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2015年10月11日日曜日

発言:永田秀樹さん(関西学院大学司法研究科教授(憲法学))

今、国民が主権者だと示す時


永田さん

こうした政治課題について行動することは少ないのですが、今回はいくらなんでも認められないと思い、積極的に意見表明などを行ってきました。

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安保関連法は、学者としての良心を権力に売り渡さないかぎり、法案が合憲だなどとはいえません。

集団的自衛権は、憲法研究者だけでなく、歴代内閣も憲法違反だから行使できないとしてきたものです。

高村正彦自民党副総裁は最高裁の砂川判決によって集団的自衛権が正当化されるといいましたが、赤も緑も色という点では同じだから同じというようなもので詭弁もいいところです。司法試験で、砂川判決は集団的自衛権を認めている、自衛隊が海外で武力行使をすることを認めた判決だと書けば、何とバカな答案!といわれ最悪の不合格答案になるでしょう。

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憲法は権力者を縛るための法であり、それを立憲主義ということは、多くの国民に知られるようになりました。

憲法前文は、「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し」と定めています。戦争を起こすのは政府です。存立危機事態の要件に、「国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」とありますが、もしも、政府がこのような状況に国民を陥れたならば、政府失格です。

このようなとき、国民は護憲運動を行い、場合によっては抵抗権を行使して政府を転覆することができるというのが、立憲主義の本道です。

たしかに、政府には国民の幸福追求の権利を守る義務がありますが、だからといって、それを口実に外国で武力行使をする権利があるというのは憲法のイロハを知らない倒錯した論理です。幸福追求権は国民の権利であって国家の権利ではありません。

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たたかいのなかで多くの学者が声をあげ、学者の会に関学の教員もかなり賛同しました。関学も大学人としてまとまって声をあげられないかということで運動を始めました。

そこで、学者の会の賛同者や九条の会のメンバーによびかけ、キリスト教主義教育を掲げる関学らしい声明を作成。八月十日には二十人程度が集まり、賛同署名にとりくみました。賛同者には多くの教員、卒業生などとともに元学長らも賛同されました。短期間で五百七十一人が賛同する画期的な取り組みとなりました。賛同署名とともに、署名にそえて素晴らしいメッセージが次々と寄せられました。

そして法律の可決・成立をうけ十月一日、「安保法案の強行採決に抗議するオール関学緊急集会」を行い、百七十人が参加。元学長、SEALDs KANSAIのメンバーも参加し、オール関学の抗議の意志を示す集会になりました。(一面の記事参照)

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法案は可決されましたが、その成立過程のなかで、安倍政権は醜態をさらしました。次の選挙に向けて国民に重要な判断材料を提供しました。

いまこそ国民が主権者であることを示すときではないでしょうか。

かつて民主党が政権をとったとき革命が起きたかと思いましたが、中途半端に終わりました。しかし今は若者・国民の運動がかつてなくひろがっています。

共産党が安保法制を廃止する「国民連合政府」を提案していますが、実るようにぜひ期待したい。 (

(2015年10月11日付「兵庫民報」掲載)

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