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2015年6月14日日曜日

前進座『南の島に雪が降る』:7月17日

二度と戦争をしない戦争を風化させてはならない

劇団前進座 藤川矢之輔


ニューギニアのマノクワリに駐屯している日本軍兵士は、物資の補給を絶たれ、飢餓と疫病に苦しみ、日ごとに死者が増していきます。作れる物は芋ばかり、タンパク源であるトカゲやねずみを奪い合う毎日、その兵士たちを勇気づけたのは、芝居でした。

前進座の大先輩で後に東宝の映画俳優となった加東大介さんは、大阪公演中に召集令状を受け、ニューギニアに行き、演芸分隊を組織、さらにジャングルの中に劇場を建て、引き揚げの前日まで芝居を上演し続けました。

衣裳もかつらも小道具も、何もかもが手作り、軟膏と天花粉で白塗りし、口紅の代わりに赤チンをさした女形、落下傘を着物に仕立て直し、ブリキの台に墨汁で染めた麻縄や馬の尻尾を植えたかつら、役者も本職は加東さんだけ、あとはスペイン舞踊のダンサーや博多にわかの得意な真言宗の僧侶など、彼らを加東さん一人が指導するのです。

しかし「瞼の母」の劇中で紙の雪を降らせると青森出身の兵士たちが泣き、中にはその雪をつかみながら息を引き取る兵士も。悲惨な戦場で芝居が果たした役割、そして何もないところから芝居を創る苦労は、今の私達には想像もつきません。

現在97歳の方がニューギニアで芝居を観て感動した、という記事が某新聞に掲載されました。その実話を原作にした「南の島に雪が降る」を、戦後70年企画として神戸で公演します。

二度と戦争をしない、戦争を風化させてはならない、という強い思いを込めてこの芝居を創ります。


戦後70年特別企画・前進座公演『南の島に雪が降る』/原作=加東大介、脚本=瀬戸口郁、演出=西川信廣、協力=加藤武/7月17日(金)14時開演/神戸文化ホール中ホール/観劇料(税込み)5,000円、22歳以下3,000円/全席自由/主催=前進座『南の島に雪が降る』を観る会(問い合わせ先=年金者組合兵庫県本部☎078・371・2204、前進座大阪営業所☎06・6212・9600)


(2015年6月14日付「兵庫民報」掲載)

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