Web版の発行はしばらく休止します

「兵庫民報」編集部は2012年11月から専任1人で続けてきましたが、その1人も2020年末で退職し、2021年1月からは嘱託となりました。編集業務の整理のため、「兵庫民報Web版」はしばらく休止いたします。それにともないTwitterへの転送も休止します。 紙版の通常号のご購読をお願いします。

2014年6月15日日曜日

地域の著名人が「赤旗」読者ニュースで次つぎ発言

日本共産党尼崎地区委員会の「「赤旗」読者ニュース」で地域の著名人が〝安倍政権の暴走に私も一言〟と次つぎ発言。その一部を紹介します。



憲法9条に守られ平和に暮らしてきた

立花九条の会代表・産婦人科医 土肥定さん

集団的自衛権とは、要するに自衛隊が同盟国のために海外で戦争が出来るようにすると言うことです。私は大正生まれですから戦争の過酷さをいやと言うほど知っています。私の兄は軍医としてフィリピンに出征、身心共にボロボロになって帰国、立ち直るのに半年かかりました。

終戦から今まで、憲法九条に守られて平和に暮らして来た有難さを、戦争を知らない今の政治家は知らんのでしょう。乱用にならないよう色々歯止めを設けるとか言っていますけれど、「蟻の一穴」、箍たがが緩むと拡大解釈でどうとでも都合の良いようにされますよ。

日本人は今後とも、「力は正義」「殴られる前に殴ってしまえ」と言う風に単純で乱暴な国にならないように、国民が政府を監視していく必要があります。


富国強兵をめざしている「アベノミクス」

マダムノンの会 大道秀子さん

原発や武器を輸出し、平和を破壊する行為を「経済活動」と呼んでいます。安倍政権のめざすものが、戦前の「ほしがりません勝つまでは」で国民をしばり大きな不幸を招いた時代を思い出させてなりません。

「積極的平和主義」―私が使いたい良いセリフです。その言葉を活かしたいのなら、彼は、今こそ平和憲法を守りなさい。

先日高校(定時制)の同窓会がありました。「九条のおばちゃん」と書いたタスキを作ってきた人がいて私にかけるんです。笑いながら、泣きながら過去を語り合いました。男性の多くが両親を大阪大空襲で亡くしているのがわかりました。町工場で真っ黒になって働き鉄工所の社長になった人。一人一人、いとしい人に思えてなりません。

人間愛を失った権力者を選ばないようあらためて心に誓いました。


戦争は基本的人権の破壊に

尼崎医療生協病院九条の会・医師 上山桂さん

今、日本の国のあり方が大きく変えられようとしている。その転換点に私たちは生きています。

憲法解釈を変えて、集団的自衛権を認める。まさに日本の若者の命を米国の戦争に差し出し、私たちの税金を米国の戦争に湯水のように使う。一歩、戦争が出来る国に踏み出せばそこには戦後六十九年間、平和憲法の下で私たちが享受してきた平和と自由はなくなってしまうでしょう。

私たちは、〝お金のあるなしで命の差別はしないこと〟を掲げて医療活動を行っています。

尼崎には高額な健康保険料を払えない人がたくさんいます。私たちの医療機関で行っている無料低額診療制度を利用する人も年々増えています。

健康を害し本当に困った時こそ、誰もが安心して医療を受けられるようにと、今までの医療改悪に反対の声をあげてきました。

ひとたび戦争が出来る国になれば、人間の命は軽んじられ、社会保障はどんどん削られ、弱者が切り捨てられていくのは自明です。

憲法二十五条で保障された生存権と憲法九条に裏打ちされた平和が何よりも国民の生活を保障するものです。

私たち「病院九条の会」は、戦争ができる国に変えてしまう「集団的自衛権行使」容認に、断固反対します。
(2014年6月15日付「兵庫民報」掲載)

2015年いっせい地方選挙候補者紹介

来年二〇一五年いっせい地方選挙の候補者のうち、この間に発表された方々を紹介します。今回は、神戸西地区委員会が発表した須磨区、垂水区の神戸市議候補第一次分です。(敬称略)

須磨区(定数八)

山本じゅんじ(47)=現二期=

党神戸西地区常任委員。鳥取大学卒。㈱大真空、セイコー化成㈱勤務を経て一九九六年党専従。

垂水区(定数十)

赤田かつのり(46)=現二期=

党神戸西地区常任委員。大阪教育大学大学院修士課程修了、同大付属高校非常勤講師・学習塾講師などを経て現職。









(2014年6月15日付「兵庫民報」掲載)

若者憲法集会に向け宣伝


日本民主青年同盟尼崎地区委員会は六月六日、辻おさむ尼崎市議とJR尼崎駅前で、六月二十二日、東京で開催される「若者憲法集会」に向けた宣伝を行いました。

集団的自衛権のシール投票では、十人中九人が「反対」。一人は「わからない」でした。

「反対」にはった学生に聞くと「ぼくは、やっぱり戦争なんてしてほしくないから、なんとなく戦争するイメージの集団的自衛権はよくない」ときっぱりと話し、「憲法メッセージ」も書いてくれました。

野球部のマネージャーという女子高生もシール投票に協力。憲法カードには「憲法十三条の幸福追求権を侵害する戦争はしたくない」と書いてくれました。

平和を求め、集団的自衛権行使容認に違和感を覚える若者の姿が鮮明になりました。

(2014年6月15日付「兵庫民報」掲載)

「あったか垂水」が第二回総会

六月一日、「市民にあたたかい神戸をつくる垂水区の会」が第二回総会を開催しました。

市政報告をする赤田市議

「あったか神戸の会」からは津川知久共同代表が来賓として挨拶をし、ぬきなゆうな候補を先頭に神戸市長選挙をたたかって残した教訓を解明しました。また、赤田かつのり神戸市議が久元市政の特徴を報告しました。

各加盟団体からは、「こどもの医療費無料化を実現するために市議会に請願を提出します」(新婦人)「消費税増税により中小業者はいっそう苦境に立たされながら戦っています。住宅リフォーム助成制度の実現を要望していきます」(民商)などと、次々に決意表明がありました。

今後の運動方針として、「垂水区ローカルマニュフェスト」を充実させ、対区交渉などに取り組むとともに、街頭宣伝と署名行動にうって出ることなどを確認しました。

(2014年6月15日付「兵庫民報」掲載)

安倍暴走政治ストップ各地で様々なとりくみ

秘密保護法廃止を求める伊丹連絡会が大手前大学前とつかしん前で



伊丹革新懇の呼びかけで結成された「秘密保護法廃止を求める伊丹連絡会」が六月一日、大手前大学正門前とつかしん前で、「集団的自衛権行使」反対キャンペーンを行いました。二十人近くの方に参加していただき、十時から十二時まで、ビラ配り、パネル展示、シール投票、反対署名、ハンドマイクを使ってのリレートークなどを行いました。若者の関心も高く、色々質問をしてきたり、対話もはずみました。
(同革新懇のフェイスブック記事より)


秘密保護法強行採決から半年:姫路ピオレ前で



秘密保護法廃止を求め、JR姫路駅のピオレ前では毎月共同行動が行われていますが、六月六日は強行採決から半年目。同法廃止と憲法九条守れと日本共産党の入江次郎市議らも参加して訴えました。


立花駅前でポーケン師匠の集団的自衛権シール投票



尼崎地区委員会と川崎敏美尼崎市会議員、七松支部、立花東支部、尾浜支部は六月八日、十人が参加して立花駅前でポーケン師匠の集団的自衛権反対シール投票宣伝をおこないました。

百二人がシールをはり、反対が八十七人、わからないが十一人、賛成が四人となりました。

二十歳の男性は、「韓国みたいに軍隊になっていたら……いま日本で戦争に参加すると言われても、対応できない。ぼくに行けと言われてもイヤです」と反対に投票。

十代の女性は、「戦争なんかがあったら、身近な人も巻き込まれかねない。そんなのイヤです」と反対にはりました。

「まともに『そんなのやめろ』と言っているのは日本共産党しかありません」と訴えるとビラをうけとり、「そんなの反対にきまってるやん」と言って去っていく人や、「赤旗」日曜版の見本紙をもってかえる人もいました。
(2014年6月15日付「兵庫民報」掲載)

兵庫生存権裁判が地裁結審:判決は9月25日

兵庫生存権裁判が五月二十九日、兵庫地裁で結審しました。

高齢(原則として七十歳以上)の生活保護受給者に対して高齢のために必要となる特別の食料費・光熱費・被服費・保健衛生費等を支給する「老齢加算」を厚生労働省が二〇〇四年から〇六年にかけ段階的に廃止。ほぼ二割の支給減少となりました。これに対し、全国で「老齢加算」復活を求めて訴訟が起こされました。

今回結審したのは、神戸市と尼崎の九人が、神戸市、尼崎市を被告として〇七年五月に提訴した裁判です。

兵庫の裁判の過程では、最高裁判決で原告敗訴の判断の基礎とされた「貯蓄純増」の集計について、老齢加算だけでなくそれより金額の大きな障害者加算を含む、標本数が少ない、などその合理性・信頼性が乏しいことを明らかにしました。

二十九日の最終弁論では、今西雄介弁護士が、この問題を改めて指摘し、吉田維一弁護士が、原告らの生活実態を紹介し、「これまでのわが国の繁栄を支えてきた高齢者に〝健康で文化的な最低限度の生活〟を保障するのは憲法上当然」「国は、現役の世代に対しても、必ずその努力に報いることを宣言し続けなければならない」と強調し、裁判官に対し慎重な判断を求めました。

判決は言い渡しは九月二十五日、午後一時十分からの予定です。

生存権裁判を支援する会が県内キャラバン宣伝を開始(写真は7日、JR伊丹駅)

(2014年6月15日付「兵庫民報」掲載)

NHK地域スタッフは労働者・途中解約は不当解雇

神戸地裁で全受労委員長が全面勝訴


NHK地域スタッフが労働契約上の労働者であることと、未払い賃金の支払いをNHKに命じる判決が、六月五日、神戸地裁(工藤涼二裁判長)で下されました。

全日本放送受信料労働組合兵庫県協議会神戸支部の福島強司委員長(47)が、期間途中での契約解除は不当解雇だと訴えていたものです。

NHK地域スタッフは、視聴者宅を個別に訪問し、公共放送の役割を説明、理解を求めて、受信契約を締結し、受信料を集金する仕事です。日々の業務は、NHKから貸与された携帯端末を通じて、管理され、月六回の報告日や中間連絡などで業務進捗状況が確認されています。

しかし、NHKは書面上「委託請負契約」を結んでいることを理由に、地域スタッフを「個人事業主」扱いし、「残業代ゼロ」「有給休暇なし」「成果による賃金支払い」「一方的な解約」などができるとし、社会保険料の使用者負担も逃れてきました。

判決は、NHKの強い指揮監督と地域スタッフの従属性、報酬の労働対価性を求め、労働基本法上の労働者として認めるのが相当であるとし、労働契約法上も労働者として認め、期間途中の解約は解雇であり、「やむを得ない」事由にあたらず無効だと判断しました。

全受労兵庫県協議会は翌六日、岡崎史典議長名で声明を発表し、「同じような個人請負で働かされている仲間の権利を守るもの」「NHKは控訴せず、真摯に受け止め、公共放送の目的である、健全な民主主義をはぐくむ、市民のための放送局となることを望む」とし、大阪地裁、中央労働委員会、東京都労働委員会でたたかわれている、地域スタッフの労働者性獲得へ、今後とも支援をと呼びかけています。

福島委員長の談話

裁判所が私たちの働き方の実態から「労働者」だと認め、解雇が無効だと判断してくれたのはうれしいことです。子育てや住宅ローンなどこれからまだまだ大変です。安倍内閣の労働法制改悪もやめさせ、安心して働けるようにしてほしいと思います。引き続きのご支援をお願いします。

(2014年6月15日付「兵庫民報」掲載)

JAL争議高裁不当判決:25日に神戸で報告・支援集会

日本航空(JAL)が二〇一〇年末に客室乗務員八十四人、パイロット(運航乗務員)八十一人を不当解雇したことに対し、解雇撤回・現職復帰を求めた裁判で、東京地裁は、六月三日に客室乗務員について、五日にパイロットについて、いずれも原告の控訴を棄却、解雇を認めた東京地裁判決を維持するという判決を出しました。

客室乗務員原告団・弁護団、運航乗務員原告団・弁護団は、「解雇の違法を裏付ける事実について会社は何一つ反論・反証できなかったにもかかわらず、判決はそれをことごとく無視し、「更生計画ありき、よって解雇有効」との論理で解雇を容認した」「事実と道理を無視した判決は断じて許されない」として、不当判決を乗り越え勝利までたたかいぬく決意を表明。あらためて各団体への支援を要請しています。

六月九日には客室乗務員原告団の西岡ひとみ事務局次長が日本共産党兵庫県委員会を訪れ、ひきつづく支援を訴えるとともに、「経済性」追求の会社の姿勢の危険性と航空の安全への思いも語り、JAL争議支援兵庫連絡会が二十五日に開く「判決報告・支援集会」(四面行事案内欄参照)成功への協力を要請しました。

日本共産党県委員会へ要請する原告団の西岡さん(左)


東京高裁判決報告・支援集会

25日(水)午後6時30分/神戸市勤労会館308号室/東京の弁護団からの報告、今後の支援について提起など/Tel. 078‐335‐3770(兵庫労連)


(2014年6月15日付「兵庫民報」掲載)

兵庫県母親大会―城崎に650人

第五十八回兵庫県母親大会・第四十五回但馬母親大会が六月八日、但馬の城崎温泉で開催され、県下全域から約六百五十人がつどいました。

午前中は四つの分科会と特別分科会・見学分科会、午後から全体会で記念講演と運動交流が行われました。

全体会では、オープニングの近大付属豊岡高校・中学琴部による琴の演奏のあと、フォトジャーナリストの郡山総一郎さんが「FUKUSHIMA×フクシマ×福島―知っていますか? この地と人々の「今」を」と題して記念講演しました。

郡山氏は、福島原発事故直後の二〇一一年四月から二〇一四年三月まで現地に入り、現地の人と暮らしとを撮り続けた作品を映しながら、原発事故の実態を告発しました。

運動交流では、新婦人川西支部が、「県下に広がる中学校給食実現の運動」を、年金者組合女性部が、「年金不服審査請求運動の到達とこれから」を、女性の会が「但馬のゴミ問題、特に竹野町のゴミ・汚泥処理施設反対運動の経過」を―それぞれ報告しました。

最後に大会アピールと「兵庫県の防災訓練への米軍参加に反対する」特別決議を採択しました。

(2014年6月15日付「兵庫民報」掲載)

姫路でも中学校卒業まで医療費無料化を


姫路市の「子どもの医療費無料化を求める会」(代表中野圭子・井神愛)は六月七日、花の北市民広場中ホールで決起集会を行いました。

砂場清生事務局長は「かかりつけの小児科医院に張り出してあった兵庫県下の子ども医療費の実施状況を示したポスター(兵庫県保険医協会作成)を目にし、多くの自治体が中学卒業まで医療費無料にしているのに姫路市は三歳未満児までの無料にとどまっていることに愕然した」「他府県から転入してきた友だちが、姫路市で子どもの医療費がいることにビックリしたと話題になり、姫路市に住んでいたら当たり前と思っていたことがそうでないと知った」「新婦人の親子リズムでも、子どもの病気で医療費が高くて病院に行くことをとまどうという声がだされる」「姫路市でも安心して子育てができるように〝せめて中学卒業まで医療費無料化を〟と署名活動をしようということになりました」と「会」結成の経緯と想いを語りました。

「会」では九月議会にむけた署名を一万筆を目標に取り組むことを確認。団体まわりをしたり保育所・幼稚園・小学校・中学校の保護者会やPTAの会長にあて署名用紙を発送する予定です。また街頭でも署名活動に取り組みます。

問い合わせは、新婦人姫路支部内「子どもの医療費無料化を求める会」まで。電話とFAX079・288・0168

(2014年6月15日付「兵庫民報」掲載)

ノーモアヒバクシャ近畿訴訟・傍聴記:5/29

確定判決も、被団協との合意も無視する国の不当な態度

副島圀義

大阪地裁、五月二十九日の法廷。昨年提訴した四人の方について原告側代理人が意見を述べました。

…国側の「反論」は、いずれも確定判決=司法判断で確立した考えを認めないものであり、およそ争点たりえない。

…国は、内部被曝や放射性降下物、残留放射能などの影響をあくまで認めようとしないが、爆心地から一定距離以上離れたところで被爆した人についての放射線症状などの事実を説明できない。

…麻生首相がその最後の時期、日本被団協と〝高齢化した被爆者がこれ以上裁判で争わなくてもよいように〟と結んだ合意を無視。三月と五月の判決に対して控訴までしている。

…国は、原爆被害だけを「優遇」することは国民の理解を得られない、という論法を持ち出している。それはすべての社会保障の切り捨てや福島原発事故の被害補償を狭く限定するための「論だて」である。

―など、厳しく批判し、裁判所が国の言い分を退けることを求めました。


公判後の報告集会に筆者は参加できませんでしたが、その内容を伺うと、国は、昨年末の「原爆症認定の新しい審査基準」に合わない判決には、すべて従わずに控訴する構えだそうです。

好戦的・反動的暴走を続け、「原子力ムラ」復権をめざす安倍内閣の姿勢からしても「ノーモアヒバクシャ訴訟の連続勝利の流れは確定」などと楽観視しているわけにはいかないな、と痛感させられます。

地裁でも高裁でもしっかりたたかっていくために、この紙面をお借りして、ご支援を訴える次第です。

(2014年6月15日付「兵庫民報」掲載)

平和と食の安全求め「9条たんぼ」田植え


新婦人兵庫県本部と兵庫農民連が「九条たんぼ」の田植えと産直交流会を五月三十日、丹波市氷上町で行いました。


「〝国民の食料と健康を守る〟活動のひとつとして、生産者と消費者がお互いに〝顔とくらしが見える〟活動を基本に」と両団体が取り組んでいる産直は、米、野菜に加え、豚・鶏肉、豆腐、牛乳など品目も増えてきました。


当日は、大型バスや自家用車で百人を超える消費者が訪れました。午前中に「九条たんぼ」の田植えやさつまいもの苗植え、牛乳工場見学、産直野菜を使った料理、木工などに分かれて交流。産直野菜の料理で昼食をとり、午後は地元の米生産者や、豚肉の産直を担当している神奈川農畜産物供給センターの話を聞きました。また各地の農民連や営農組合の出店する野菜や果物、山菜などの買い物を楽しみました。


*
参加者からは「産直は生産者を助け消費者も安心・安全。TPPに負けないぞ!」「牛乳工場の見学は貴重な体験だった」などの感想が寄せられています。

(2014年6月15日付「兵庫民報」掲載)

観感楽学

原爆症認定近畿訴訟で国は、五月九日判決の勝訴原告も控訴した。Kさん(伊丹市)は百人以上の被爆者の救護、看護に当り被爆。心筋梗塞で原爆症認定申請したが、国の認定基準の被爆距離、被曝線量などに合致しないと却下。申請から六年も経ち、原告は判決を待たずに死亡▼却下取消し判決を受けた夫人は、「主人が生きていたらどんなに喜んだろうか。国のやることは遅い。国の犠牲になってきたのに」と夫婦一緒に判決を聞けなかった悔しさを述べた。それを控訴で追い打ちとは▼残留放射線の「外部及び内部被曝での健康影響は重視する必要なし」が控訴理由だが、これまで三十三連勝をかさねた判決は「被爆者の被曝評価は、被爆状況、被爆後の行動、活動内容、被曝後に生じた症状等に照らし、内部被曝の可能性も含めて総合的に検討される必要がある」と国の原爆症認定却下処分の違法性を断罪▼この判決を認めるともっと幅広く、直面する福島第一原発事故被災者も含め、あらゆる放射線被害に影響する。国の控訴は、被爆者の身に生じた事実も、判決の集積も無視してでも、原発被害に影響が及ぶことを食いとめようとの不当な巻き返しでもある。(K)

(2014年6月15日付「兵庫民報」掲載)