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2015年11月8日日曜日

ノーモアヒバクシャ近畿訴訟・傍聴記:2015-10-29

東京では全員勝利、しかし大阪では

副島圀義

十月二十九日、東京地裁は原告十七人全員について原爆症と認定。しかし同日、大阪高裁では一審勝利(肝細胞がんを被爆によるものと認定)の武田武俊さんが逆転敗訴。明暗を分ける結果となりました(今までの経過は、本欄でも報告してきました)。

国は、武田さんが爆心地近くで三日ほど野宿して瓦礫撤去などを手伝ったことを頭から否認。内部被曝の影響も否定してきました。

高裁判決ではこれらをまるごと否定はせず、「必ずしも軽微とはいえない放射線被曝をしたと考えられる」と言いながら、「黒い雨や黒いススは浴びていない」「遺体の処理や負傷者の介護はしていない」「帰宅後、怪我は治っている」と言い、結局は、肝細胞がんの発症について「高度の蓋然性(確からしさ)をもって被爆に起因するとは言い難い」…。不当な判決ではよく見かける〝ねじれた文章〟です。

―「○○ということは否定しがたい」→「しかしながら△△ということもある」→「よって××と認めざるを得ない」―


判決後の報告集会では「判決文の作成過程にも、紆余曲折、二転三転があったのでは?とかんぐりたくなる」との話もでました。判決原本を前に判決を言い渡し、その場で当事者双方に正本を渡すべきところ、判決言い渡しの時点ではまだ正本ができていず、二時間近く待たされたのです。

弁論途中では御用学者の証人尋問を却下したような訴訟指揮でしたから、弁護士さん自身「よもやの判決」と率直に語っていました。


武田さんの遺志をつがれたご子息が「次のたたかいに臨んでいきたい」と言われ、弁護団長は「まだまだ続く長いたたかいの過程にある」と述べました。重い実感です。

(2015年11月8日付「兵庫民報」掲載)

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