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2014年7月20日日曜日

「マイクで訴えさせて」「何か手伝わせて」

集団的自衛権容認許せない―国民が動き、潮目の変化

JR兵庫駅前で訴える大かわら鈴子神戸市議と
前田みさ子県議予定候補(11日)

安倍政権の憲法を踏みにじる集団的自衛権行使容認の閣議決定強行(7月1日)に対し、県下各地で容認を許さない反対の行動や宣伝が、多彩に広がっています。

そのなかで、「ビラをものすごくとってくれる」、「署名やシール投票にどんどんこたえてくれる」など、議員・予定候補を先頭にした日本共産党や自覚的民主勢力の訴えに響きあい、「何かしなければ」と考える国民が増えていること――情勢の「潮目の変化」が実感されています。

7月2日にはJR加古川駅前の新婦人の宣伝で通りがかりの若者が自分にも訴えさせてほしいとマイクを握るなど、各地で「若者の反応がすごい」と報告されています。

他の地域でも、中年男性が「何か手伝わせてほしい」と宣伝終了後に声をかけてきた(東灘区)、「私、公明党やけど」と言いながら署名してくれる、自衛隊員の家族からも「戦争に行くのはこまる」と署名が寄せられた――など反応は各層に広がっています。

兵庫県憲法共同センターが8日に行った昼休みパレード(三宮花時計前から元町)には、弁護士、労働者、市民とともにベビーカーを押した母親が友人と参加し、途中で友人に「集団的自衛権反対せなあかんやん」と参加を呼びかけ一緒に歩きました。

JR住吉駅前で宣伝する
きだ結県議と松本のり子神戸市議(11日)

11日には日本共産党が全県いっせい宣伝。JR住吉駅前では、きだ結県議、松本のり子神戸市議が、閣議決定後すぐに高校生に自衛隊の勧誘が届いたことなどを紹介しながら、憲法を守らせようと訴えました。

それを聞いた女子高校生が「自分にも好きな人がいる、戦争に行かれるのはいや」と話しかけてくる一幕もありました。

各地の宣伝では、シールボードを見て「集団的自衛権って何」とたずねてきた人にも説明すると「戦争はあかん」と共感が寄せられます。どこでも対話が広がり、「前に赤旗をとっていたが転居してきた」という人から「しんぶん赤旗」の購読申し込みがあった例(神戸)も生まれています。

(2014年7月20日付「兵庫民報」掲載)

暴走をどうすれば食い止められるか:関学生たちが学習会


関西学院大学で集団的自衛権の学習会が7月7日に行われ、約50人の学生が参加しました。

関西学院大学法学部の長岡徹教授が講演し(写真下)、質疑応答では「安倍首相の暴走をぼくたち学生はどうすれば止められるのか」という直球の質問を皮切りに次々と手があがり――

「『国ってなんだ』と言われた時に、『それはおれたちだ!』と言えるかどうかが今大事だと思う。『政治興味ない』っていう人に対して『ダサッ!自分たちのことでしょ』と話すのが大事だと思う」

「集団的自衛権だけじゃなくて、TPPとか、秘密保護法とか、そういう問題もいっしょに考えないといけないと思う。まだ自分は賛成か反対か決めかねているけど、考えていきたい」

「自分は正直にいうと集団的自衛権は賛成。でも、解釈だけで変えるのは反対。国際社会での日本の立ち位置を変える、日本のあり方を変える大問題、やるなら国民投票で決めるべき」

――など安倍政権の暴走を批判する活発な討論になりました。

この学習会を主催したのは学生団体「クツヒモ」。5月3日に東京で行われた「特定秘密保護法に反対する学生有志の会」のデモに参加し、そこで出会ったメンバーが集まって「関学でも何かやろう」と相談して結成しました。

「クツヒモ」という名前は「右とか左とかそういう議論ではなくて、どうすればぼくたちは前に進むことができるのか、それを一緒に考えたい」という思いからつけたといいます。

学生たちは、今後も今の政治や社会を考えるための様々な取り組みをすすめようと相談しています。

(2014年7月20日付「兵庫民報」掲載)

高砂市議選8月31日告示、9月7日投票

現有2議席と議案提案権確保へ大塚、さかべ氏が全力


高砂市議選(定数1減の21)が8月31日告示、9月7日投票でたたかわれます。日本共産党は、現職の大塚よし子候補(59)と、新人の、さかべ勝彦候補(56)が、現有2議席と議案提案権の確保に全力をあげます。さかべ候補は、小松みきえ市議からのバトンタッチです。

党議員団は、市民と力をあわせ「暮らしを守り、福祉充実を」と奮闘。中学卒業までの医療費無料化、高砂中学校でのことし10月からの給食開始、介護保険料負担の軽減(負担区分拡充)などが実現しました。

大塚、さかべ両候補は、環境悪化につながる2市2町の「ごみ処理広域化計画」の白紙撤回、国保料・介護保険料の引き下げと減免制度の拡充、全中学校での給食の早期実現、住宅リフォーム助成制度の実現など、市民の切実な要求をかかげています。戦争する国づくりや消費税増税など、安倍政権の暴走への審判を、加古川につづき、高砂でも示そうと奮闘しています。
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大塚よし子(59)現

藤森看護専門学校卒。姫路医療生協看護部長・理事、ケアマネジャーなど。2006年、高砂市議初当選、現在、2期目。





さかべ勝彦(56)新

中筋小、松陽中、東洋大姫路高卒。センバツ(甲子園)大会に出場し、準決勝進出。大阪体育大学卒。高校教諭・野球部監督など。現在、党市政対策委員長。







(2014年7月20日付「兵庫民報」掲載)

姫路でも「関金行動」が100回

脱原発はりまアクションの「関金行動@姫路支店」が7月11日で100回目を迎えました。

午後5時30分、関西電力姫路支店前から始まり、JR姫路駅ビオレ前に移動して午後7時30分すぎまで、この日はたっぷり2時間超のアピールでした。

関西電力姫路支店前で約80人が行動

関西電力姫路支店前には福島から避難されている方、伊丹、西宮、神戸で脱原発の運動をされている方も迎えて約80人の参加で「停止している原発の再稼働をするな!」「すべての原発の廃炉を!」と歌で、詩でコールで関西電力姫路支店から仕事を終えて帰る方、国道を走る車の方に訴えました。姫路支店前行動の締めくくりは参加者全員のヒューマンチェーンでアピールをしました。

参加されたほとんどの方々が思いを込めた手作りのプラカード、ゼッケン、デコレーションをもって参加されていました。

高校生たちも立ち止まって参加(姫路駅前)

JR姫路駅前では通勤、通学帰りの方に脱原発を訴え、最後は恒例のかんしょ踊りから原発廃炉のコールで締めくくりました。

日本共産党の入江じろう・大脇和代両姫路市議、村原もりやす氏、白髪みどり氏らが参加し、入江市議が代表してアピールしました。
出田馨

(2014年7月20日付「兵庫民報」掲載)

県議会の政務活動費:求められるさらなる透明化

「日帰り出張195回」「大量切手購入」など不明朗な政務活動費の支出と号泣会見が大問題になっている野々村竜太郎県議(無所属、西宮市選出)は11日、県議会議長に辞表を提出。県議会はこれまでの調査結果をもとに、野々村氏を刑事告発しました。


日本共産党は、記者会見直後の2日、議長あてに「必要な調査と使途の透明性の確保」を申入れており、議長の「再調査」が行われました。

また、各会派代表者会議で、この問題への対応を協議した際、県民への説明を拒否しており、辞職は当然としたうえで、「臨時議会の開催や100条委員会の設置、全県議を招集した協議の場など県民に公開された場で、全容解明を含めた不正の徹底糾明をおこなうべきだ」と主張し、疑惑糾明のための刑事告発には賛同しました。

さらに、「議員辞職や刑事告発で終わりにしてはいけない。今後も、議会としての責任を果たすべきだ」と表明しました。

代表者会議ではまた、再発防止のため条例などの見直しの方向を検討する「政務活動費のあり方検討会(仮称)」の設置を決めました。


これまで、日本共産党兵庫県会議員団は、政務活動費(当時は政務調査費)について、独自に5回の条例提案(1回は共同提案)を行い、一貫して、原則公開、根拠資料である領収書の添付等による透明性の向上を求めてきました。

野々村氏は、「日帰り出張で、グリーン車両代金も含めて領収書なし」として、「日程と金額のみ」で、「訪問先」「目的」などの書き込みもない、異常な報告書を提出しつづけていました。

「原則1円からの添付」が実現したもとで、短距離の電車・バスなどの公共交通機関の自動販売機などの「領収書がなくても、支払証明書でよい」という例外規定を悪用した、これまでの透明性向上の取り組みに逆行する、きわめて悪質な不正・カラ出張疑惑がもたれています。


税金の支出である以上、当然、使途の厳格性と透明性が求められます。原則領収書添付はそのための大前提ですが、今回の不正疑惑をうけて、県議会としての自己点検が求められます。

県民からのさまざまな疑問の声にこたえるために、さらなる透明化、たとえば、問題になっている過去3年間を含めて、インターネット公開など、県民に情報がアクセスできやすくするための対策が求められるでしょう。




(2014年7月20日付「兵庫民報」掲載)

ブラックバイトから学生生活守ろう

「生活費を稼ぐために深夜のバイトをしている」「勝手にシフトを入れられて困る」「バイト先の商品を毎回買わされる」…学費や生活費を稼ぐためにバイトする学生にブラックな実態が広がっています。そんな中、日本共産党が6月に発表した「ブラックバイトから学生生活を守ろう」の提言と労働法がわかりやすく書かれたリーフが好評です。
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淡路地区委員会が南あわじ市にある吉備国際大学の門前でブラックバイトリーフを配布すると、次々学生が受け取っていきます。「朝6時までローソンでバイトをして、そのまま学校に来てる。バイトでも6時間連続で働いたら休憩がもらえるんですか?」とリーフを受け取って校舎に入ってからわざわざ質問しに戻ってくる学生や、「友達に渡すからください」と何枚かリーフを持っていく学生、「リーフを学校の中に置いてください」と学生から要請されるなど反響が広がっています。

大前まさひろ・神戸市議予定候補が毎週行っているポートアイランドでの学生向け宣伝でも、多くの学生が「ブラックバイトって自分のことや」と言いながらリーフを受け取っていきます。リーフを受け取った神戸女子大の教員は「ブラックバイトは深刻な問題。共産党を支持してるわけじゃないけど頑張ってほしい。ほかの教員にも渡します」とリーフを20枚ほど持ってかえりました。


阪急六甲駅前でも味口としゆき神戸市議がブラックバイトリーフを配ると神戸大や松蔭女子大の学生が次々と受け取っていきます(写真上)。
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県内の学生が中心になって結成した「学費Zero Pro Hyogo」が、高すぎる学費の無償化と給付制奨学金の創設、深刻なブラックバイトをなくそうと取り組んだ宣伝でも、授業帰りの学生が次々とリーフを受け取り、署名にも協力してくれています。

(2014年7月20日付「兵庫民報」掲載)

兵庫県借地借家人組合へ改組


「安くて住みよい公営住宅の大量建設の実現」「不当な地代家賃の値上げ反対」「固定資産税増税反対」「一方的な明け渡しに反対」などのスローガンのもとに借地借家人のくらしと権利を守る取り組みを展開する借地借家人組合。兵庫県内で唯一結成されていた尼崎借地借家人組合が改組し、「兵庫県借地借家人組合」として全県へ活動を広げることになりました。

7月12日に尼崎共同センターで開かれた同組合の第21回総会で改組が決まりました。

総会では田中祥晃組合長が、阪神・淡路大震災で尼崎では多くの借地借家人が被災し、その相談活動のなかから借地借家人組合が結成されたこと、一時は後退したものの、役員や相談の体制を強化し、相談をきっかけに加入した組合員が知り合いを誘うなど、「組合員が主人公」の運動が実り、組合員増が続いていることなどを報告。また、市外からの相談も増えていることから、全県組織へ改組し、県下の可能な自治体に支部体制を確立する方針を提案しました。

討論では、不当解雇と寮からの追い出しにあったMさん(19)が、尼崎労連と借地借家人組合の連携で解決、新たな職と住まいで再出発できたことなどが交流されました。

総会には日本共産党の田村いくお、まさき一子、徳田みのる各市議、庄本えつこ氏らが来賓として出席し、激励しました。

(2014年7月20日付「兵庫民報」掲載)

らいてうの先見性と思想を知る旅

――信州上田市の「らいてうの家」を訪ねて

ジェンダーを考える会 小谷恭子

館長の米田佐代子さん(中央)を囲む
ジェンダー研究会のメンバー

緑豊かなあずまや高原(長野県上田市)にある「らいてうの家」を訪れました。木造の山荘風の家で、多くの人の協力で2006年に建設されました。私たちは5月26日に「らいてうの家」を訪問し、館長の米田佐代子さんにも東京から出向いていただき、説明をしてもらいました。

平塚らいてうは1911(明治44)年、25歳の時、「元始、女性は太陽であった」と宣言し、「青鞜」を創刊しました。

今から100年前、明治時代の女性は、家父長制度のもとで、男性に従属し、無能力者扱いにされ、参政権もない存在でした。この状況を変えようと新しい女性の生き方をめざした動きをつくり出しました。「青鞜」は若い女性に関心を呼び、〝女が自分でものを考え、ものを言う〟「婦人問題誌」となって行きます。当時の社会からは「スキャンダラスな女」と非難されながらも、自らを主張し続けた、らいてうの決意と実行力に強い印象を受けました。

ぬくもりのある木の家に、パネル、遺品、書籍が展示され、「遠く歴史上の人」と思っていたらいてうさんの生活者としての人となりが偲ばれました。

米田さんは、らいてうが時代とともに変わっていった思想の背景について説明。「青鞜」時代は自己確立をめざした。「新婦人協会」時代は女性が社会改造を、とよびかけた。「消費組合」時代は、地域で生活の共同をめざした。大戦中は戦争に巻き込まれた時期のあったこと。そして、戦後は、憲法の女性の権利獲得はもとより、9条の「戦争放棄」を大歓迎し、1950年代より、精力的な活動にとりくんだことなど、生涯を通じ、らいてうのありのままを語られました。

また、1962年、新日本婦人の会結成時、代表委員となり、女性運動の発展をらいてうが力強く感じていたことも知ることができました。

さらに、日本国民が「戦争責任」をどう考えるのか――東アジアで平和をつくり出すためには?――くらしの問題が中心に据えられる社会にするためにジェンダーの視点が大切だと強調されました。これらの主張の中にらいてうの思想を受け継ぎ、広く知らせたいとの熱意がひしひしと伝わってきました。

あわただしい日常から離れ、静かな「らいてうの家」で米田さんのお話から、私たちが今をしっかり見て、何ができるのかを考える貴重な時間を過ごしました。スタッフの心温まるおもてなしに感謝し、「らいてうの家」を辞しました。
(寄稿)

(2014年7月20日付「兵庫民報」掲載)

ノーモアヒバクシャ近畿訴訟・傍聴記:7/11

「国は被爆者が死ぬのを待っているのか」
ゆがんだ原爆行政ただす判決を

祝 敎允

7月11日、大阪地裁第2民事部係属の「ノーモア・ヒバクシャ近畿訴訟」Aグループ(原告7人)と最終弁論と、Bグループ(原告3人)へ新たに加わる原告1人についての合併審理が行われました。

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はじめに、Aグループ原告のSさんが「5年半前、甲状腺機能低下症と白内障を申請したが、2年近く待たされ却下された。裁判を起こしてすでに3年以上がたった。途中で亡くなった人や、体が悪く法廷に出てこれない人もいる。裁判所は国の責任を認める判決を」と訴えました。

つづいて、5月に死去した原告Tさんの夫人同席のもと園田洋輔弁護士が「『国は被爆者が死ぬのを待っているのか』と原告は言い続けてきた。ゆがんだ原爆行政をただす判決を」と陳述。

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最後に豊島達也弁護士が最終意見陳述をしました。

豊島弁護士は、国は裁判所から6月末までに最終意見陳述を求められながら、期日に遅れて意見書を提出したが、その中身は判例の集積により、争点とする必要のないものだと指摘し、裁判所に意見書の却下を求めました。

さらに、火傷瘢はん痕こん(ケロイド)や狭心症を原因とする心筋梗塞などの多くの判決が下されているにもかかわらず、これらの「司法判断を公然と無視する国に賠償を求める」よう強く求めました。

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裁判所は、Aグループを結審し、来年1月30日に判決を言い渡すこと、Bグループは次回をことし9月26日に行うことを告げました。

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大阪弁護士会館で開かれた報告集会では、藤原精吾弁護団長が「被爆者は20万人を切り、国が責任をとらないまま多くの方が亡くなっている。悲劇を繰り返さないため、さらなるたたかいが強く求められている」と強調しました。

(県原水協事務局次長)

(2014年7月20日付「兵庫民報」掲載)

現代中国を知る学習会:日中友好協会東神戸、芦屋


日中友好協会芦屋支部と東神戸支部が共催で7月12日、芦屋市内で現代中国を知る学習講演会を開き、54人が参加しました。

講師は長崎大学名誉教授の井手啓二氏。中国経済、政治の研究者で2008年からは福建省福州大学の客員教授として中国でも教鞭をとっています。今回は「建国65周年の中国をどう見るか?」をテーマに講演しました。

井手氏は、習近平政権が汚職、腐敗の追及を本格的に行っていること、経済改革をはじめとした金融、財政改革にも乗り出していること、一人っ子政策の見直し、社会保障制度・医療制度の改革も課題としていることなど中国の現状を紹介。軍事大国化については、国民的な支持を背景にアメリカとの関係で一定程度強化されるのではないかと指摘しました。

さらに、一般市民の思いや動向についても日本では知りえないことをユーモアを交えて語りました。

日中友好協会の両支部では、引き続き中国事情を知る学習講演会を企画していきます。

(2014年7月20日付「兵庫民報」掲載)

ひなたぽっころりん(537)



(2014年7月20日付「兵庫民報」掲載)

鍵を開けたのは誰?


段 重喜

(2014年7月20日付「兵庫民報」掲載)

観感楽学

原爆症認定近畿訴訟で「原子爆弾による放射線被曝と健康影響に関する意見書」が提出された。「放射線による健康影響に関わる…学問を専門として、研究、臨床や教育に真摯に取り組んできた者」と自称する35人の連名▼裁判では放射線起因性の判断基準について「内部被曝の影響の地理的範囲及び線量評価方法の両方において過小評価の疑いがある」と国の主張が断罪された▼「意見書」は、「科学的知見」なるものを連発し、33回に及ぶ判決に対して、「科学的知見を超えて広い範囲で放射線起因性を認めることは、国民に大きな誤解をもたらす」と糾弾する。被爆による急性症状(下痢や出血、脱毛など)も「必ずしも被曝に特異的でない症状」と一蹴する▼裁判では被爆の影響は解明されつくされていないとの立場で、被爆者の被爆状況、被爆後の症状など被爆者に生じた事実を重視すべきことが強調された▼3月に勝訴したKさんは国の控訴後に亡くなった。控訴が大きな打撃になったに違いない。被爆者手帳所持者が20万人を割り込んだ(3月末)。被爆者には時間がない。被爆の実態に基づいて被爆者を救済することこそが国の責務ではないか。 (K)

(2014年7月20日付「兵庫民報」掲載)