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2015年9月13日日曜日

発言:川元志穂さん(あすわか兵庫支部)

個人として尊重される社会を


川元さん

去年、「あすわか」に入る前は政治には無関心でした。新聞とか読んでも暗くなるからいやでした。

でも特定秘密保護法ができて、去年、集団的自衛権の行使容認が閣議決定されました。身近な人の中にも「ちょっとおかしいんじゃないか」と気づく人もいたんですね。

私も勉強しないといけないと思い、本屋でみつけた「あすわか」の『超訳・特定秘密保護法』という本を読んで、「むちゃくちゃだな」とわかったんです。それで「あすわか」に入りたいと思っているときに声をかけられ、去年の十月に入りました。

そこから無関心だったのがうそのように、手当たり次第、講演会や勉強会に行ったり、憲法カフェにとりくんだり、今年の四月から弁護士会の憲法問題委員会に入り、六月二十一日のパレードの宣伝や当日のスタッフ などもやりました。

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八月二十九日の四カ所同時パレードは、尼崎を担当しました。弁護士会の阪神支部が中心になって弁護士八人で実行委員会をつくり、私が取りまとめ役的になりました。ただ一人でできるわけないし、みんなで協力しながら実行委員会で相談し、また協力団体との相談会なども行いました。街頭宣伝などもやりました。自分でも街頭で訴えるとか想像もしなかったけど、今では、パレードも散歩気分でできるようになりました。

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安保関連法案については、九条の会、労働組合などの勉強会で六、七回はお話させてもらっています。

法案全体が、憲法九条を踏み破るもので、危険な内容だと思いますが、私が一番まずいと思っているのは「重要影響事態法」です。「重要影響事態」という緩い要件で、世界中どこへでも自衛隊を派遣することができ、そこで弾薬の提供等をさせられることになり、相手国から攻撃される危険が非常に大きくなる、本当に危険な法案です。

他にも、PKO法改定案等での武器使用要件の緩和などによって、武力衝突がおこり易くなり、事態がどんどん切れ目なく拡大して、結局日本が直接の攻撃をうけて、個別的自衛権を行使して、全面戦争に発展する危険性もあります。

このように危険な安保関連法案の成立は、なんとしても止めたいと思っています。

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私は「何のために生きているのかわからないと何をしたらいいのかわからない」と思い、高校のときに哲学の本を読んでいました。その中でカール・ヒルティの『幸福論』を読んで感銘をうけ、その人がスイスの弁護士をしていたので「弁護士になれば間違いない」と弁護士をめざすことに決めたんです。

その後も、哲学や心理学の本を読んだりもしていましたが、そのことが今につながっています。人には個性があり、目に見えない心があり、そのことを自由に表現しながら成長することに幸せだと感じるし、そのために生まれてきたんだと思いました。

そしてそのことが憲法のもっとも大事な条項として十三条に書かれているんです――「すべて国民は、個人として尊重される」と。

人は個人として尊重され、個人の思いを自由に表現していい、みんな違ってみんないい、それぞれの幸福を最大限追求していいんだよということを憲法は保障していて、国の統治機構もそのためにある――そういう今の憲法が私は大好きなんです。これをみんなにも伝えたいし、守っていきたい、そんな思いで活動しています。

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でも自民党の憲法改正案は、この条の「個人の尊重」の「個」を取っています。「人としてしか尊重されない」だから、権力者に「はい」という人しか尊重されない、そんな社会にしようとしています。それだけはいやです。

安保法案が廃案になっても、憲法の問題はたくさんあります。憲法改正という問題もこれから必ずでてきます。なので、憲法に関するほかの問題にもぜひ意識をむけてほしいと思っています。

いまたくさんの方が主体的に声をあげている運動を一過性にせずに、さらに幅広い視野でとらえた運動にするために、引き続きとりくんでいきたい。そのためにも、『学ぶ』ことが大事だと思っています。これからも「憲法カフェ」などで、皆さんと一緒に学びながら運動をすすめていきたいと考えています。(


川元志穂弁護士:夙川さくら法律事務所/兵庫県弁護士会憲法問題委員会/明日の自由を守る若手弁護士の会「あすわか」兵庫支部

(2015年9月13日付「兵庫民報」掲載・)

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