Web版の発行はしばらく休止します

「兵庫民報」編集部は2012年11月から専任1人で続けてきましたが、その1人も2020年末で退職し、2021年1月からは嘱託となりました。編集業務の整理のため、「兵庫民報Web版」はしばらく休止いたします。それにともないTwitterへの転送も休止します。 紙版の通常号のご購読をお願いします。

2014年10月12日日曜日

約60カ所いっせい:安倍内閣暴走ストップ!

元町駅前では弁護士9条の会が訴え

「集団的自衛権行使に関する閣議決定に反対し、安倍内閣の暴走を阻止する全県街頭宣伝活動」が、10月6日午後6時ごろから県内各地の主要ターミナルなど約60カ所でいっせいにとりくまれました。

この行動にとりくんだのは、9条の心ネット、兵庫県憲法会議、憲法・兵庫会議、平和憲法を守る兵庫県連絡会、平和憲法を広げる兵庫県民会議、憲法改悪ストップ兵庫県共同センター。集団的自衛権行使の問題点をわかりやすく解説する共同でつくった青地のカラーリーフレットを配布しながら、「安倍内閣の暴走を止めましょう」と市民に呼びかけました。

横断幕を掲げて姫路駅前で
神戸駅南では強風のなか署名も
加古川ではデモも
西神中央駅では20人
神戸駅北側では民商の人たちが
三宮駅北では津川議長をはじめ兵庫労連のメンバーが
三宮デコボコ広場では青年たちがシール投票
日本共産党も松田県委員長らが宣伝

台風後の強風の中でしたが、「安倍さんを辞めさせるように頑張ってください!」というエールも市民から寄せられ、参加者も「これだけの人数が揃うのは、選挙の時でもなかなかない。ビラの受け取りもよく、情勢の変化を実感した」などの感想を語っています。

(2014年10月12日付「兵庫民報」掲載)

党県議団が丹波市で災害現地調査

日本共産党県議団と丹波市議団は9月28日、ねりき恵子団長と西本嘉宏市議団長(地区委員長)らが、丹波市豪雨災害の被災地を訪問し、復旧状況を調査するとともに、地域の自治会長や住民から復旧と生活再建への要望を聞き取りました。 


同市市島町では、美和川、前山(徳尾)川、市の貝川それぞれに沿った3つの地区で被害の大きかったところを訪問。人家周辺は、土砂の撤去が急ピッチですすめられていますが、大量に流出したため、仮置き場はどこも小山ができたような状態です。

災害の傷あとはいまも生なましく、崩れて岩や土がむき出しになった山すそには、山に残されていた間伐材や立木とみられる木材が大量にまじっており、外側から大きくえぐられたある堤防にも流木がたまっています。農地は全面が土砂で埋まり、土砂の仮置き場になった状態の農地も。田畑に戻すには、かなりの時間がかかりそうです。

多数の家屋が土砂崩れでつぶされた地区で話を聞くと、被災者生活再建支援法の適用になったこと、自治体の上乗せ、災害救助法の応急修理の活用、義捐金の配分などにより、再建の見込みが立った人も。しかし、住めるようになるにはまだまだで、集落に戻らない人もいるのではないかと心配されています。

中小業者の営業再建も前途多難です。ある被災企業は「10年前にも浸水したが、今回はさらにひどく、損害は1億円を超えると思う。事務所は移転して営業、倉庫は床を高くしてやりかえないといけない。川の改修をお願いしたい」。いまも休業中で、片づけを続けている飲食店では、「1点100万円単位の設備がすべてやられ、1,000万円は超える。食洗機、冷蔵庫は壊れてしまったが、リース料を払い続けている。経営の見込みがたたず、支援も融資なので、使えない」と訴えられました。

2地区を視察した春日町では、「砂防えん堤設置を要求しているが、話が進んでいない。2方向からの土石流危険箇所が重なる地域なので早く設置をしてほしい。復旧も予防も力を入れてほしい」「里道が崩れて水路も土砂で埋まっている。復旧には地元負担が6割あり、支援してほしい」「黒井川の改修が、遅々として進まない。この際、川幅拡張など、抜本的にやってほしい」「小学校が避難所になっているのに、浸水した。避難所が浸水では困る」など復旧と防災についての切実な要望も寄せられました。

丹波市では、広島市の土砂災害と同程度の50万立法メートルの土砂が流出し、復興にはまだまだ支援が必要です。県議団、丹波市議団では、寄せられた要望を踏まえて、ひきつづき復旧、復興支援策の拡充を国、県、市に求めていくことにしています。

(2014年10月12日付「兵庫民報」掲載)

県議会でいそみ恵子議員が一般質問

兵庫県議会で9月30日、日本共産党のいそみ恵子県議が一般質問を行いました。

集団的自衛権の行使容認に反対を


いそみ県議は、集団的自衛権の行使容認「閣議決定」について、「立憲主義を否定するもので、解釈で憲法を壊すなの1点での声が広がっている」と指摘し、国に撤回を求めるべきと迫りました。

また、県と阪神7市1町の合同防災訓練(8月31日)への米軍の参加要請を批判し、10月に和歌山で行われる関西広域連合の防災訓練への米軍オスプレイ参加中止を求めました。

原発再稼働


吉田調書や福井地裁の再稼働差し止め判決や福島地裁の避難者補償判決などを受けて、県民の命や財産を守る立場で再稼働の中止を働きかけるべきと知事に迫りました。

UR借上継続入居を


いそみ県議は、阪神淡路大震災20周年で教訓を発信するとしながら、UR借上県営住宅から被災者に退去を迫る県の対応を批判し、希望する入居者の継続入居を求めました。


子ども・子育て新制度


事業者や市民から不安の声があがっている「子ども・子育て支援新制度」について、いそみ県議は、実施延期と財源確保、保育の質に格差を生じないよう職員配置や運営費の県独自支援の増額などを求め、県当局に「県単独制度は、国の動向を見て、必要に応じて検討する」と約束させました。

国保広域化


国の責任、国庫負担の引き上げを棚上げし、財政運営の担い手を都道府県にする国の広域化方針について、「市町が独自に行ってきた減免や一般会計繰り入れがなくなり、保険料値上げ、払えない人がいっそう増える」と批判し、広域化への反対を貫くことを求めました。

名神湾岸連絡線


阪神高速や国道43号線の渋滞解消を理由に西宮市で計画中の名神高速と湾岸線の間2キロをつなぐ「名神湾岸連絡線」は、県の調査で、六甲アイランドから西に計画中の大阪湾岸道路西伸部(6~7千億円)を整備しないと渋滞解消の効果が低いことがはっきりしながら、住民むけにはそのことを全く説明していないことを批判し、計画中止を求めました。

井戸敏三知事の答弁

▽集団的自衛権行使容認「外交・防衛は国の対応で、国民の間で様々な意見があることは承知しています。主権者たる国民に丁寧な説明を行い、関連法制の整備は、国会での慎重な審議、国民の納得を得られることを期待している」

▽防災訓練への米軍参加「南海トラフ巨大地震は、死者最大最32万人、220兆円の被害が予測され、東日本を超える国難とも言える。国内外からの幅広い応援が不可欠。トモダチ作戦などで実績のある米軍は外すことのできない選択肢。今回の防災訓練で、自衛隊との連携で、有意義で成果があった。10月19日の近畿府県合同防災訓練でも今回以上の成果を」

▽原発再稼働「国は原発を重要ベースロード電源に位置付け。再稼働はあくまでも安全性の確保、原子力規制委員会の厳格な審査を経て確認。再稼働の判断は第一義的には国によるもの」


(2014年10月12日付「兵庫民報」掲載)

党尼崎地区委員会が憲法そもそも学習会


日本共産党尼崎地区委員会は「憲法そもそも学習会」を9月23日、小田地区公民館で開催し、80人の参加がありました。

広瀬幸夫日本共産党尼崎地区委員長の挨拶のあと、和田進神戸大学名誉教授が講演しました。

和田氏は、「日本国憲法の本質を理解するために、『前文』を学ぶ」「日本国憲法が誕生した経過、『アメリカ押し付け論』について」「日本だけでなく世界で、日本国憲法が果たしている役割」などを、資料に基づいて話し、質疑応答も行われました。

講演をうけて「特定秘密保護法阻止」「集団的自衛権の行使容認反対」などの行動を大いに展開して、『戦争する国にさせない』決意を確認して集会を終えました。

(2014年10月12日付「兵庫民報」掲載)

8議席以上の日本共産党県議団へ:こんどう秀子さん

今度は「こんどう」:神戸市灘区(定数2)


島田元県議と宣伝する、こんどうさん

灘区のこんどう秀子です。安倍政権の毒矢から県民を守る盾となる日本共産党の県議会議席奪還に全力でがんばります。

私は灘区で生まれ、西灘小学校、原田中学校を卒業しました。障がいを持つ両親に育てられ、今は働きながら両親の介護と相談活動に奔走しています。

19年前の阪神・淡路大震災で新築マンションが全壊し、生活が一変しました。再建したものの2重ローンが苦しく、結局、家を売却して、働きながら子育てに歯をくいしばり、がんばってきました。その中で日本共産党に出会い、その一員となりました。

来年は震災から20年を迎えようとしていますが、暮らしは少しも楽にならず、庶民には冷たい政治が続いています。私は、ひとり親家庭、障がいを持つ家族の苦労や悩みなど、自分自身の経験をいかし、弱い人の立場にたって、1人ひとりを大切にする県政を実現するまでがんばります。

今の安倍政権は国民の人権を保障する日本国憲法を破壊し、国民のいのちを守るどころか犠牲ばかり押し付けています。

低賃金で働かされ、職場を掛け持ちする非正規の人たち。子どもの医療費が家計を圧迫し、少しぐらいの熱ならがまんさせる若い世帯。年金が減り、消費税が上がり、財布の中身と相談しながら買い物をする高齢者の方。介護の対象から外され、保険料だけ払って介護を受けられない方。――この実態を見て見ぬふりの政治は早く終わりにしないと、災いは増すばかりです。

来年4月のいっせい地方選挙は、戦争をする国づくり・消費税増税の勢力にNOの声を突きつけ、安倍政権を倒す絶好のチャンスです。

国言いなりの井戸県政、それを自民党はじめ「オール与党」の県議会が支えています。住民に寄り添い、住民の立場にたった県政を実現するには、島田鎮郎さんが得ていた灘区の日本共産党議席を奪還しなければなりません。

「女性の力で政治を変えたい」という思いで、定数2の灘区で議席を必ず勝ち取るために、「こんどは『こんどう』」―わたし・こんどう秀子は何が何でもがんばりぬく決意です。




(2014年10月12日付「兵庫民報」掲載)

借り上げ住宅継続入居を:いそみ県議、請願採択主張

国交省も「期限明示なしは不適当」


借り上げ県営住宅の入居者や自治会が継続入居を求めた県議会請願3件が10月2日、建設常任委員会で審査され、日本共産党の、いそみ恵子県議が採択を主張しました。

「入居許可証に借り上げ期限の明記のない世帯の継続入居を求める」請願について、20年の契約終了後の入居者退去は当然とする県の説明に、いそみ県議は、入居許可証のコピーも示して「借り上げ期間が書いていない」「説明も受けていない」と請願者の主張を紹介。国土交通省の逐条解説では、入居者に事前に通知すべき内容として「借上げ期間の満了時期、借上げ期間の満了時に当該公営住宅を明け渡さなければならないことの2つの事項が含まれる。具体的な時期を示していない通知は、入居者に退去時期を予測させることができないため不適当である」と指摘していると紹介。「民間なら重要事項説明違反だ。行政は法や条例にもとづき仕事をすべきであり、逐条解説で不適当とされるような対応でよいのか」と指摘し、20年で退去とする県の対応をきびしく批判しました。

「非常時でできず」と県は苦しい弁明


県の住宅管理課長は「逐条解説は理解しているが、当時、非常事態の混乱でそれができなかった」と弁明しました。

いそみ県議は、「継続入居を求める請願は当然である」と採択を強く主張しました。

「フレール長田大道」「フレール長田大丸町」の両自治会などから提出された「借り上げ住宅を買い取ることを求める」請願2件について、いそみ県議は、入居当初ではなくその後の県の「行革プラン」によって退去の方針を決めたのではないか、とただすとともに、県として、具体的な金額も示してURと協議するよう求め、請願の採択を主張しました。

3つの請願は、日本共産党以外の議員の反対で、委員会では不採択になりましたが、傍聴していた入居者は「よくがんばって、私たちの声を言ってくれた。県の態度は許せない。さらに頑張ろう」などと話しました。


(2014年10月12日付「兵庫民報」掲載)

復興住宅弁護団が意見書〝民間借り上げの入居継続へ神戸市は所有者と契約更新を〟

阪神・淡路大震災の被災者向け「借り上げ復興住宅」の入居者が、20年間での退去を求められている問題で、県内の弁護士らでつくる「借上復興住宅弁護団」はこのほど、民間オーナーが返還を求める団地であっても、神戸市が入居者に明け渡しを求めることは違法であり、継続入居できる措置をとるよう求めた意見書を提出しました。

同弁護団の佐伯雄三弁護団長らが10月1日、神戸市内で記者会見。民間借り上げ住宅に住む友光登美子さん(71)も同席しました。

神戸市は、85歳以上の高齢者など一部入居者の継続入居を認める方針を明らかにしていますが、民間オーナーが20年で返還を求めているとして、継続入居の資格要件のある入居者を含めて、11団地の109世帯にことし8月、他の市営住宅などへの住み替えの検討を求める文書を送付しています。

意見書では、神戸市が、恒久住宅を提供する方針で、借り上げ住宅への入居をすすめていたため、20年での明け渡しの事前通知をおこたっていたと指摘。公営住宅法に基づく事前通知手続きをおこたっている以上、建物所有者が返還を求める借り上げ住宅であっても、神戸市が入居者に明け渡しを求めることは違法であり、継続入居できるよう、契約更新に向け、所有者と真摯に交渉するなどの措置を講じるよう求めています。

友光さんは「住民は地域とのコミュニティを切られることが死ぬほどつらく悲しいことです。私たちは日々、不安とたたかっています。不安のない人生を過ごさせてほしい」と訴えました。

同弁護団は今後、借り上げ住宅の入居者連絡会とともに、入居者相談会を開きます。

▽10月18日午後2時、西宮市シティハイツ
▽19日午前10時、神戸市兵庫区キャナルタウン
▽26日午後2時、神戸市東灘区シティコート住吉本町。

(2014年10月12日付「兵庫民報」掲載)

HAT神戸・灘の浜借り上げ住宅で相談会

佐伯・借上住宅弁護団長も参加


相談会に出席した(右から)佐伯、味口、こんどうの各氏

神戸市灘区の「灘の浜借上げ住宅連絡会」は10月5日、HAT10番館で「何でも相談会」を開きました。これには借上復興住宅弁護団の佐伯雄三団長、日本共産党の味口としゆき市議、こんどう秀子・くらし相談室長も出席。入居者ら約20人が参加しました。

味口市議は、兵庫県や神戸市の対応について、入居者と連携した運動によって年齢や障害など継続入居の条件を広げさせるなど一定の前進を勝ち取っていることなどを報告。希望者全員継続入居の実現へさらにたたかいを広げようと訴えました。

佐伯弁護士は、自由法曹団として「20年での退去は法的に許されない」という主旨の意見書を3回、提出し、弁護団を結成したことを紹介。入居者の運動と世論、議会内でのたたかいと力を合わせて勝利しようと報告しました。

参加者からは、〝県は県営住宅の「しおり」で借り上げ住宅の説明をしているというが、入居契約書には借り上げ住宅とも書いていない〟〝期限のところは「※」印が入っている〟〝追い出すには1人ひとり裁判にかけてくるのか〟などの意見や質問も。

質問には、佐伯弁護士が、丁寧に説明をしました。参加者は、「弁護士さんの話が聞けてよかった」「新しい人が参加してくれてよかった」などの声がだされました。


(2014年10月12日付「兵庫民報」掲載)

加東市議選:こせき健二氏が全力

加東市議選(定数16)は10月19日告示。日本共産党の新人・こせき健二氏(32)が党議席の回復を目指します。

こせき氏は、市民の声をよく聞き、若さと行動力で、願いを市政にとどけたい、「楽しく子育てできる加東市を」と、▽若者が安心して働き定住できる街に▽国保税引き下げ▽旧東条町・滝野町に市役所窓口設置▽子育ての経済的負担軽減▽住宅リフォーム助成制度▽全地域にコミュニティバス運行▽農業振興・鳥獣被害対策などの政策を掲げるとともに、安倍暴走政治と対決、加東市から悪政ストップへ力を尽くす決意を訴えています。

(2014年10月12日付「兵庫民報」掲載)

「八鹿高校事件」40年・「養父不当捜査事件」2年のつどい

あらためて問う、人権と民主主義の大切さ、人間の尊厳守りたたかう意義



「八鹿高校事件から40年、養父不当捜査事件2年――いま、あらためて真実を問うつどい」が10月4日、神戸市中央区の生田文化会館で開かれ150人以上が参加しました。

養父市(旧八鹿町)での2つの事件がなぜ起こされ、国、県、警察、マスコミの対応はどうだったのかを明らかにし、人権と民主主義の大切さ、人間の尊厳を守ってたたかうことの意義を広げようと、兵庫労連、兵高教組、兵庫教組、兵庫人権連、兵庫人権問題研究所、国民救援会県本部が呼びかけたものです。

集会では、当時、但馬地方一帯が「解放同盟」による利権、教育支配、暴力が横行する中、1974年に発生した「八鹿高校事件」を記録した映画の抜粋が上映され、被害者の1人であった元教師・田畑英毅氏が、事件の経緯を報告。特に、「暴力反対、先生を返せ」と整然と組織的に行動した生徒たちが教師や地域住民を大きく励ましたこと、その背景に、民主的な学校運営とそれにもとづく教育があったことを強調しました。

2012年10月の養父市長選挙での「公職選挙法違反」を口実に、八鹿高校事件の被害者だった元教師らに対し、違法・人権侵害の捜査が現在も続いている「養父不当捜査事件」についても当事者の訴えと、対策会議の濱嶋隆昌氏からの経過報告があり、警察は捜査をただちに中止するよう求める決議も採択されました。


つどいで一部が上映された映画『八鹿高校事件』DVDは、頒価1,000円で兵庫人権問題研究所が普及しています。また、「40年記念誌」も11月上旬発行予定です。問い合わせ☎078・351・3,600。

現地での「『八鹿高校事件』40周年記念集会」は、11月24日(月)午後2時から、県立「但馬長寿の里」(養父市八鹿町国木)で開催されます。また交流レセプションも同日午後5時30分から同会場で行われます。

(2014年10月12日付「兵庫民報」掲載)

「あさぎ」10月詠草:姫路年金者組合

足摺の天狗鼻から燈台へ滑る腐葉土踏みしめ歩く
米軍の本土上陸防衛のトーチカ覆う土手の夏草
衣川有賀子

青青と広がる空の16夜は逝きし妹への思いを溶かす
朝晩は秋の空気に入れかわり夏ばての身の良くなるきざし
藤原信子

塀の上長くねそべる白猫の声細々と大あくびする
白猫が飛びおりる真昼間に何に怯えしや一声あげる
江藤雅江

明日手術執刀医麻酔医の説明に患者の娘より私が不安
ありし日に夫の伏せたる病棟の窓辺のベッドに娘は横たわる
常田洋子

4度目の年金者合同歌集刷る幸なるかな夏ばてもせず
パソコンとにらめっこして表紙画の色の調整微妙に動かす
田渕茂美


(2014年10月12日付「兵庫民報」掲載)

文学座『女の一生』:神戸演劇鑑賞会10月例会

旅順陥落の提灯行列で賑わっていた、明治38年(1905)の正月。貿易で財をなした堤家にひとりの孤児が迷い込んできた。名を布引けいといい、女主人しずや家族の人たちは、けいの生い立ちに同情し、堤家の一員とした。

堤家は清国との貿易を家業にしているが、しずは跡取り問題で悩んでいた。長男の伸太郎は学究肌で商売には向いていなかった。そこで、闊達なけいの気性を見込んだしずは伸太郎の嫁にけいを決め、堤家の安泰を計った。

しかし、けいは次男の栄二に思いを寄せていた。堤家に拾われた恩義のため、栄二への思慕を抱いたまま、伸太郎との結婚を承諾した。けいの女の一生がここからはじまった。

明治、大正、昭和という時代を背負い、2つの大戦をくぐりぬけ、ひたすら家業の貿易の仕事に打ち込んだ。だが、けいの生き方は、周囲の人たちにすんなり受けとめられなかった。けいは自分自身につぶやく。「自分で選んだ道ですもの。間違いと知ったら間違いでないようにしなくちゃ」

昭和20年(1945)秋のある夜。爆撃ですべてを焼失した堤家の庭で、けいと栄二は再会する。年老いたふたりは、けいが迷いこんだあの庭で、静かにカドリールを踊る。月光が優しくふたりをつつんでいる。
小谷博子

文学座公演『女の二生』/作=森本薫、補訂・演出=戌井市郎による、演出補=鵜山仁、出演=平淑恵、大滝寛ほか/①10月24日(金)18時30分②25日(土)13時30分/神戸文化ホール中ホール/会員制(入会時に入会金1,000円と月会費2カ月前納)、月会費3,500円(大学生2,000円、中高生1,000円)/☎078・222・8651、Fax078・222・8653


(2014年10月12日付「兵庫民報」掲載)

「殺し、殺される国」を国民は望んでいない


段 重喜

(2014年10月12日付「兵庫民報」掲載)

観感楽学

過ごしやすい季節になりました。芸術の秋、スポーツの秋。我が家はもっぱら食欲の秋です▼食べる事は生活の基本ですが、賞味期限の偽造などの記事を見るたび、「またか」という気分にさせられます。作り手と売り手、消費者が遠くなってしまっていることも一因かもしれません▼神戸市では11月から33の中学校で先行的に給食が実施されます。神戸市が固執してきた「愛情弁当」論を乗り越えた、子育て中のママ・パパ、民主的な団体や日本共産党の運動の大きな成果です。同時に、せっかくはじめるのですから、生産者や調理する人たちの顔が見えるような給食にしたいものです。業者弁当では、どうしても食材や調理の過程などに不安を感じてしまいます。アレルギー対策もできないと聞いています▼食の問題がこれだけ大きな社会問題になっている今だからこそ、小学校と同じような自校調理の給食が望まれます。そのことが、学校での食育の前進にも、地域農業の発展にもつながります▼秋晴れの下、地元で採れた食材で、味覚の秋を存分に楽しみたいものです。(A)

(2014年10月12日付「兵庫民報」掲載)