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2015年12月6日日曜日

憲法が輝く兵庫県政へ(9):人権

官制主導の「人権教育・啓発」は問題解決に逆行

兵庫県地域人権運動連合事務局長 前田 武

兵庫県の「指針」「方針」は見直すべき


十三年前の二〇〇二年三月末をもって、国の同和対策特別措置法(同和特別法)は終結しました。その意味は、地域を限定した「対象地域」、「同和地区」という呼称がなくなったことと、すべてにわたって「格差」が解消したということです。

しかし、政府の諮問機関「地域改善対策協議会」の「意見具申」(一九九六年五月十七日)は、特別法失効後の「人権教育を提起」しました。

これを受けて、県は「兵庫県人権教育及び啓発に関する総合推進指針」(二〇〇一年三月)、県教委も「人権教育基本方針」(一九九八年三月)をそれぞれ策定しました。

この「指針」や「方針」は、人権問題を県民間の差別問題に矮わい小しよう化し、部落問題の現状認識を誤り、人権概念の誤った捉え方をしています。

「意識調査」から「同和問題」項目削除を


兵庫人権啓発協会は『きずな』という冊子を発行し、例年八月号は「同和問題」を特集しています。今年の八月号には、県健康福祉部人権推進課が「同和問題の経緯・現状と今後の課題~同和対策審議会答申から五十年~」の見出しで「人権に関する県民意識調査結果報告書」(二〇一四年三月)の一部を掲載しています。

この調査には、「同和問題が生じる原因や背景」の設問で、「結婚しようとする相手がいわゆる同和地区の人であると分かった場合」とか、「同和特別法」の終結を受けて、その法後にあっても「同和地区の人」と判断したり、また、「部落差別の実態」を誇張するために、インターネットの書き込みを取り上げたりしていますが、ネットの書き込みは意図的な問題であり、県民の「意識問題」とは何ら関係がありません。

行政が執拗で悪質な場合は、民事・刑事の両面から法的に解決すればよいものです。

「人権」は憲法に規定された権利


今年度の県予算は民生費「人権啓発推進費」等(四億四千五百七十九万円)と、県教委の「人権教育推進費」(二千九百十万円)を合わせて、合計四億七千四百八十九万円余りを計上しています。そして、従来の「同和行政」「同和教育」を「人権行政」「人権教育」として継続させています。

兵庫県人権教育研究協議会(略称「兵人協」)への補助金等は、二〇一五年県予算で一千八十四万七千円です。市町の「人権教育研究協議会」への行政補助金の合計は一億円(推定)とみられます。これらの組織は「民間団体」であるにもかかわらず、その事務局を庁舎内に置き、人権担当職員が事務局を担当している市町もあります。「民間団体」への補助は打ち切るべきです。

人権問題は憲法の自由権・平等権・社会権・参政権など多岐にわたりますが、「差別問題」だけを取り上げることは人権問題の本質をゆがめるものです。

今日、国政の悪政によって容赦なく主権者国民の人権が侵害されています。県政には、国の悪政の防波堤となり、地方自治法の第一条でいう「福祉の増進」という自治体の本来の役割を果たすことが求められています。

(2015年12月6日付「兵庫民報」掲載)

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