記事を検索

2015年5月17日日曜日

観感楽学

憲法9条を乱暴に踏みにじる「戦争立法」をめぐって緊迫した局面を迎えています。私は、45歳ですので、戦争体験はありません。だからこそ、戦争の悲惨さを受け継がなければならないと感じています▼私の妻の祖父は7年前、86歳で他界しました。生前は、戦争体験は一切語りませんでしたが、義父から聞いた話は心から離れません▼祖父は、70年前の戦争で、石川県の連隊に召集され、中国東北地方に送られ、激しい戦闘の後、終戦となり「ようやく日本に帰れる」と思ったら、シベリアに送られました。シベリアは極寒の地、マイナス40℃。3年もの間、抑留生活を強いられました。朝起きると、隣に寝ていた仲間が衰弱、凍死していたことが幾度となくあったそうです▼「明日の朝生きているだろうか」と恐怖に駆られる毎晩。ある夕食、スープの中に雑巾が入っていて、その雑巾を捨てるとスープは残らない。祖父は迷うことなく雑巾をしゃぶったそうです。帰国してからも、雑巾の舌触りとジュルジュルしゃぶる音が耳の底から離れなかったそうです▼祖父は、「戦争から帰ってきてからの後の人生は、付け足しだ」と語っていました。なんと寂しい言葉でしょうか。戦争は人間の幸せを根こそぎ奪うものです。全身全霊をかけて「戦争立法」ストップを。 (T)

(2015年5月17日付「兵庫民報」掲載)

日付順目次