三宮開発は大企業誘致ではなく、市場・商店街がよみがえるように
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金沢はるみ議員 |
日本共産党の金沢はるみ議員は9月26日の神戸市議会本会議質疑で、市が財界主導で進めようとしている三宮開発問題と、8月に起きた台風・豪雨災害への対応策などを取り上げました。
昨年度決算の黒字は、行革、福祉切り捨て、市民負担増から
2013年度の神戸市一般会計決算は26億2400万円の黒字となっています。黒字となった要因について金沢議員は「行財政改革による職員の削減、福祉の切り捨て、市民負担増によるものだ」と指摘。久元喜造市長就任後も職員削減、事業などの民営化・民間委託などを進めているもとでの黒字だと批判しました。
久元市長は、三宮開発を進める理由として「都市間競争に打ち勝つ」ことをあげ、神戸市のホームページでは「神戸進出をお考えの皆様へ」ということで、市長が「日本屈指のビジネス環境が神戸にあります」「国内外の元気な企業の集積と成長のサポートに積極的に取り組んでいきます」と書き、企業を呼び込むという姿勢です。開発地域では、開発事業者や外部からの企業に対して、税金面での優遇措置や減免制度・賃料補助などが適用されます。六甲アイランドから移転するP&Gジャパン1社に対して4億5000万円もの賃料補助を行うことが決まっていますが、規模的にも金額的にもこれまでの企業誘致や支援と比べても格段に大きいものです。
財界がつくった「神戸海港都市づくり研究会」が今年3月、「神戸都心エリアの進化を促すJR三宮駅周辺整備・活性化に向けた提言」を発表。市の「都心の未来の姿検討委員会」「三宮構想会議」という2つの審議会には、この「研究会」から3人が加わっており、財界主導が明らかです。JRや阪急の駅ビル再整備も企業まかせというのが実態です。
金沢議員はこうした点を指摘し「財界や企業中心で進められれば、周辺のテナントや商店街が大打撃を受けかねない。眺望・景観などへの影響も懸念される」と批判。「都市間競争」を口実に、大企業さえ誘致すれば神戸経済や三宮は元気になるのか、との疑問が出ていると提起。三宮周辺の商店街や市場の人たちからは「消費税が上がって値上げせざるを得ず、売り上げは落ちている。三宮を再開発すれば、ますますチェーン店などが多くなり地元がうるおうとは考えられない。」「駅前だけきれいになっても我々はどうかわからない。再開発の情報はほとんどない」との声が上がっていることを紹介しました。
金沢議員は「厳しい状況の下でも頑張っている地元の商店街などが生き生きとよみがえり、商売が続けられるような計画にするべきだ」と対応を求めるとともに、まず、エリア内の全事業者を対象にした悉皆調査の実施を求めました。
台風・豪雨災害被災者への支援強化を
今回の台風、豪雨では、神戸市北区でも大きな被害が出ました。堤防の決壊や溢水、土砂災害、土砂崩れによる道路の通行止め、土石流など、あちこちで被害が出ました。山田町上谷上字古々山では、谷筋から土石流が発生し、家の敷地まで土砂が流れ込み、自家用車や門、塀などに被害が出ています。道路が完全に塞がれ、一時住民が通行できない状況になりました。
金沢議員は「同様の災害は今後も起こる危険性があり、住民が不安な毎日を送っている」と指摘。
被害を受けた地域でも今後、対策が取られる見通しがあるところ、支援策が見つからなくて困っているところなど、状況は様々だとして「神戸市として住民の相談にのり、兵庫県や国とも連携して、今回の災害に対する支援策を打ち出すべきだ」と主張しました。
また、今回の被害について兵庫県が打ち出した支援策の拡充を求めるとともに、神戸市としての支援策を打ち出すよう求めました。さらに、土砂災害危険区域の総点検と対策を求めました。
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質問に対し、久元喜造市長らは「(三宮開発)都心再生は重要な課題だ。地元の代表も入っている。代表者を通じて地元意見の集約を図っている」「(災害)広島の災害は他人ごとではない。有識者の意見を聞きながら対策を強化する」「支援金制度は県で可決され次第、早く届けられるよう、最大限努力する」「民有地は基本的には土地所有者が行うのが基本だ」などと答えました。
三宮開発問題では、審議会には地元の組織から7人の代表が参加してるものの、商店街など多数の店の意見が反映できるのか疑問も出ています。金沢議員は「ここにどうした問題を抱えているのかを把握するためにも悉皆調査が必要だ」と重ねて要求しました。
災害対策では、全く対策が取られていないところもあり、民有地とはいえ個人の力ではどうにもならないのが現状。金沢議員は「神戸市として土地所有者すら把握できていないところがある」して調査を求めました。
また、土砂災害警戒区域については、災害対策基本法で警戒避難体制の整備が規定されていますが、未整備のままとなっています。今回の災害では、避難所までの道路が崩れて避難所に行けない人も出ています。金沢議員は「早急に計画を立てるとともに、避難場所についても検討すべきだ」と迫りました。
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同日は西ただす議員も子どもの医療費、借上げ住宅、集団的自衛権、原発問題などについて質疑しました。
(2014年10月5日付「兵庫民報」掲載)