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2015年7月19日日曜日

アスベスト尼崎の会:高裁にむけ署名活動スタート


「クボタショック」10年を機に、あらためて公害としてのアスベスト被害の深刻さを学び、知を力にしようと、アスベスト被害からいのちと健康を守る尼崎の会(アスベスト尼崎の会)は7月12日、著書『死の棘・アスベスト 作家はなぜ死んだのか』で2015年科学ジャーナリスト賞を受賞した神戸新聞論説委員で東京支社編集部長の加藤正文氏を招いて学習会を小田公民館ホールで開催し、114人が参加しました。

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開会にあたり、船越正信会長が「公立病院退院後の往診依頼のなかで、中皮腫患者が相次いで4人。被害の深刻さは度を増している。加藤さんの話を力に、運動を広げ、国の責任を認めさせ、制度の改善につなげていこう」と挨拶しました。

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「過去・現在・未来の『声なき声』に耳を傾けて」と題して講演した加藤氏は、尼崎市杭瀬に育ち、神戸新聞の記者として臨海部の尼崎大気汚染、国道43号線排ガス等の報道を継続してきた経験を述べ、「まさか尼崎市中心部の住宅密集地に巨大なアスベスト工場があることを市民のほとんどが知らなかった。クボタ旧神崎工場で明るみに出た工場内外の被害は深刻」「毒性の強い青石綿を8万8,671トン使用。国内最大の量。白石綿はさらに多く14万9千トンを使用。工場の中は充満する粉塵、防御せずに作業。従業員の半分が発症、4分の1が死亡という『死の工場』。工場外への大量拡散につながった」「旧神崎工場から同心円状に広がる被害であり、クボタの責任が問われるが、社長は因果関係を否定し、『ピークは過ぎた』との認識だった」と明らかにしました。

加藤氏は立命館大学の海外調査に同行し、アメリカ、イタリア、カナダ等の石綿問題を取材。イタリア、カナダの露天掘り石綿鉱山の光景をスライドで報告。「これらの石綿が神戸港に荷揚げされ、日通などによって工場に運ばれ、製品となって建設現場、震災現場で見られたビル解体と大量の瓦礫となった。かたわらを通る大勢の市民の肺に髪の毛の5千分の1のアスベスト粉じん(死の棘)が突き刺さり、20年から50年を経て中皮腫や肺がんを発症する、『複合型ストック公害』が起こっている」と指摘しました。

「阪神・淡路大震災に続き東日本大震災の瓦礫処理の状況を見ても、国の対応はいつも遅れ、被害を拡大しており、アスベスト問題は決して過去の問題でなく、現在につなげ、未来の被害を防ぐ抜本対策が求められる」と、まとめました。

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八木和也弁護団長代行が、弁護団体制の変更と、これまでのたたかいを振り返り、今後の課題を報告。粕川實則事務局長が労災型控訴審(9月7日)の参加要請と10月末までに大阪高裁に向けて5万署名の取り組みを提起しました。

日本共産党の堀内照文衆議院議員が挨拶。大門みきし参議院議員、宮本たけし、清水ただし衆議院議員のメッセージが紹介されました。

(2015年7月19日付「兵庫民報」掲載)

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