県がつぎ込みながら、わずか数年で撤退したパナソニック尼崎の例で浮き彫りになっていると指摘。税金を使った支援は、「呼び込み型」に偏るのではなく、地域に根づき地域経済を支えている、中小企業の育成や雇用補助などに切り替えていくべきと提案しました。

県補正予算のなかで、「促進地域への事業活動立地支援事業」1億3千万円は、企業立地の少ない郡部での立地に限られ、補助対象となる企業の設備投資額もそれ以外の地域の「10億円以上」から「1億円以上」に引き下げられていますが、この間の実績を見ると、結局制度を使っているのは大手企業が中心で、中小企業には使いにくい制度になっています。

雇用補助は正規雇用に対してだけでなく、期限付きの「非正規雇用」にも一人当たり30万円が支給されることになっています。不安定雇用を増やすことにつながりかねないと指摘し、反対しました。

不要不急の道路や農道、農地の集積・大規模化(中間管理機構)、「社会保障・税番号制度」(マイナンバー制度)実施に向けたシステム改修の費用1億7950万円が含まれていることにも反対しました。

(2015年3月1日付「兵庫民報」掲載)

2017年知事選挙へ―憲法県政の会が総会

組織・政策・候補者づくり活動強化へ基本戦略を決定



憲法が輝く兵庫県政をつくる会は2月19日、神戸市勤労会館で第11回定期総会を開き、加入団体、地域の会の代表ら約60人が参加しました。総会では、2017年の知事選挙にむけた組織強化、政策と候補者づくりなど「基本戦略」を決め、いっせい地方選挙にあたって県政転換の第一歩となる選択を訴えたアピールを採択しました。

田中耕太郎代表幹事が開会挨拶。消費税増税、改憲、原発再稼働など安倍政権の暴走政治のもとで県政のはたすべき役割を強調し、「県民の声をしっかりと集め、県政転換をめざす統一戦線組織としての役割を発揮していこう」と呼びかけました。

来賓として兵庫県自治体問題研究所の岡田章宏理事長、市民にあたたかい神戸をつくる会の津川知久共同代表が挨拶。安倍政権の「地方創生」に対抗する真の地方自治と憲法を生かした県政の実現を訴えました。

北川伸一事務局長が、医療・介護のシンポジウムや県内ブロックごとの要求学習会の開催、全県いっせいオレンジ宣伝、SNS向上委員会の立ち上げなど活動方針を提案しました。

討論では7人が発言。県保険医協会の池内春樹理事長、兵商連の磯谷吉夫会長ら各団体の代表らが「負担増や混合診療などの医療改悪をやめさせ患者負担軽減を」「住宅リフォーム助成を拒否するなど中小業者に冷たい県政を変え、住民の声に耳を傾ける知事を誕生させよう」と呼びかけました。このほか「米軍低空飛行を許さない平和な県政に」「災害被災者の生活再建に冷たい県政をかえよう」などの訴えが相次ぎました。

石川康宏代表幹事が閉会挨拶。「新しい共同の可能性が生まれている。この変化を敏感にすくいとり、県政転換のとりくみを広げよう」と訴えました。

(2015年3月1日付「兵庫民報」掲載)

「農協改革」当事者の思いは

日本共産党県農林漁民部長 金田峰生

「農協改革」への当事者の思いはどうなのか? 農協や農家を訪ね、声を聞いています。

ある農家の方は、「改革は必要だが、安倍首相から押し付けられる筋合いではない」とキッパリ言われました。

また、「准組合員の利用規制」や「監査を公認会計士法適用にする」ことが、「どうして農業所得の向上や地域活性化になるのか」という声も寄せられました。

農協の中心任務は営農支援です。それを支えるには別途事業収入が必要です。

また、例えば春に借金して苗を買い、秋に収穫した作物を売って返済するというサイクルに、一般金融のやり方を導入されたら、農家はやっていけません。JAのガソリンスタンドや店舗は地域の経済・生活を支えています。

ある組合長は、「農業をダメにしたのは全中の監査指導ではなく、歴代自民党政権」「TPP反対の全中を潰そうという腹だなというのは、現場はみんなお見通しです」と厳しく告発。また、「今回は中央会だが、次は県連、そして単位農協に矛先を向けてくるだろう」と危機感を強めています。

中山間農地が多く気候風土も違う兵庫県では、単位農協がそれぞれの地域に合った農業経営を支えることが必要です。組合合併ではなく、単位農協同士連携しあい、かつ、それぞれが努力をすることが有効です。農協間の調整や指導援助など、中央会の役割は重要です。

営農指導チームを新たに編成するなど、自己改革は始まっています。安倍自公政権による「上から目線」の改革押し付けは必要ありません。


(2015年3月1日付「兵庫民報」掲載)

県内各界・団体に3/6志位演説会を案内

日本共産党兵庫県委員会は神戸文化ホールでの演説会の成功へ、「幅広い団体に声を掛けよう」と、各界・団体への申入れ、案内を行っています。2月18日は、村上亮三県書記長と浜本信義常任委員が、兵庫県行政書士会、自治労兵庫県本部、兵庫県森林組合、兵庫県開拓農業協同組合、兵庫県民主医療機関連合会、兵庫県商工会連合会を訪問しました。

兵庫県民主医療機関連合会では、前日の2月17日の「介護ウェーブ国会行動」で、「堀内照文衆議院議員に国会要請行動前集会で挨拶をしてもらい、実情も聞いてもらい、元気をもらいました」と話題になりました。

この他の訪問先でも、「趣旨はよくわかりました。役員がいませんが、伝えておきます」「当日は役員会があり役員の出席は難しいが、会員に広く案内をしておきます」と、ていねいな対応をうけました。

日本共産党演説会
3月6日(金)午後6:30開会
神戸文化ホール大ホール







(2015年3月1日付「兵庫民報」掲載)

兵庫の大学生が辺野古での抗議行動に参加

沖縄の人々と思い一つにともにたたかおう


現地の人々と交流する学生たち(左)

兵庫県の民青同盟の学生3人が2月19~21日、米軍新基地建設に反対する沖縄県名護市辺野古での座り込み行動などに参加しました。

19日は平和祈念資料館で学習し、20日朝から辺野古の米軍キャンプシュワブゲート前での座り込み行動に参加しました。

ゲート前に到着すると、県内や全国各地からの座り込み参加者がスピーチや民謡や替え歌をうたっての抗議行動が始まっていました。安倍政権の県民無視の暴挙に抗議する力強いスピーチが続きます。兵庫の学生メンバーも「春休みを利用して自分たちもできることをしたいと兵庫県から参加しました。ぜひ皆さんに話を聞かせてもらいたいと思っています」とスピーチすると、大きな拍手で歓迎されました。

冷静・理論的な抗議


昼食を食べていると「第3ゲートに工事車両が来た!」と緊急のアナウンスがあり、約1キロ離れた第3ゲートに急行。国道事務所職員が米軍からの要請でこれまでゲート前だった国道との境界線が間違っていたとして、より外側の位置にペンキでラインを引いていました。

抗議行動のリーダーが「根拠はなにか」と冷静に理論的に職員を問いつめてその日の工事を断念させ、改めて説明をさせることになりました。

「いきなり始まってびっくりして、どうなるのかと思ったけど、ちゃんと話をして最後は帰らせた。正しいこと言ってるのは強い」とその場に立ち会った学生は感想を語ります。

しなやかに、したたかに、時には激しく


この日は休憩もはさんで23時までの抗議行動になりました。合間にはテント内で現地の方との交流。「遠くから来てくれてうれしい」と声もかけてもらいました。夜のゲート前では、ダンスや歌、初めて参加した人・帰る人の交流ありと「しなやかに、したたかに、時には激しく」抗議行動が行われました。翌21日も午前中の抗議行動に参加しました。

沖縄県民のみの問題ではない


参加した学生の一人は、「平和祈念資料館を見学し、改めて戦争の悲惨さを痛感した。ゲート前の座り込みでは、現地の人々の思いに触れることができた。自分もかつてはそうであったように、多くの人々は沖縄基地問題について他人事のように感じているだろう。しかし、昨年の知事選・総選挙で沖縄県民の民意が示されたのに、新基地建設が強行されるいま、名護市民のみ、沖縄県民のみの問題として片付けられるものではない。勝利の日まで思いを一つに共にたたかい、自分のできることを精一杯頑張りたいと思う」と感想を話しています。

学生たちは、今回、学んだことを知らせようと大学開講後の4月に学内で報告会を開こうと計画しています。

(力重智之)

(2015年3月1日付「兵庫民報」掲載)

三菱電機と川崎重工で要求アンケート

「三菱電機で働く仲間と春闘を前進させる会」と日本共産党川崎重工委員会がそれぞれ要求アンケートを行い、このほど中間集計を発表しました。

賃上げについては、三菱電機では正規で「3万円以上」、非正規は「4万円以上」、川崎重工では正規で「2万円以上」、非正規で「(時間あたり)200円以上」が過半数の要求となっています。


三菱電機の非正規では「いつ解雇されるかわからない」と不安を半数が訴えています。


川崎重工では、「サービス残業」が深刻です。「20時間以上残業を続けるな、との暗黙の了解がある」「申請しにくい」などの声もアンケートに寄せられています。


(2015年3月1日付「兵庫民報」掲載)

3月6日(金) 「全国いっせい労働相談ホットライン」

全県

10時~19時
0120‐378‐060
兵庫労連・労働相談センター
神戸市中央区栄町通3丁目6‐7 大栄ビル10階
*相談員は兵庫労連労働相談センター相談員、兵庫労連役員、兵庫県民主法律協会加盟弁護士。
*無料、秘密厳守。面談は予め連絡(078‐335‐3770)すれば予約可。

尼崎市

10時~19時
06‐6488‐1478
東阪神地域労働相談センター
尼崎市西長洲町2丁目34‐1

西宮市、芦屋市

10時~19時
0798‐26‐0537
西宮・芦屋地域労連労働相談所
西宮市松原町2‐37 西宮市立勤労会館内

姫路市内を中心に西播地域

10時~17時
079‐297‐3259
西播労連労働相談所
姫路市車崎3丁目3‐9 中播教育会館内事務所

明石市、加古川市、加古郡など東播地域

10時~19時
079‐423‐2282
東播労協労働相談所
加古川市北在家2257 加印教育会館内事務所

宝塚市

10時~18時
0797‐76‐4096
宝塚労連労働相談所
宝塚市末広町3‐78 宝塚市勤労市民センター


(2015年3月1日付「兵庫民報」掲載)

兵庫県小林多喜二記念集会

多喜二が殺された時代を繰り返さないために


講演する島村氏

2015年兵庫県小林多喜二記念集会が2月22日、兵庫県民会館で開催され、約100人が集いました。

主催者を代表して戸崎曽太郎氏(治安維持法国賠同盟兵庫県本部副会長)が挨拶したあと、プログラム第1部では、劇団四紀会の友田民子さんが、小林多喜二から恋人田口瀧子に宛てた「闇があるから光がある」など5通の手紙を朗読しました。

続いて「1933年、それぞれの風景―多喜二・小津・太宰たちの見た『転換時代』」と題して、島村輝フェリス女学院大学教授が講演しました。

島村氏は、1995年の阪神・淡路大震災、村山談話からの20年を振り返りながら、安倍政権の戦争への傾斜が、やがて取り返しのつかない事態に進んでゆく懸念があり、遠くない過去にこの国が経験した歴史の再現になるのではないかと指摘しました。戦前の転換点となった多喜二虐殺の1933年。それに至るまでとそれ以後について、多喜二と同時代の小津安二郎、太宰治の生き方・芸術表現をたどりながら、その異同について語り、時代を浮き彫りにしました。

参加者からは、「歴史の流れを振り返って今の時代を改めて見ると、本当に重なる部分が多いことに気付き怖くなりました。再び同じことを繰り返さないためにも、一人ひとりがもっと関心を持って考えていかなければ」などの感想がよせられました。

(濱本鶴男=兵庫多喜二・百合子の会)

(2015年3月1日付「兵庫民報」掲載)

阪神北小林多喜二祭

講演する尾西氏

阪神北「小林多喜二祭」実行委員会は2月22日、伊丹市内で第13回阪神北「小林多喜二祭」を開催し、80人が集いました。

開会にあたり、主催者を代表して実行委員長の藤木洋子さんが挨拶をしました。

第1部は、「小林多喜二と現代」と題して尾西康充三重大学教授が記念講演を行いました。

小林多喜二の文学を読み返しながら現代を考えると切り出した尾西康充氏は、「多喜二や野呂栄太郎は『白色テロ』で虐殺された。現代、そのようなテロは影を潜めているが、『合法的』に民主主義を妨げている、その最たるものが小選挙区制。自民党が4割台の得票で7~8割もの議席を独占したことは、民意の『虐殺』だ。多喜二の時代と同じようなことが、昨年から時代に逆行した状況が起きている」と指摘しました。

また、「多喜二の文学は、歴史を直視して支配勢力の行為を徹底して暴きだした」と述べ、多喜二と同時代の作家の思想とリアリズムの関係を探求しつつ、石川達三の文学を紹介しました。

石川は「生きている兵隊」のなかでは、戦争に従軍した一般市民が虐殺行為をするという、人間が人間で無くなる状況をリアルに描く作品を出しながらも、官憲に反戦思想を問われて「非」と答えたことで、多喜二と分かれた決定的な事例となったと解明し、「現代を生きる我々は、達三を責めるのでなく、そんな時代にならないよう、私たちが多喜二の意思を受け継ぎ発展させ、人間らしく生きられる世の中にするため、いま頑張ろう」と呼びかけました。

第2部・文化行事では、ケイ・シュガーさんの美しい歌声が参加者を魅了。「まぼろしの影を追いて(多喜二へのレクイエム)」では、多喜二の思いを参加者みんなで共有しました。
(山本博昭)

(2015年3月1日付「兵庫民報」掲載)

合同歌集『クリスタル』第2号より

クリスタル短歌会は新日本婦人の会のサークル活動として2001年6月に発足。以来、安武ひろ子さんの指導を受けながら、途切れることなく毎月1回の歌会を開いています。04年に続き、14年12月に発行した合同歌集第2号から一人一首ずつ紹介します。

早咲きのさくらふぶきのトンネルを抜けるがに母は一世を閉じぬ
植村千鶴

亡き母の記した日記読みゆけば「赤旗」増やし嬉しきとあり
大西千鶴子

やわらかき春の空気と水の青どこか似ている今日は母の日
岡本征子

三才の私を残してチチハルに戦死せる父なに思いいし
小林百代

原爆の悲惨さ語り炎天下 歩いてみたよ平和行進
塩野菜美

節分の豆まき迷信と言う夫が恵方向いて太巻食す
島田国子

幼き日野草を摘みし野辺に立つ被災の故郷復興遠く
清水淑子

久々の勝利に酔いて 杯重ね仲間と語る我喜寿の夜
正津房子

祝宴の輪のまん中に晴れやかな笑みはじけいる吾子は花嫁
西嶋節子

派兵許すなと呼びかけたればさりげなく応えくれたる若者ありき
長谷川一枝

子の部屋をわが寝室となしてよりジェームスディーンに見られて眠る
平野万里子

琵琶の音によみがえり来るあの朝にビルの地下より這い出たる吾子よ
三浦良子

迎春に漬ける白菜寒き白母の手つきと味思いつつ
宮川菊代

つくし摘み母に習いし佃煮をつくれば今年もほろ苦き味
森ひろ美

罪認め泣いて欲しいよ総理様従軍慰安婦の心の痛みに
増田稲子

壇上にミモザの花をあふれしめ国際婦人デーのあつまりあつき
渡辺夏紀

(増田さん、渡辺さんは故人)

(2015年3月1日付「兵庫民報」掲載)

ひなたぽっころりん(549)



(2015年3月1日付「兵庫民報」掲載)

観感楽学

2月3日、西宮市が、借り上げ住宅であるシティハイツ西宮北口の入居者に対して、入居期間が20年だから9月末までに退去するよう通告を出しました。入居者と西宮市との間での「20年契約」という文書は存在せず不当きわまりない通告です▼この通告に対して「借り上げ復興住宅弁護団」は、5日、入居者代表とともに記者会見し、西宮市に対して退去通告撤回を求める声明を発表しました▼弁護団はこの「声明」のなかで、「住まいは衣食住の一つ、人間は住まいを中心にコミュニティを作り生活している…」「震災から20年を経た今、被災自治体が過去に学ぶことなくコミュニティを破壊してよいのか、断じて『否』である」とその撤回を求めています▼神戸市でも、来年2月に兵庫区のキャナルタウンの1部が「20年」になるからと転居を迫られています。その神戸市が検討している第6期介護保険事業・高齢者保健福祉計画(案)の高齢者福祉の「基本理念」をみると「高齢者が地域の中で培ったつながりを保ちながら、住み慣れた地域で生涯にわたって自分らしく生活できるよう…」「要支援、要介護になる前の方から、重度認定者の方まで一人ひとりの生き甲斐や心身の状況に応じて住み慣れた地域で安心して生活が送れるよう…」などと書かれています▼こんな基本理念を掲げながら、コミュニティを平気で破壊する市政。正すべきは行政の姿勢です。(D)

(2015年3月1日付「兵庫民報」掲載)