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2015年12月20日日曜日

ノーモアヒバクシャ訴訟傍聴記:12/3、12/11

救援法の趣旨にかなった制度改善が急務

副島圀義

大阪地裁十二月三日は、原告Eさん本人と医師・穐久英明先生の証言でした。

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Eさんは当時十三歳。長崎の爆心地から三・一㌔㍍、自宅近くの広場で被爆。三日後には一㌔㍍余のあたりまで行き、また自宅近くの畑の野菜や井戸水を飲んだりして、九月ごろに嘔吐やできもとなどを経験。

五十二歳の時に心筋梗塞の最初の発作に見舞われます。すぐにきっぱり煙草を断ちますが、五年経ったころから心筋梗塞再発で冠動脈バイパス手術などを繰り返し、十八年目には腹部大動脈瘤が見つかりました。

三年前に原爆症認定申請をしましたが翌年却下され、提訴しました。

国側の「尋問」は例によって、「発症原因は喫煙や加齢によるものだろう」「爆心地にそんな近づいているわけでもない」「被爆者手帳の申請書や調査票には急性症状があったことの記載がない」など、「心筋梗塞は原爆放射線とは無関係」との立場からの繰り返し。

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穐久医師は「喫煙は発症リスクだが、禁煙したらそのリスクは低下する。生活習慣の改善、糖尿病の治療など、しっかりコントロールしているのに、繰り返す発症は被爆の影響としか考えようがない」と証言しました。

国側の「心筋梗塞については二㌔㍍以内の直爆、翌日までに一㌔㍍以内への入市」という「〝認定基準〟への固執」姿勢を、またも見せつけられた法廷でした。

十一日は、原告・淡路登美子さんについて愛須勝也弁護士が意見陳述。――胃がん手術後の食事療法などは「医療そのもの」。「要医療性に欠けるから認定しない」との国の対応は誤っている。ほとんど同じケースで東京地裁で国は敗訴したが、控訴していない――等々。

被爆者は高齢化。記憶も遠くなり、証拠確保も困難になってきています。七十年前にどれだけの放射線量の被曝をしたかなど、調べようのない議論をやめて、「被爆者が放射線被曝に影響のある病気になれば、その病状に応じた援助を行う」との、実際的で被爆者援護法の趣旨にかなった制度への抜本改善を一日も早くさせないと…と痛感します。

しかし、現に国が「被爆者いじめ」を改めない以上、司法がその役割を果たすよう、傍聴や署名などへのご協力を紙面をお借りして訴える次第です。

(2015年12月20日付「兵庫民報」掲載)

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