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2015年8月23日日曜日

発言:馬渡英樹さん(明日の自由を守る若手弁護士の会・弁護士)

戦争繰り返させないため行動を



明日の自由を守る若手弁護士の会の一員として市民の方と一緒に「憲法カフェ」「憲法茶話会」を開催するなどの活動をしています。なぜ憲法ができたのかを紙芝居を使ったりして、なるべく分かりやすく説明できるように心がけています。ママさんも、パパさんも、日本と子どもの将来を心配し、憲法について耳を傾けてくれますし、思いを熱心に語ってくれます。

私たち弁護士は、司法試験を受験するときに、憲法を学びます。その憲法の意味を、内閣総理大臣である安倍首相が全く理解していないことに驚いています。私自身、政治に対して特に意見を持っている人間ではありませんでした。でも、戦争を経験した人たちが守ってきた憲法を破壊することには、声をあげて反対していかなければならないと考えています。憲法を学んだ弁護士の使命といってもいいかもしれません。

今、集団的自衛権を容認するための安保法案が成立しようとしています。安保法案は、憲法9条に反するものであり、時の権力者の解釈によって、戦争を起こすことが容易になるものです。廃案にするしかないと思っています。

よく議論になるのが、集団的自衛権の〝抑止力〟です。本当に、集団的自衛権には、抑止力があるのでしょうか。最も軍事力のあるアメリカは、常に戦争をしています。抑止力があれば、戦争をしていないはずです。特に、自分の命を犠牲にすることをいとわないテロリストに対して、抑止力の効果はありません。むしろ、〝後方支援〟という名目の下に、戦争に参加することによって、日本がテロリストの標的になる可能性が高くなるでしょう。

また、日本に対する脅威はあるのでしょうか。たとえば、中国はたびたび日本を挑発するような行動に出ます。しかし、中国が日本に対して軍事的行動に出るような事態にはなく、すぐに安保法制を構築しなければならないほどの脅威はありません。

このような話をすると、安保法案賛成の方々からは、「平和ボケ」していると言われます。しかし、安保法案を可決し、アメリカの戦争に参加する行為こそ、日本が戦争に巻き込まれ、日本人が命を落とす可能性が高まることを無視してはいけません。

ヒトラーの下、ドイツ軍の空軍総司令官であったヘルマン・ゲーリングは、次のように語りました。「一般市民は戦争を望んでいない。しかし、国民は常に指導者たちの意のままになるものだ。自分たちが外国から攻撃されると説明するだけでよい。そして、平和主義者については、彼らは愛国心がなく国家を危険に晒す人々だと公然と非難すればいいだけのことだ」。最近の日本の風潮を示しているのではないでしょうか。

戦争をしないためには、対立する国と経済的に協力態勢を構築し、互いに必要な存在であることを認識することが、最大の抑止力になります。このようにして、私たちの先祖は、戦後70年間、戦争しない国を作ってくれたのです。

集団的自衛権を容認した場合、アメリカの戦争に参加することになります。きっと、アメリカは正義のための戦争と旗を掲げるでしょう。イラク戦争がそうでした。歴史を振り返ると、人間は平和を叫びながら戦争を起こしてきました。無実の一般市民を殺すかもしれない戦争に、日本人も参加してもいいのか。賛成の方も、反対の方も、私たち1人1人が向き合って話し合うことが大切だと思います。また、違憲の法律が成立しようとしている緊急事態です。日本が間違った方向に進まないために、政党や宗教を超えた協力が必要なときではないでしょうか。

2度と戦争を繰り返さないために、負の遺産を私たちの子孫に残さないために、皆さんと一緒にちょっとずつ行動していきたいと思います。(談)

(2015年8月23日付「兵庫民報」掲載)

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