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2015年10月25日日曜日

発言:津川知久さん(憲法改悪ストップ兵庫県共同センター代表)

国民が自覚高めたたたかい


津川さん

十月のある日、元町を歩くと商店街で顔見知りの店員さんが、「ご苦労様でしたね。毎日のように宣伝されてたいへんでしたね」と声をかけてくれました。「このあとも頑張ってくださいね」と励ましもいただきました。都会のなかで、そんなに親しいわけではない方から、声をかけていただけるようになっていることに、今度のたたかいの成果があらわれていると嬉しくなりました。

この変化は、法案成立後も続いています。

十三日の憲法共同センターの神戸大丸前宣伝では、四十分程度で六十一人から戦争法廃止への署名が寄せられました。宣伝のあいだ中、そこかしこで話し込むという状況が生まれました。

「これは、たいへんだ」「自分にも何かできないか」というような思いで立ち上がり、法案の強行成立後、さらに元気になっている感じがします。

驚いたのは、SEALDsのメンバーらが、最終盤、「賛成議員を落選させよう」というスローガンを掲げたことです。戦争法を定着させないために、どうするかを自分たちで考え、提起する。若者たちのそうした行動に、社会の前進を感じます。日本共産党が、あの徹夜国会のあと、中央委員会を開いて「国民連合政府」を提案しましたが、見事な提案だと思いました。若い人や共産党の提案にわくわくする思いです。

十月三日に憲法共同センターの代表者会議をひらいて、「戦争法廃止」を掲げる運動を提起しました。その後、中央総がかり行動実行委員会が、全国で二千万人署名と強行された十九日の毎月宣伝が提起されました。このこともうけて、兵庫県では百万人の署名を集めようと決めました。

兵庫県の人口は約五百五十万といわれますので、その五分の一近くを集めようということです。来年七月の参院選までに、この署名をやりきれば、県内の政治的な力関係を変えていけます。

このことに正面から取り組みながら、毎月第二火曜日と十九日の宣伝、そしてたたかいで発展してきたブロックごとの交流会議なども開き、来年一月十一日に予定している総会兼決起集会を大きく成功させたいと思っています。

私たちは、安倍第一次内閣当時から、国民が憲法を自分の手にし、社会のすみずみまで生かす社会にしていくことを掲げてきました。今回のたたかいでは、言葉としても難しい「立憲主義」ということがふつうの会話でもでてくるようになりました。戦争法廃止のたたかいは、国民が憲法の値打ちと主権者だという自覚をさらに強め、社会的な力をつくるたたかいでもあると思います。安倍暴走政治を倒して、戦争法廃止の政権を実現すれば、市民革命が初めて日本で起こったといえる状況になるでしょう。

それは、一人ひとりの主権者が国政を担う民主主義の新たな段階をつくることと思います。そのために全力を尽くしていきます。 (

(2015年10月25日付「兵庫民報」掲載)

「戦争法廃止の国民連合政府」をご一緒に―広範な団体・個人と懇談

日本共産党は、戦争法の廃止と、集団的自衛権行使容認閣議決定の撤回のための「国民連合政府」実現を呼びかけ、広範な団体・個人との懇談、対話、街頭宣伝など、取り組みをいっそう強めています。

金田、堀内、森原氏が元町駅前で訴え



日本共産党兵庫県員会は十七日、月例全県いっせい宣伝を行い、元町駅前では、金田峰生参院選挙区予定候補、堀内照文衆院議員、森原健一県後援会長が訴えました。

金田氏は「史上最悪の安倍政権を退場させ、国民の手によって国民の政府をご一緒につくりましょう」と呼びかけました。

党西宮市委員会が医師会など約30団体訪問



日本共産党西宮市委員会は十四日、「戦争法廃止の国民連合政府」の呼びかけのため、西宮市内の医師会、商工会議所、老人クラブ連合会、連合など約三十団体を訪問しました。

いそみ恵子県議と市会議員団を中心に三組で訪問しましたが、訪問先の受け止めは様々で、「役員会で報告したい」、「役員に呼びかけ文を渡したいので六十五部欲しい」などの積極的な団体もあります。ある労働組合では、「戦争法という呼び方はどうかと思う。中国などの心配もある」との意見もありましたが、憲法違反の法律と言う点では一致、最後は「組合の要求文書を持って帰ってください」と打ち解けた雰囲気になりました。
*
十五日には西宮市役所前で昼休み集会を開催、約三十人が集まり、リレートークやコールなどで来庁者や市民に戦争法廃止の国民連合政府実現をアピールしました。
(杉山たかのり=西宮市議)

堀内衆院議員が兵庫県保険医協会と懇談



堀内照文衆院議員と兵庫県委員会は十四日、兵庫県保険医協会の西山裕康理事長ら政策宣伝広報委員会のメンバーと「戦争法(安保法制)廃止の国民連合政府」の提案について懇談しました。

堀内議員は、冒頭、戦争法案廃案を求めて、若者や学者、ママたちとともに医療人も声をあげ、一人ひとりが主権者として立ち上がったことが、最終盤の野党の共闘につながったことを紹介。「提案」は、このたたかいが土台にあるとして、「提案」の三つの内容を報告しました。

保険医協会の加藤擁一副理事長は、「この提案には非常に期待している。廃止するための一点共闘をつみあげ、世論をひろげれば、社会保障を充実させる政府にもつながると思う。世論をつくっていきたい」と語りました。

懇談には、党県委員会から森勇治副委員長、門屋史明党国会議員団兵庫事務所長代理らも同席しました。

(2015年10月25日付「兵庫民報」掲載)

憲法が輝く兵庫県政へ(4):学校予算

今、学ぶ権利が侵されている

兵庫県高等学校教職員組合書記長 梅林真道

県「行革」による兵庫県予算の削減対象は学校予算についても例外ではなく、兵庫県の教育予算は、十年前と比べると一〇%以上も減らされています。それぞれの学校では、教職員だけではなく生徒にも協力を呼びかけながら節約に努めていますが、もうそのような地道な努力で何とかなる限界をはるかに超えています。そのような中でも、教育現場では学校予算削減が「教育の質の低下」につながらないよう、必死になって踏ん張っています。

高教組は、県教育委員会及び県に対し、教育予算の増額と県行革の中止を強く求めてきましたが、その取り組みの一環として、昨年、各学校の協力を得て学校予算調査を行い、六十校から回答が寄せられました。それぞれの学校から寄せられた悲鳴に近い声を幾つか紹介させてもらいます。

「工業高校での実習費が削られ、保護者に負担をお願いしている」「体育館の屋根が錆び、雨漏りしているのに改修の予算が付かない」「消費税が上がり光熱費も上がっているのに、予算はお構いなしに下げられる。せっかくクーラーがついても、電気代がないので使用できない」「夏休み中三十五℃の職員室で仕事をしていた」「授業準備のための消耗品を自腹で買う人が増えてきている」「必要な出張に行くための旅費が出せないと言われた」等々‥‥

総務省の「決算状況」によると、二〇〇一年度を基準とすると、二〇一三年度の教育予算は八六・一%にまで減少しており、特に二〇〇八年度以降は「問答無用」の削減が行われてきたことがわかります(表)。

表 県教育予算決算額の推移
*総務省「決算状況」より作成
年度 総額(千円) 構成比 対01年比
2013 441,138,942 21.3% 86.1%
2012 452,408,433 22.3% 88.3%
2011 464,646,551 21.6% 90.7%
2010 466,387,878 21.0% 91.0%
2009 468,853,526 21.0% 91.5%
2008 483,005,334 24.5% 94.2%
2007 505,230,964 25.4% 98.6%
2006 510,806,584 23.4% 99.7%
2005 502,816,364 19.0% 98.1%
2004 504,257,854 24.1% 98.4%
2003 495,048,420 23.6% 96.6%
2002 493,447,488 24.1% 96.3%
2001 512,517,497 24.7% 100.0%

また、高教組の調査から明らかになったことは、学校予算の内で学校施設・設備の維持管理のための費用はもうこれ以上の削減が難しい段階にきており、いよいよ生徒たちの教育活動に充てるための費用(教育振興費)が大幅に削減される段階に入っているという事実です。

「教育」は「県民サービス」ではありません。憲法第二六条で規定された「国民の権利」です。県教育委員会自身も「ひょうご教育創造プラン」の中で「安全・安心な学習環境の向上」をうたっています。未来の兵庫県を支える若者たちが、よりよい環境で学び、育ち、いつかまた兵庫県を発展させていくことができるように、教育費を大幅に改善していくことが早急に求められています。

(2015年10月25日付「兵庫民報」掲載)

消費税をなくす会第26回総会

消費税10%中止、戦争法廃止に総力を



消費税をなくす兵庫の会は十月十七日、あすてっぷ神戸で第二十六回総会を開催し、各地域・分野から三十七人が参加しました。

金田峰生・常任世話人(国会議員団兵庫事務所長・参院選挙区予定候補)が情勢報告を行い、戦争法案に反対する空前の国民的反対運動の広がりのもと、「戦争法廃止の国民連合政府」実現の呼びかけについて、三点の内容を述べました。さらに、安倍内閣の新「三本の矢」についても、法人税率引き下げ、消費税一九%、社会保障抑制など大企業優先であり、国民不在の展望のない経済政策であることを暴露。世論と運動をさらに高め、増税中止・戦争法廃止のため全力をあげることを表明しました。

常任世話人会の報告提案で、消費税が「最悪の不公平税制」であり、「福祉のため」ではなく、「戦費調達財源」になる危険性があり、消費税大増税・戦争法を許さないよう、「会」の真価を発揮しよう、消費税一〇%中止・戦争法廃止のために草の根からいっそう運動をひろげ総力をあげようと呼びかけました。

議案討議・交流は七人が発言し、「毎月の宣伝行動を行っている会からは、参加者を増やし、中身を知らせ、多くの賛同者を増やすための工夫・努力が必要」、「街から店がなくなり廃業が続いている。消費税が八%になり数百万の消費税を分割納税したこと」、「年金の切り下げ、生保費の削減、軽減税率」についても語られました。

大嶋誠・消費税廃止兵庫各界連絡会事務局長(税理士)から連帯挨拶があり、庄本えつこ県議も参加しました。

藤原紀嘉=消費税をなくす兵庫の会事務局長)

(2015年10月25日付「兵庫民報」掲載)

日本ベトナム友好協会兵庫県連合会が第50回総会

草の根の交流深める



日本ベトナム友好協会兵庫県連合会は十七日、神戸市内で、第五十回総会を開催し、ベトナムからの留学生六人を含む四十人が参加しました。

藤田誠一会長(神戸大学教授)からの開会挨拶に続いて来賓の挨拶が続きました。兵庫県ベトナム人会のヴィ・ティ・オアン副会長、日本ベトナム友好協会本部の坂本恵副理事長、神戸VIETのグェン・バン・クエット会長、アリスト外語学院の西崎悦子理事長からそれぞれ五十周年のお祝いとお礼などが述べられ、日中友好協会からはメッセージが寄せられました。

初めての日越合作映画『ベトナムの風に吹かれて』のプロデューサー・上田義朗氏から「映画製作秘話」と題して、この映画の目的や、製作上の苦労などビデオを上映しながらの話がありました。

長沼幸正事務局長から二〇一四年度活動報告・山根香代子理事長から一五年度活動方針・山本辰也事務局次長から財政報告と予算提案、中村通宏副会長と鳥本敏明常任理事から、「NPO日ベト経済交流センター」の発会式が行われたことが報告され、拍手で採択。新役員が選出されました。

交流ではベトナム人留学生全員が発言、「物価が高い」のに「アルバイトの賃金が安く大変」なこと、「日本の文化や技術などをたくさん学んで帰りたい」そのために「仕事を紹介してほしい」など私費留学の苦労や、それを直接支援している会員の実践も紹介され、草の根の交流を深めました。

*
映画『ベトナムの風に吹かれて』の兵庫での上映は十月三十一日から神戸国際松竹で。監督=大森一樹、出演=松坂慶子ほか。

割り引き前売り券は日ベト協会兵庫県連で扱っています。☎078・612・1999

(2015年10月25日付「兵庫民報」掲載)

ノーモアヒバクシャ近畿訴訟・傍聴記(10/5)

〝中途半端な地裁判決〟の克服掲げ

副島圀義

十月五日の大阪高裁大法廷。ことし一月三十日の地裁判決(四人勝訴・三人敗訴)に対して原告と国の双方が控訴。その一回目の弁論でした。

尾藤廣喜弁護士

「ノーモアヒバクシャ訴訟」は、国が日本被団協と交わした約束を守らなかった結果、被爆者が裁判を起こさざるを得なくなったもの。国の不当性は明らかだ。

集団訴訟以来、司法の場で確立してきたことは「被爆状況とその後の経過を通じて、発病に被爆が相当な原因をなしていることが明らかであれば『原爆症』と認定するべきだ。『被曝線量の立証責任』を被爆者に負わせるのは間違いだ」ということだった。

しかし、地裁判決は「健康に影響した程度の被曝は認めるが、心臓病になるほどの高い被曝とは認められない」と、被爆者に被曝線量の立証責任を負わせる誤りを犯した。この誤りを克服することは、被爆者援護法の立法趣旨を堅持するためにきわめて重要だ(「内部被曝の影響を考慮していない点を含め、地理的範囲及び線量評価の両方において過小評価」と、国を批判もしているが…)。

原告・柴田幸枝さん

五歳の時に長崎で被爆。父に連れられ爆心地付近を五日間歩き回り脱毛・発熱などの急性症状もあり、以後ずっと病気がち。甲状腺機能低下症で原爆症認定を申請したが却下。地裁で勝訴してホッとしたが控訴された。同じように、地裁で勝訴したのに国が控訴、直後に亡くなった武田さんもさぞかし口惜しかったと思う。国の態度を改めさせるためにとことんたたかう。

*
この十月には、二十三日に故梶川一雄さんについての高裁弁論、二十九日に故武田武俊さんについての高裁判決と、裁判が続きます。



(2015年10月25日付「兵庫民報」掲載)

芦屋市で非核平和都市宣言30周年祈念のつどい

二度と同じ苦しみをさせたくない――被爆アオギリに託された思い広げよう


上映前に挨拶する、(左から)中村里美統括プロデューサーと伊藤茂利音楽監督。
ステージ右端は精道小学校で育てられているアオギリの鉢植え。

芦屋市で十七日、非核平和都市宣言三十周年・被爆七十周年非核平和祈念のつどいが開催され、百人を超える市民が参加しました。

主催は芦屋非核平和のつどい実行委員会(幸原久実行委員長)、芦屋市原爆被害者の会(千葉孝子会長)が共催、芦屋市と芦屋市教育委員会、コープこうべ第二地区活動本部が後援しました。

芦屋市議会が全会一致で宣言を決議した二年後の一九八七年十月に市民主体の実行委員会で開催して以降、阪神・淡路大震災後の数年を除く毎年、宣言を記念して開催されています。

今年は被爆アオギリに励まされて被爆証言活動を続けた沼田鈴子さん(故人)をモデルにした映画『アオギリにたくして』の上映がメイン企画です。今年、後援に加わったコープこうべが以前平和事業で寄贈した被爆アオギリの三世がいまも育つ市立精道小学校を会場にして開催しました。

つどいでは、上映に先立って山中健市長からのメッセージが紹介されたあと、映画製作の統括プロデューサーを務めた中村里美さんが講演。「二度と同じ苦しみをさせたくない」という被爆アオギリに託された思いを広げてほしいと訴えました。

参加者からは「最後まで涙、涙でした。戦後生まれですが、感じたことを孫に、友人等に伝えていきたい」「伝えなければでなく、伝えたいと思わせていただいた」などの感想が寄せられました。

平野貞雄=芦屋市議)

(2015年10月25日付「兵庫民報」掲載)

兵庫革新懇が講演会「言論と報道の自由」

読者の声で果たさせよう「社会の公器」としての役割


講演する鈴木健二氏(撮影:長井良弘氏)

兵庫革新懇主催の講演会「言論と報道の自由を守る」が十八日、神戸市長田区のピフレホールで開かれ、三百七十人が参加しました。

ヴァイオリン演奏のあと、前哲夫兵庫革新懇代表世話人が、「戦争法と並行して、国民の知る権利、言論と報道の自由への抑圧が強まっており、これを許してはならない。そのたたかいの一環としてこの講演会を開催した」と開会の挨拶をしました。

講演は小山乃里子さんの司会で進められ、最初に島洋子琉球新報社東京支社報道部長が「沖縄からの報告」を行い、沖縄の経済は決して基地に依存しているわけではないこと――辺野古基地建設反対のオール沖縄の勢力が勝利しているが、もともと新基地反対が沖縄県民の声であったこと――などを紹介。さらに、県民の声を報道している琉球新報や沖縄タイムスをつぶしてしまえ、などという自民党内部の暴言は許されるものではないと強調しました。

鈴木健二城西大学大学院客員教授は、「新聞報道の歴史と責任」をテーマに講演。明治時代以来の戦争で新聞の果たしてきた役割をくわしく振り返り、日本の新聞が権力に弱く、戦争の報道で伸びてきた事実を指摘。新聞の権力への癒着の要因は多々あり、新聞が社会の公器としての役割を果たすためには読者の声の反映が何よりも重要だと語りました。

参加者からは、「沖縄の現状や新聞の実態について深く知ることができた」などの声が多数寄せられました。また、辺野古基地建設反対の支援募金が十三万円余寄せられました。
堤隆二

(2015年10月25日付「兵庫民報」掲載)

基地調査レポート:姫路駐屯地

市街地で火を噴く大砲

田中信一(兵庫県平和委員会)

155mmりゅう弾砲

「ドーン…」「ドーン……」大砲のような地響きする大きな音、いや正に大砲の音である。戦車が、大砲(百五十五㍉りゅう弾砲)が、砲撃命令のもと、鳴り響いています。憲法九条はどこに!

ここは陸上自衛隊姫路駐屯地、平成の大修理が終わり観光客で賑わう姫路城のすぐ北側に位置する第三特科隊の駐屯地です。創立六十四周年記念行事が十八日に開催され、観閲式のあと、戦闘訓練が大観衆の前で繰り広げられました。


駐屯地司令の大津勝利一等陸佐は式辞で、「昭和二十六年警察予備隊として発足以来、今日創立六十四周年を迎えた」「今日、我が国を取り巻く情勢は、さまざまな課題や不安定要因がより先鋭化してきており」「一層厳しさを増してきています」「また、一昨年の国家安全保障戦略及び防衛計画の大綱の閣議決定につづき」「平和安保法制の成立により」「自衛隊の新たな役割や任務が付与されることとなります」「あらゆる事態に切れ目なく対応する訓練が必要になる」と述べました。

一九五一(昭和二十六)年以来、「軍隊を持たないとの憲法」を踏みにじってきた自民党政治。「戦争法」の成立で新たな段階に現場の自衛隊が進もうとしています。

「平和憲法が輝く日本政府の実現を」の決意を新たにしました。

(2015年10月25日付「兵庫民報」掲載)

映画「望郷の鐘」神戸上映決まる!

―国家の大きな噓に再びだまされないために



国家が総力を挙げて作り上げた大きな噓は、いつの時代でも見破る事は容易ではない――

このナレーションで映画は始まります。安倍首相・自公政権が強行可決した「特定秘密保護法」や「戦争法」。しかし、現代を生きる私たちは同じ轍を踏むわけにはいきません。

「だました国、だまされた国民に対する怒りと、悲しみ。国がだまそうとしても、国民がだまされなきゃ戦争にならないの。平和ボケと言われても平和な日本であり続けて欲しい。戦争を知らない若い世代に、ぜひ見て欲しい。そして考えてほしい」と山田火砂子監督は願いを語っています。

映画は、「中国残留日本人孤児」の父と慕われ、日中友好に半生を捧げた山本慈昭(一九〇二~九〇)の生涯を追います。

敗戦間近の一九四五年五月、長野県阿智村の住職で小学校教師を務めていた山本慈昭(内藤剛志)は村から請われて、阿智村満蒙開拓団に教員として同行します。だが、満州に着いて間もなくの八月、突如旧ソ連軍が侵攻し多くの命が奪われます。戦禍を逃れ逃避行の中、慈昭もソ連軍に捕らわれ妻子三人と生き別れます。そしてシベリアに抑留されますが、奇跡的に一九四七年、ただ一人帰国します。

一九七二年日中国交正常化の後、残留日本人孤児の肉親捜しと行方不明の妻子を捜し求める活動を始めます。やがて、その思いは日中政府を動かし、孤児たちの帰国事業につながり、「死んだ」と聞かされていた長女との再会を果たします……。

実行委員会は、戦争法廃止、日本国憲法を守り平和と民主主義を、と願うすべての方に協力を呼びかけ、多くの市民に鑑賞していただくため努めていきます。

主催:映画「山本慈昭『望郷の鐘』満蒙開拓団の落日」神戸地区上映運動実行委員会
日時:12月8日(火)①10時30分、②14時、③18時30分/上映時間は102分間
会場:新長田勤労市民センター別館ピプレホール
制作:現代ぷろだくしょん/監督:山田火砂子/出演:内藤剛志、渡辺梓、常盤貴子ほか
鑑賞券:一般前売り1200円、当日1500円/高校生以下前売り800円、当日1000円
問い合わせ:兵庫県労働組合総連合事務所☎078‐335‐3770

(北川伸一=映画実行委員会事務局・兵庫労連)


(2015年10月25日付「兵庫民報」掲載)

兵庫山河の会「山河」59号より

許すまい怒号のなかの採決でこの国を売るファシストたちを
山下 勇

戦争法夜半に可決のその直後「廃止求める政府」提案
古賀哲夫

戦争は平和装ひやって来る元特攻兵は熱く語りぬ
岸本 守

シールズのラップのコールリズミカル参加した人元気にさせる
鵜尾和代

地図の上国境線を消してみる難民などない我ら地球人
塩谷凉子

夜が更けて寝床で虫の子守歌心地好い音が眠りをさそう
高木庸子

眼鏡かけ計量する昆布七三グラム三月続いた朝の内職
浜野多鶴子

一人ずつ衣替えしてゆく秋日和仲間が増えて街は色めく
大中 肇

スーパーの花売り場にも秋来たるススキ・こすもす店を彩る
古賀悦子

還らざる若き日口惜し戦争の語り部われの言葉は湿る
安武ひろ子

(2015年10月25日付「兵庫民報」掲載)

財界には甘く、国民には辛く


段 重喜

(2015年10月25日付「兵庫民報」掲載)

観感楽学

戦艦「武蔵」の残骸がシブヤン海海底から発見と報道され、ゼロ戦特攻を〝永遠〟とする小説がミリオンセラーという。戦艦の相手、特攻機の突っ込む先も米機動部隊。決して略奪も餓死も慰安所も主題にはならない▼戦艦神話は「宇宙戦艦」にまで拡大再生産されているが、「大和」特攻は沖縄に達せず坊ノ岬沖に沈み、「武蔵」はレイテ作戦に間に合わず撃沈され、「陸奥」は瀬戸内海で自爆、「長門」は燃料キレで敗戦を迎え、戦後米軍の核実験標的艦となる。国民を飢餓状態にまで収奪して建造された戦艦の実像である▼戦艦だけではない。「大和」特攻に随伴した駆逐艦「初霜」は弾雲を巧みに避けて疾走、波間に漂う水兵たちを収容して帰投した。しかし幸運もここまで。練習艦となりわずか二カ月で宮津湾の空襲下沈没、戦後解体まで湾内に突き出た艦首を丹後の長老たちは覚えている▼俗論は「アメリカの物量に負けた」とする。しかし中国・アジア侵略の泥沼がすでに大勢を決していた。そこには略奪、強制連行、強姦、餓死、現地住民と彼我の兵たち百万の犠牲が積み重なっていた。戦後七十年、「武力抑止・国防論」への決別を覚悟した憲法の深淵だ。 (A)

(2015年10月25日付「兵庫民報」掲載)

2015年10月23日金曜日

しんぶん赤旗囲碁将棋兵庫県大会:兵庫県代表決まる

囲碁は浜崎公輔さん、将棋は長森優作さん


将棋A級優勝戦
優勝の長森氏(左)と準優勝の中氏(右)
囲碁A級優勝戦
準優勝の李氏(左)と優勝の浜崎氏(右)

しんぶん赤旗囲碁将棋兵庫県大会が十月十二日、神戸市内で開催され、県下各地の地区大会を勝ち上がった棋士たち六十二人が集まりました。

中には小学生の男の子もいました。将棋A級決勝戦は二十代同士の対戦となりました。

上位入賞者は次のとおりです。(敬称略)

  • 囲碁A級優勝:浜崎公輔(宝塚市)、準優勝:李沪(大阪市)、三位:長井聰和(神戸市西区)
  • 囲碁B級優勝:西尾孝弘(神戸市須磨区)、準優勝:渡部和宣(神戸市垂水区)、三位:長谷川泰男(神戸市須磨区)
  • 将棋A級優勝:長森優作(三田市)、準優勝:中拓海(神戸市東灘区)、三位:山田祥五(姫路市)
  • 将棋B級優勝:土谷正登(大阪市)、準優勝:石田直哉(姫路市)、三位:寺内弘之(神戸市長田区)


(Web版のみ)

あったか神戸・灘区の会第3回総会:久元市政の2年間を検証

神鋼火力発電や鶴甲会館問題など地域の課題大いに交流


報告する味口市議

あったか神戸・灘区の会は十月十日に第三回総会を開きました。就任二年になる久元喜造市政の検証と地域の課題「ローカルマニフェスト」の交流を行いました。

市政の実態について、味口としゆき市議から、久元市長が進める「三宮の再整備」が国と大企業本位になっている問題点や、中学校給食が〝異物〟混入などで中止の事態となっていること、プレハブ校舎で対応しているHAT神戸の渚小学校の過密化解消が来年度予算化されることなどが報告されました。

交流では――

  • 神鋼火力発電所に、二〇一七年の市長選挙以降、百三十万キロワットの発電所が増設されるが、環境アセスメントの際に多数の市民意見(パブリックコメント)が提出され、神戸市の意見書に一定の影響を及ぼしてきたことが紹介されました。
  • ウエルブ六甲道については、三棟のうち二棟が借り上げ住宅であり二十年で出て行けと差別が持ち込まれるのは許せないと、たたかう決意が住民らから表明されました。
  • 鶴甲会館については、地域の三千世帯のなかで千名を超える要望署名を集め、市がすすめる「あり方検討委員会」に地域住民が入り頑張っていることが報告されました。


参加者からは、地域でがんばっている姿がよくわかり、参加してよかったとの声が寄せられていました。(西下勝)

(Web版のみ)

2015年10月18日日曜日

発言:吉江仁子さん(明日の自由を守る若手弁護士の会兵庫事務局長/あいおい法律事務所)

国民主権の新しいステージへ

吉江さん

明日の自由を守る若手弁護士の会(あすわか)は憲法改正にかかる情報、とりわけ、自由民主党の「日本国憲法改正草案」の内容と問題点を広く知らせようと二〇一三年一月に結成。あすわか兵庫は同年十月に立ち上げました。


憲法カフェで憲法のお話をしてほしいというご依頼は去年の二月ごろから入るようになって、月二回から四回ぐらい会員が代わる代わる出かけてきました。

日本国憲法は、人も国土も荒廃させた戦争の反省のなかで生まれたものです。だから、「全体主義はあかん」「個人が尊重されなあかん」「平和でないとあかん」と書かれていて、それを国民でなく、国家に対して守るよう求めている――という話をしています。

「個人の尊重」という言葉は硬いですけれど、憲法カフェに来られる人は、今の社会や自分の生活について、「何かおかしい」「これは正しくないじゃないか」と思っているけれども、井戸端会議なんかでは言えず、当たり障りのない話をしていらっしゃるんだな、と感じます。そういう人たちがカフェに来られて、「やっぱり、おかしかったんだよね」「一人ひとりが自由で平等な存在で、尊厳ある個人として生きていきたいという、私の考えでよかったんだ」と元気になって帰って行かれます。

日本国憲法の持っている価値そのものに皆さんが勇気づけられるのだと感じます。

私たち、あすわかとしては、憲法カフェが続けていかれることに希望を感じます。戦争法案の〝おかげ〟で憲法の話をさせていただく機会がものすごく増えました。


「国民主権の国だから、自分たちが政治を選ぶことができるのだ」と思う人が一人でも二人でも増えれば、日本は変わると思ってやってきました。

一昨年十一月以来、月一回続けて来たJR神戸駅前などでの朝宣伝も、雑踏のなかのBGMみたいなものですが、去年の閣議決定が問題になった頃にはポケットティッシュ付きのビラが三十分ほどで八百五十枚はけるなど、反応がすごくよくなりました。

今年夏には、戦争法案廃案を求める署名運動に取り組みました。八月末から九月初めのたった二週間ほどの取り組みでしたが四千人以上の方にご協力頂きました。そのうち二百十三人の個人の方と二十八の団体からはわざわざ郵送して頂きました。

郵送してくださった皆さんに法成立後、九月二十日に発表したあすわか兵庫の声明と報告文を送ったのですが、さらに、そのお返事を頂きました。

「辺境の地のわが村でもこうした署名運動ができたことをうれしく思っています。ウチの小さな畑に『平和』のノボリを立てました……国民主権、民主主義の新しいステージに立つよろこびを与えてくださりありがとう」。読んでいて、本当にうれしくなりました。


戦争法成立後も憲法カフェは続いています。

「なぜ、この戦争法はだめなのか」を聞きたいというご依頼がまだあります。いかに憲法違反なのかや、民意を無視して米国との約束を優先させたことなどを話しています。最後には、「選挙は、『僕たち抜きに、僕たちのことを決めないで』という仕組みです」「国民主権ですから、議員さんとつながっていきましょう。そのために署名をしたり、集会をしたり、そこに議員さんを呼んだり、政党の事務所を訪ねたり……自分で選べるぐらい情報を集めて選挙に行きましょう」と呼びかけています。


違憲の法律がいつまでも国民生活を規律していては困ります。早期に廃止しなければなりません。日本共産党の「戦争法(安保法制)廃止のための国民連合政府」の提案には注目しています。

あすわか兵庫も街頭宣伝、憲法カフェなど、ひきつづき頑張っていきます。 (談)

(2015年10月18日付「兵庫民報」掲載)

金田氏先頭に宣伝、諸団体訪問・懇談:戦争法廃止の国民連合政府をご一緒に


日本共産党県委員会は十一日、毎月行っている東日本大震災メモリアル宣伝を三宮・交通センタービル前で行い、弁士にたった金田峰生党国会議員団兵庫事務所長は、戦争法廃止・立憲主義を取り戻す「国民連合政府」実現を訴えました。

金田氏は、戦争法廃止、立憲主義を取り戻す一点で一致する政党はもちろん、国民の皆さんとつくる政府だと訴え、協力を呼びかけました。「わが党としても、覚悟をきめて提案させていただいております。安倍政権が壊した立憲主義、平和主義、民主主義を取り戻すために、ぜひ、力をあわせましょう」と訴えました。

配布していたリーフも次々とうけとられ、「安倍政権は倒さなあかんな」「頑張ってください」という声も寄せられました。

24日に国会報告・懇談会


九日、金田峰生氏は、十月二十四日に予定している大門みきし参院議員・堀内照文衆院議員の国会報告・懇談会(たちばな職員研修センターで午後二時から)の案内とともに、「国民連合政府」提案リーフをもって、団体を訪問しました。

この日訪問したのは、兵庫県行政書士会、JA兵庫中央会、兵庫県看護協会など八団体です。

日本共産党県委員会は、引き続き「国民連合政府」提案リーフでの訪問や懇談を行います。

労働者後援会は23日に総会


日本共産党兵庫県労働者後援会は十月二十三日、大門みきし参議院議員を迎え総会を開きます。

同後援会事務局は、たたかいの発展、来年の参院選に向けて構えをつくるため、この総会を成功させようと、「戦争法廃止のための国民連合政府」の提案も持ち、金田峰生参院兵庫選挙区予定候補といっしょに、各産別後援会を訪問しました。

どこでも金田峰生さんの訪問に驚くとともに「国民連合政府」提案への共感が表明され、「参院選で定数三になった兵庫県は頑張らないと」との決意が語られました。

ある産別後援会では、「連合労組でも、戦争法案阻止のたたかいでいかに頑張ったかが語られ、廃止への決意も語られている。共同の条件や可能性はある。この提案を職場で広めたい」との声も出されました。

姫路労働者後援会も市内七カ所の企業・職場門前でのリーフ配布を始めました。

兵庫県労働者後援会総会は十月二十三日午後六時から神戸市立婦人会館四階「つばき」で開催。大門みきし参議院議員が講演し、金田峰生兵庫選挙区候補の決意表明もあります。

(2015年10月18日付「兵庫民報」掲載)

「安保法制に反対するママの会」と市議会意見書や国民連合政府提案で懇談

ママの会と懇談する
松本市議(こちら向中央)と門屋氏(左)

日本共産党県委員会は十二日、「安保関連法に反対するママと有志の会@兵庫」(ママと有志の会)と懇談しました。

懇談では、松本のり子神戸市会議員団長が、この間、「ママと有志の会」が神戸市議会に提出した「安保関連法案の慎重審議を求める意見書」提出を求める陳情について報告しました。

松本議員は、「陳情は、総務財政委員会で採択されたが、本会議はこれから。ただ、戦争法が成立しているから、皆さんの意をくんだ内容にかえて提案しようとしています。皆さんの取り組みが議会を動かしています。貴重な取り組みです」と述べました。

日本共産党の「国民連合政府」提案については、門屋史明党国会議員団兵庫事務所長代理が紹介。提案の三つの内容を説明し、「『野党は結束してほしい』との声に応えるのと同時に、立憲主義、民主主義が破壊されている非常事態を打開するために提案させていただきました。皆さんのご意見もぜひ、うかがいたい」と呼びかけました。

「ママの会」のメンバーからは、「『戦争法』という名前にしたのは、ちょっと極端すぎるのではないか」「野党の共同をもう少し早めにいってほしかった」「これを実現させるうえで、私たち市民はどうしたらいいのか」など疑問がだされ、松本、門屋両氏は、「ママの会や若者など、ここまで自らの思いで自主的にたちあがった運動はなかった。そういう点では、皆さんの声を力に、この提案をさせてもらっています。実現させるのも、世論と運動の力がカギ。引き続き、力をあわせましょう」と答えました。

「ママの会」のメンバーは、引き続き、各政党の国会議員とも懇談を行っていきたいと語っています。

(2015年10月18日付「兵庫民報」掲載)

憲法カフェ:安保関連法に反対するママと有志の会@兵庫


「安保関連法に反対するママと有志の会@兵庫」は十月十二日、神戸市灘区の六甲道勤労市民センターで、あすわか兵庫の松田昌明弁護士、野田倫子弁護士を迎えて憲法カフェを開き、子どもも含めて約二十人が集まりました。

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松田弁護士は、はじめに子どもたちを対象に「憲法紙芝居」を上演。そのあとレジュメにそって立憲主義や日本国憲法、安保関連法や選挙制度について話しました。

質疑応答では、「日本国憲法の主語が『国民』となっているが、在日の方は含まれないのか」「自民党の憲法草案に、なぜ『家族』という項目があるのか」「違憲審査の裁判がなぜできないのか」など熱心に次々と質問が寄せられ、松田、野田両弁護士が丁寧に答えました。

野田弁護士は、「憲法で保障されている自由権のなかでももっとも大事なのは、表現の自由。正しい情報を得て、何が正しいのか判断し、政府にモノをいうことは、侵させてはいけない。しかし特定秘密保護法は、そのことを阻害している。政府の動向をしっかりみていかないといけない」と語りました。

また松田弁護士は、「今回の安保法制は、憲法違反なんだという一点で、理解を広げていくということが大事だと思います。そういう点では、憲法を知るという活動が大事。こうした取り組みも、引き続き広げていきましょう」と呼びかけました。

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カフェ後のお昼には、メンバーがそれぞれ持ち寄った一品を出しあい、子どもたちと一緒に交流会を行いました。

(2015年10月18日付「兵庫民報」掲載)

憲法が輝く兵庫県政へ(3):借り上げ復興住宅

二十年目の人災を許すな:借上復興住宅からの「違法追い出し」撤回を

借上復興住宅弁護団・弁護士 松山秀樹

阪神・淡路大震災では、住家の全半壊がおよそ二十五万棟、約四十六万世帯でした。自治体には、被災者住民らに対して、早期に恒久住宅を供給することが求められました。ところが、自治体が自ら建設する公営住宅だけではとても被災者の需要に応じることはできず、民間や住宅・都市整備機構(現・UR)から建物を借り上げて、公営住宅扱いで住民に供給したのです。これが「借上復興住宅」であり、今も阪神間に総数約六千戸が存在します。

西宮市役所への抗議行動で発言する
ひょうご震災復興借り上げ住宅協議会の安田秋成代表(右)と
西宮UR借り上げ市営住宅連絡会の松田康雄代表(左)
(9月29日)

これらの借上復興住宅のうち、西宮市の「シティハイツ西宮北口」は借上期限が平成二十七年九月三十日に満了しました。西宮市は、同住宅に入居している被災高齢者を被告として、住居からの強制的な退去と損害賠償を求める訴訟を提起する議案を十二月議会に提案する方針を表明しています。

神戸市の借上復興住宅「キャナルタウンウエスト一~三号棟」は来年一月末に借上期間が満了し、神戸市も一部の例外を除いて、被災高齢者に対して退去強制をする方針を打ち出しています。「追い出し」の理由は、借上期間が満了したからということです。

しかし、誤解してならないのは、借上復興住宅で借上の期限(多くは二十年間)が設定されているのは、URなどと自治体との間の「借上契約」についてだけです。

入居者と自治体との間の「入居契約」は、通常の市営住宅などの公営住宅と同様に「期限の定めのない」借家契約です。ただし、借上復興住宅に入居した場合には、入居者に借上期間(二十年)が満了した時に転居するという条件がつけられている点で、通常の公営住宅と異なるのです。

そして、転居という条件は入居者の住居の安定にとって極めて重大な条件ですから、公営住宅法では、入居者を保護するために、自治体には入居決定時に、入居者に対して「借上期間満了時に転居しなければならない」条件を明確に通知することが義務づけられています(事前通知制度)。

ところが、西宮市は、今回、退去を求めている入居者に対して、入居時に二十年後の退去義務をいっさい通知していませんでした。キャナルタウンウエストの多くの入居者にも神戸市が事前通知をしていなかったことが明らかとなっています。西宮市も神戸市も、被災者に対して「終の棲家」を提供するとして借上復興住宅に入居させていたのです。

自治体自ら事前通知を怠っていながら、入居者に退去を強制することは明らかに違法です。これでは、消費者に重要な事実を告げない悪質な訪問販売などと同じです。しかも、いま退去が強制されようとしている入居者らは通常の借家人と同様に借地借家法に基づき入居した人々ですから、借地借家法で保護されています。民間の借家で「期限がきた」といって家主が退去を求めることができないのと同じです。

このように西宮市や神戸市が借上復興住宅の入居者に退去を強制することは、通知を怠っているという公営住宅法違反と借地借家法違反で二重の意味で違法なのです。

兵庫県弁護士会も、本年七月に意見書を出し、借上期間満了後も、希望する者の継続入居を認めるべきである、と訴えています。

震災を乗り越えて生き抜いてこられた被災高齢者に対して、住居から追い出すことは、健康と生活を脅かす人災に他なりません。二十年目に被災者に再び危機が迫っています。

借上復興住宅弁護団では、継続入居を希望する全ての人の継続入居を認めさせるため全力を挙げる決意です。今、緊急の取り組みとして西宮市が十二月市議会に提出しようとしている「提訴議案」の撤回を求めた署名活動をしています。ご支援をお願いします。

(2015年10月18日付「兵庫民報」掲載)

「中小企業振興条例」:パブリックコメント募集20日まで:10月県議会で制定へ

兵庫県議会で、中小企業振興条例の制定への議論がすすんでいます。

今回、議論が行われた政務調査会長会で、いそみ恵子党政調会長は、他府県で実現している先進的な内容を取り入れ、「小規模企業者にも重点を置くことを明確にした条例に」、「分離分割発注などで中小企業の受注増を」、「金融機関や大企業に、中小企業の振興への役割と配慮を定めるべき」、「知事が条例にもとづく計画をつくる際に、中小企業振興会議を置いて、審議を行う」などの意見を述べ、条例案に盛り込むことを主張しました。

二〇〇二年に日本共産党が独自条例提案

中小企業振興条例については、日本共産党県議団が、二〇〇二年に議案提案権をつかって単独で条例提案を行い、「新しい政策条例が議員提案されるのは二十九年ぶり」(読売新聞)と言われました。

その後、全国的な取り組みもあって、条例制定が相次ぎ、現在三十四道府県にもなっており、兵庫県としても制定することが切望されていました。

今回、政務活動費の問題や、いっせい地方選挙などを経て、県民の「もっと県議会に役割を発揮してほしい」という願いをうけ、各会派の間で条例制定が議論され、議員提案での成立をめざして、県民意見募集(パブリック・コメント)を行うことになりました。応募締め切りは十月二十日です。

パブリックコメント募集案内ページ
http://www.hyogokengikai.jp/iken/iken.html


くりかえし本会議で条例制定を求める

日本共産党はこれまで、本会議質問などで、井戸敏三知事に対して、パナソニックに代表される補助金による大企業誘致頼みの産業施策から転換し、兵庫県に根をはる中小企業をしっかりと支援し、地域経済の活性化のために振興条例を制定するよう、繰り返し求めてきました。

今後の取り組みの重要性

パブリックコメントでしめされている「要綱案」は、他会派も含めて合意された内容で、「中小企業振興会議」など、日本共産党の主張した内容が一部含まれていない点もありますが、県民からの意見を受け、最終案になり、十月議会の最終日に提案される予定となっています。

さらに、条例制定後も、条文を根拠として、兵庫県政に中小企業支援の強化を求める道も開かれます。今後の取り組みも重要となってきます。

(2015年10月18日付「兵庫民報」掲載)

庄本えつこ県議が一般質問

平和、地域経済、地域医療、防災、教育で県民の声代弁し知事に迫る


十月六日、兵庫県議会で、庄本えつこ県議が、はじめての一般質問を行いました。

日米共同指揮所演習(ヤマサクラ)での「国民保護訓練」に参加するな


庄本県議は、秋に伊丹市で予定されている日米共同指揮所演習(ヤマサクラ)が、安保関連法制の成立をうけて、米軍指揮のもと、海外で戦争する訓練になる危険性を指摘。同時に検討されている「国民保護訓練」への参加をしないよう求めました。また、中学生の体験活動(トライやる・ウィーク)として自衛隊はふさわしくないことも強調しました。

井戸知事は、「日米共同演習をどのような形態で行うのかは、防衛に関する事項で、国において適切な対応がなされるべき」と述べ、高井教育長は、「自衛隊も有益な活動場所のひとつ」と、県民の不安の声に背をむけました。

「地域創生」で行政サービス集約の懸念、住宅・店舗リフォーム助成制度の創設を


庄本県議は、兵庫県の「地域創生戦略」案が、行政サービスの集約化につながる懸念があること、平成の大合併や「県行革」による地方事務所の統廃合、県職員の削減によって、県下の地域の衰退を加速させたことに真摯にむきあってこそ、地域の真の再生・創生ができることを指摘し、全国や先進地の例をあげて、「住宅・店舗リフォーム助成事業」の創設を求めました。

井戸知事は、「地域の衰退の要因は、経済的価値や効率を過度に追求して東京一極集中をまねいてきた国土構造が形成されてきたことにある」と述べる一方、自らがすすめた「県行革」の悪影響を認めませんでした。

石井産業労働部長は、「住宅・店舗リフォーム助成は、結果として、中小企業の振興につながる」ことを認めつつ、空き店舗や事業承継など「公共性の高いものに助成」すると答弁しました。

「地域医療構想」で病床削減押し付けか


県が策定をすすめる「地域医療構想」の部会で、病床の四つの機能、二次医療圏ごとの二〇二五年の病床数が西播磨、但馬・丹波、淡路などで大幅に削減する推計が示されました。この数字をもとに病床削減が前提となる計画がつくられることが懸念されています。(十月四日付一面記事参照

庄本県議は、「地域の実情や、救急を担う民間病院の苦労、潜在的な医療需要をまったく考慮していない」と批判し、病床の転換や削減を病院に押しつけないことを強く求めました。

井戸知事は、「地域医療構想は、当初、一方的に病床が削減される計画という不十分な理解が広がっていましたが、その後、医療介護推進基金を活用して、必要とされる医療提供機能を確保する仕組み」「国が一定の削減を求めている、慢性期病床については、在宅医療の充実が前提」と答弁しました。

津波による尼崎の河川堤防被害について


庄本県議は、尼崎のゼロメートル地帯での津波遡上による河川堤防の被害について、兵庫県が行った詳細調査(静的解析)を県議会ではじめて明らかにしました。三カ所の調査のうちのひとつである左門殿川では、縦と横に約九十センチも堤防がずれ、隙間があくほどの被害をうけると指摘。河川から浸水しないとする県当局に対し、「浸水想定や予測を上回る沈下もある。河口から六キロで三カ所のごく限られた調査地点」と批判して、箇所を増やしたさらなる調査を求めました。

また、大阪側がインターネットで調査結果や専門家を含めた委員会資料を公開していることに比べ、「兵庫県は一度も根拠資料をしめして、住民に説明したことはない」と追及。調査結果などの公開と住民説明を求めましたが、田中県土整備部長は、「念のための調査。検討委員会で複数の学識経験者から妥当の意見」と述べ、住民への説明も「インフラ整備計画にわかりやすく記載」しているので、必要ないとの姿勢を示しました。

三十五人学級・少人数学級の拡大


庄本県議は、「兵庫県の教職員の勤務時間は小中とも全国平均以上で、多忙と答えたのは小学校九七・七%、中学校九四・六%」という県教育委員会の勤務実態調査をとりあげ、少人数学級を教員の増員で実現し、多忙化解消、教育条件改善を求めました。

特に、安倍自公政権が、「費用対効果」などと少人数学級への移行をストップしているもとで、兵庫県の姿勢が重要になっています。

高井県教育長は、「文部科学省の折衝の行方を見守っていく」「国で必要な措置を講じるべきもの」「ひきつづき、教員の負担軽減を図り、教育の質を高めるために、定数改善計画の策定を強く要望」と答弁しました。

(2015年10月18日付「兵庫民報」掲載)

病床削減計画から地域医療守ろう:加古川で学習会

加古川市の「二つの市民病院の存続と充実を求める会」は、地域医療を守るため病院中期計画に関する学習会を十月六日、加古川市人権文化センターで開きました。

講師に招かれた自治体問題研究機構専門委員の今西清氏は、「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律」により全国で四十三万床もの削減が狙われており、東播磨圏域では現在一千六百四十五床ある慢性期病床を二〇二五年には二八%減の一千百八十五床にまで削減する計画を県がすすめようとしていることを報告しました。(十月四日付一面記事参照

地域の受け入れ態勢ができていないのに、病院から地域・家庭での〝金のかからない介護〟へと振り替えさせようとしていると今西氏は批判し、今後は新公立病院改革ガイドライン「公立病院改革の推進について」(三月三十一日発表)の内容をより詳しく研究し、市民が声をあげる必要があると強調しました。
(岸本たてき=加古川市議)

(2015年10月18日付「兵庫民報」掲載)

地域医療と芦屋病院を守る運動が再スタート

総会学習会で医療崩壊と戦争法の関係学ぶ


「地域医療と芦屋病院を守る市民の会(芦屋病院を守る会)」が総会・記念講演会を十月十一日、芦屋市内で開催。四十人あまりの参加者が医療制度研究会副理事長の本田宏さんの講演(写真)を聴き、目下進行中の医療崩壊政策に立ち向かう気持ちを共有しました。

「芦屋病院を守る会」は地域医療と芦屋病院をまもるため七年間活動を続けてきました。今後は「あたたかく民主的な市政をめざす芦屋市民の会」に再合流して、その活動を継承発展させることとなりました。

講演は、運動の再スタートにあたって〝医療崩壊と戦争法の切っても切れない関係〟をしっかり学ぼうと企画されたものです。

参加者からは、「お医者さんの数が少ないとは驚きでした」「軽妙な先生のトークにすいこまれながら、日本の危機をわかりやすく理解できました」「戦争法は医療従事者にとってすぐ影響を与えてきます。国の予算等にも注意してみたい」「街のなかで叫んでもバカ扱いされるだけです。支配の丈夫な網を食い破りたい」などの感想がよせられました。
(副島圀義)

(2015年10月18日付「兵庫民報」掲載)

原発なくす兵庫の会:吉井英勝氏講師に学習会

安保条約がらみの異常さ解明


原発をなくし自然エネルギーを推進する兵庫の会(原発なくす兵庫の会)は、吉井英勝元衆議院議員を講師に学習講演会を十月六日、神戸市勤労会館で開きました。

吉井氏は、「原発をなくし再生エネルギーの爆発的普及へ」と題して講演。福島第一原発事故の原因も溶け落ちた燃料の状態も不明なのに被災者支援の打ち切りを言い出す政府の異常さを厳しく批判し、とくに、「安倍首相には特別な責任の重さがある」と強調しました。スマトラ沖地震(二〇〇四年)でインドの原発の地下室が津波に襲われたことをふまえ、吉井氏が二〇〇六年に提出した質問主意書で内部・外部電源喪失による重大事故の危険性を指摘したのに対し、安倍首相が「安全確保に万全を期している」と答弁しながら実際には何らの対策も取らず、福島の事故を招いたことは、まさに人災だと指弾しました。

さらに、日本の原発政策が日米安保条約絡みで進められている異常性を歴史的に解明しました。

一方、自然エネルギー活用は地域でも急速にすすんでいることをあげ、「太陽光、風力、地熱、バイオマスなど再生可能エネルギーは地理的条件でそれぞれ違う。だから企業の利益でなく地方自治が大事だ」と展望を語りました。

*
原発をなくす会の共同代表の津川知久兵庫労連議長は閉会挨拶で、この講演を力に原発からの撤退、自然エネルギーの推進を地域から行動で進めていこうと訴えました。

(2015年10月18日付「兵庫民報」掲載)

原発再稼働の不当性浮き彫りに:科学者会議市民フォーラム

日本科学者会議兵庫支部の市民フォーラム「原発の安全性を問う!」が十月十日、西宮市立大学交流センターで開かれました(後援=原発をなくす西宮の会)。

川内原発一号機(鹿児島)の再稼働が強行され、伊方原発三号機(愛媛)も再稼働のたくらみが進む中で、その危険性を明らかにするために企画され、小学生らを含む約四十人が参加、福井県(全国の原発五十四基のうち二十九基を抱える)で運動の中心を担う一人である山本富士夫氏(福井大学名誉教授)の講演と質疑が行われました。

山本氏は原発の仕組みを述べ、とくに原子炉内で核燃料棒がバーンアウト(焼損)をきたす「限界熱流束」に対し余裕のない状態で運転されることを指摘し、いったん冷却剤(主に水)の供給が止まると、福島のような重大事故が発生することを説明しました。

また、日本の原発は、余剰濃縮ウランの供給で利潤とエネルギー政策でのヘゲモニーを確保しようとするアメリカの意図によって始まったこと、いわゆる「原子力ムラ」と「安全神話」の形成について解説しました。

さらに、昨年四月の福井地裁判決(高浜原発の運転差止仮処分)の意義を人権・環境権の観点から評価、韓国や中国の原発事情も紹介し、運動面では、安保法制の問題なども含め「サイレント・マジョリティ」をいかにして味方にするかが課題であると強調しました。

(2015年10月18日付「兵庫民報」掲載)