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2015年12月6日日曜日

生の舞台をご一緒に: 東京ヴォードヴィルショー公演『パパのデモクラシー』

神戸演劇鑑賞会12月例会



「今日から民主主義です」と宣言され、巻き込まれてゆく日本の民衆の哀歓を、時代背景と共に描いた、コメディタッチの舞台です。

幕開きは、一九四六年十一月。木内家の茶の間で、家族は四人。主人の木内忠宣は神主である。だが、長男が未だに帰還していない。

よろけながら朝食の雑炊を運ぶのは長男の嫁のふゆ。長期に渡る食料不足で足下がおぼつかない。このわずかな雑炊を奪い合う姿。なべの底を舐なめてまで空腹を満たす。戦後の食料不足を余すところなく描いた見事な場面です。

そして、空襲で住む所を無くした人たち、未亡人、映画監督、照明助手、かつぎ屋、和裁仕立屋、職業の知れない怪しい人たちが、神社に住まいを求めて押し掛けてくる。神社側も、戦時中、沢山の若者をこの神社から送りだした事への弱みもあり、この人たちを住まわせることに。

GHQが監視をする中、時代は駆け足で進んで行く。東宝映画の第三次までのストライキ。ゼネストの計画。労働組合の誕生等々。戦後日本の社会の価値観の変化が起こりはじめた。

だが、庶民は、その変化の中で、物を求めて闇市に行く。買い出しに失敗を重ね、新しい憲法を拳法と勘違いをしながら、この混乱の時代を生き抜いた。

舞台は、問題を提起したり、訴えたりはしない。が庶民の逞たくましいエネルギーと、一九四六年頃の時代を活いき活きと描き出した。

余談ですが、この舞台には、ふたりの神戸出身の女優が出演しています。是非、みんなで応援をしたいですね。

小谷博子

東京ヴォードヴィルショー公演『パパのデモクラシー』/作=永井愛 演出=鈴木裕美 出演=佐藤B作、あめくみちこほ  か/①12月18日(金)18時30分②19日(土)13時30分/神戸文化ホール中ホール/会員制(入会時に入会金千円と月会費2カ月前納)、月会費3千5百円(大学生2千円、中高生千円)/☎078・222・8651、Fax078・222・8653

(2015年12月6日付「兵庫民報」掲載)

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