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2015年12月20日日曜日

憲法が輝く兵庫県政へ(11):青年の雇用・学費

働き方、学費、奨学金…生きるすべがブラック化する社会の中で

日本民主青年同盟兵庫県委員長 上園隆

ブラックな実態がスタンダードに


「ブラック企業」問題が大きく取り上げられるきっかけになった、ワタミでの過労自死事件が先日、和解しました。あまりにもひどい実態に多くの国民から批判が集まりました。

しかし、こうした実態は依然として後を絶たず、むしろ今あらゆる職場が「ブラック」化する事態となっています。

今年の春、有名私立大学を卒業し、官公庁からのアウトソーシングを手がける大手企業に就職したMさんは、「出退勤の管理がコンピュータ入力となっているが、何時に入力しても『八時間』としか表示されないシステムになっている。自分は営業の仕事をしているが、事務作業は十七時三十分以降しかやるなと言われている」と言います。

また、私立の認定こども園で保育士として働いているKさんは、職場には判子を押す出勤簿があるだけで、残業時間は管理されておらず残業代は出ません。

公立学校教職員であるSさんは、書き仕事に追われ、時期によっては毎日深夜二時に学校を出ることもあります。この職場では実際にメンタルヘルスになった職員もおり、その分をカバーするためにさらに仕事が増えました。

二〇一四年一月二十一日付「神戸新聞」では、「情報を基に県内二百八の企業や事業所を調べた結果、八二・七%に当たる百七十二社・事業所で長時間労働や賃金不払いなどの法令違反があったことが二十日、分かった。違反企業に対し同労働局は是正勧告した」と報道されています。

「半失業」的雇用形態の増加


このように、あらゆる職種が「ブラック化」している背景には何があるのでしょうか。そのひとつに、今や当たり前となっている「非正規雇用」の活用があります。

伍賀一道金沢大学名誉教授が「就業構造基本調査」を元に作成したデータによれば、一九八二年に比べ、二〇一二年は労働者が千四百万人近く増加している一方で、正規労働者数はほとんど変化しておらず、単純に言って非正規雇用だけ千四百万人増えたということになります。そして、この非正規雇用は、度重なる労働者派遣法の改悪により、派遣社員や契約社員などの有期雇用がほとんどを占めています。

伍賀氏は有期雇用契約にある人々を「三カ月、一年、あるいは三年という有期労働契約で働いている人たちは次の契約が更新されるかどうかわからない。日雇いほどではないとはいえ、次の仕事がどうなるか、常に不安をかかえた働き方だ。現役労働者ではあるものの、同時に相対的過剰人口に属すると言えるだろう」と述べ、「半失業」状態にあると指摘。

さらに「職場のなかで半失業状態の非正規雇用が増加することは正規労働者の安泰を保証するどころか、働き方をも貧しくしている」と告発しています。(『経済』二〇一六年一月号「非正規雇用による日本の貧困と『資本論』」)

労働者派遣法が原則自由化され、正社員の「半失業」的労働者への置き換えがすすみました。「半失業」的労働者は、市役所や教職など公務の現場でも今や当たり前となっています。そうしたもと、あらゆる職種がブラック化しているのです。

さらに、「自助・共助」を基本にするような貧困すぎる社会保障が「反失業」状態に拍車をかけているとも言えるでしょう。

ブラック化する奨学金と学費


さらに問題は、こうしたブラックな実態が学生のバイトにも広がっていることです。

日本の学費は世界一高いうえに、奨学金制度は公的なものは貸与制のもの、しかも大半は利子付きのものになっており、卒業時には三百〜五百万円の借金を背負わされることになります。現在、学生の半分以上が奨学金を借りていると言われています。親世代の貧困化も進んでいるもとで、学費は奨学金に頼り、ケータイ代や通学定期代など学生生活にかかる費用はバイトでまかなうという学生が今やめずらしくありません。

つまりバイトが学生生活を成り立たせるうえでなくてはならないものとなっているのです。そうなると、「少々嫌なことがあっても我慢しなければ」となり、ブラックバイトであっても従事せざるを得なくなります。世界一高い学費と貧困な奨学金制度が、ブラックバイトの温床となっていると言っても過言ではないのです。

地方自治体の役割


これまで述べてきた若者のブラックな働き方の問題の根本は、国の悪政によるものですので、国政を変えることが何よりも必要です。同時に、そうしたもとでの地方自治体の役割も大きく問われているのではないでしょうか。

例えば、神奈川県では「『若者の使い捨て』撲滅かながわ宣言」を労組や商工団体などとの連名で県として発表、今野晴貴氏(NPO法人POSSE代表)を講師にしたブラック企業・ブラックバイトの対処法セミナーを開くなど対策が始まっています。また、自治体で働く労働者の待遇から改善していくことも重要だと思われます。

現在、民青同盟兵庫県委員会では「No More 賃金泥棒――若者の仕事・生活実態調査」に取り組んでいますが、青年の実態をたくさん集め、兵庫県に要請していきたいと思います。

(2015年12月20日付「兵庫民報」掲載)

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