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2015年11月15日日曜日

観感楽学

原爆症―原爆の放射線を原因とする発病。「放射線の影響の解明は五%程度」と言われる。しかし、国は病気の種類、爆心地からの距離、滞在時間などの基準を定め、機械的に適用して却下処分を出し続けてきた▼却下取消し提訴の武田武俊さんは大阪地裁で勝訴したが、国が控訴。その心労も加わり間もなく亡くなった。大阪高裁(控訴審)は、武田さんの入市時期の証言を採用せず地裁判決を覆した(十月二九日)▼判決は、「必ずしも軽微とはいえない程度の被曝をした」としながら、武田さんの被爆地滞在時間について国の基準を機械的にあてはめたのだ▼同日、東京地裁は、国の基準は「目安の一つ」で「内部被曝など残留放射線の影響、放射線への感受性の個人差も考慮すべき」として、基準とされた病気以外(狭心症、脳梗塞など)も含む十七人全員を認定した▼これまで四十回を越える原爆症裁判は、東京地裁判決のように国の基準の機械的適用を断罪し、被爆者の被爆状況、被爆後の健康状況などを総合的に判断することで勝訴を重ねてきた▼被爆者に苛酷な裁判を強いる、被爆の実態を反映しない国の審査は根本から改めさせねばならない。 (K)

(2015年11月15日付「兵庫民報」掲載)

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