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2015年1月25日日曜日

観感楽学

新憲法下の「戦後70年」を準備するために苦闘した人々がいた。「あの先生は戦前京大の反戦運動で特高に逮捕された」と1950年代の豊岡高校生が畏怖する教師がいた。しかし近代史はまともに教えられなかった生徒たちには、15年戦争期の学生運動は秘史のままだった▼その人故高田三良氏(旧姓・川合)は、1929年に4・16事件で京大生10人が起訴された年に京大入学、1933年滝川事件の直前に卒業している。氏は1931年治安維持法違反8・26事件で検挙された京大生95人の1人だった。学生たちの反戦運動、社会科学研究、日本共産党再建への連帯などが弾圧された▼氏は放校処分を免れたが、生涯これでよしとせず多くを語らなかった。兵役は3度課され、華北の「敵弾」で負傷し、敗戦時は台北近郊の洞窟陣地堀りで徴用現地民や兵には甘い班長だった。敗戦その日を戦後、氏は短編『最初の朝』に描いている。氏は岡山の六高以来の文学の子だった▼安倍政権の米軍加担・解釈改憲などの策動は『15年戦争期の京大学生運動』(岩井忠熊著)を含む不屈の闘争を引き継ぎ、断固たる国民運動の100年を生み出さずにはおかない。 (A)

(2015年1月25日付「兵庫民報」掲載)

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