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2015年4月26日日曜日

生活保護費過少支給事件に思う(上)

元ケースワーカー 大久保嘉浩

神戸市は敗訴して〝残念〟というが


大阪高裁の勝利判決を喜ぶ支援者(2月26日)

この事件は、北区で自営業を営むAさん夫妻が、本来受給すべき生活保護費を2年あまりにわたって過少に支給されていたことを不服とし、神戸市を相手に訴えを起こした裁判です。

本来、神戸市が誠実に、適切に対応しておれば裁判にまでいたらなかった事件です。

神戸市は2月26日の大阪高裁判決を受けて、3月9日、神戸市議会福祉環境委員会あてに「国家賠償請求控訴事件判決への対応について」という文書を出して、上告を断念したことを伝えています。

この文書では〝コメント〟として、「国の通知等に基づいて処理を行ってまいりましたが、このような結果となり残念です。今回の判決を厳粛に受けとめて再発防止に取り組んでまいりたい」としています。

言葉尻を取り上げるつもりはありませんが、神戸市は今回の事件を「国の通知等」の何に基づいて処理をしたというのでしょうか?

一般に、保護費の遡及変更は、不服申し立ての可能な期間が60日とされていることなどから、発見月およびその前日までの2カ月間とされています。しかし、福祉事務所の過失などにより保護費が過少に支給された場合は、一定の要件が整えば2カ月を超えて遡及されうることを、1990(平成2)年3月の全国保護係長会議で確認し、厚生労働省も追認しています。

したがって、今回の事件は、神戸市が「国の通知等に基づかず処理をした」と言えます。そのため、する必要もない裁判をすることになったのです。

しかも、神戸市は裁判の結果を「残念」としています。「残念」と言うのは、いまだ自らのあやまりを認めていない、ということではないでしょうか。自らのあやまりを認めず、どうして再発防止に取り組むというのでしょうか。(続く


(2015年4月26日付「兵庫民報」掲載)



支援する会、神戸北生活と健康を守る会、兵庫県生活と健康を守る会連合会
生活保護・神戸過少支給国家賠償請求裁判の勝利を祝う会/28日(火)13時30分/兵庫県中央労働センター1階小ホール/第1部:裁判勝利報告、第2部:レセプション/会費1000円/☎078‐592‐1751(北生健会)、078‐341‐6088(生健会県連)


編注:この事件の概要については本紙3月8日付記事などもご参照ください。

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