学生・高校生の新入生歓迎企画「なんでもフェスタ」が四月十九日、神戸市中央区のコミスタこうべで開催され、三十五人が参加しました。
石川教授のメイン講演「大学でいかに学ぶか」
社会の中で、どう生きるのか、どう責任を果たす大人になるのか
メイン企画は、石川康宏神戸女学院大教授による「大学でいかに学ぶか」というテーマでの講演。石川氏は、スライドを使いながら①大学時代とはどういう時代か②学問の全体像と若い時代の生き方を考える上で格好の人物がマルクス③自民党の改憲案を示しながら、現代の政治を考える④日本の政治の根本問題⑤原発被災地ふくしまでは⑥学び方、学びの環境を整える―という内容で講演しました。
①大学時代について、「子どもから大人への最後の飛躍の時期」だとして、社会の中で、自らがどう生きるのか、どう責任を果たす大人になるのか、を探求する時代だと指摘しました。
②マルクスについては、革命家として現実社会と格闘しながら、社会の仕組みを解明、未来社会への展望を示してきた、その生き方から学問探求の姿勢、生き方への姿勢を学ぼうと強調しました。
③では日本社会を根幹からつくりかえようとする自民党の改憲草案が、いかに時代に逆行するものかを明らかにしたうえで、④で日本社会の矛盾の根幹に財界言いなり、アメリカ言いなりの自民党政治があることを解明しました。
⑤では、福島の現状が日本社会の矛盾の最大の表れとなっていると指摘し、石川ゼミでの取り組みを紹介しました。現地を訪問し、被災した状態のまま置き去りにされている現状を目の当りに声を失う学生の姿や、「復興とは国とのたたかいだ」という被災地の行政幹部の言葉などにふれ、「社会に発信することが大事だ」とゼミでの探究を書籍にまとめたことを紹介し、「ここに、大学での学びの大切な点があった」と⑥について語りました。
討論では、「子どもから大人への飛躍の時期という点をうけとめ、さまざまな学びと関わりの中で成長していきたい」「福島の話など、衝撃的だった。日本の政治についてもっと学び、周りに語っていきたい」「いい社会にするために、社会の仕組みを知ることが大事だとわかった。もっと学んでいきたい」など講演を積極的に受け止めた感想が相次ぎました。
福島ボランティアツアー説明会
目の前で聞くことが大切
五月三~六日の日程で行われる福島ボランティアツアーについて、昨年のボランティアツアーの様子や、今回のボランティアの内容が報告されました。
昨年、ボランティアツアーに参加した学生から仮設住宅の聞き取り調査やフィールドワークの様子が報告され、「フィールドワークで行った岬に『助けてあげられなくてごめんね』と書かれていたことが忘れられない」「行くまでは自分にできることあるのか、邪魔になるだけじゃないかと思っていたけど、仮設住宅のおばあちゃんが喜んでくれたり、現地の高校生が自分は放射能に体が侵されているから、結婚や妊娠ができるのかと泣いていた。目の前で聞くことが大切だと思う」と感想が語られました。
今回、ボランティア募集のチラシを見て参加した学生からは、「テレビで見ているのと自分で見て感じることは違うのかなと思い、今回のボランティアに参加しようと思った。報告を聞いて表面しか知らないんだと思ったので、しっかり学んできたい」とボランティアツアーへの意欲も語られました。
戦争体験聞きとりプロジェクト
自分たちが何をなすべきか考える
民青同盟西神戸地区・学園都市班は、太平洋戦争中に満州に日本軍兵士として送り出され、終戦後はソ連によりシベリアに抑留された経験をもつ佐野さんから戦争体験を聞き取るプロジェクトを三月に取り組み、分科会ではそれを紹介しながら感想交流しました。
佐野さんは初めに「過去に目を閉ざす者は、結局現在にも盲目となる。非人間的行為を心に刻もうとしないものは過去を繰り返す危険に陥る」「若い世代は、ナチス・ドイツの犯罪とは何の関係もありません。しかし若い人にも過去のことを記憶する責任はある。重要なのは私たちが二十世紀の歴史をきちんと伝え、若者たちが事実を知ることです」という、ヴァイツゼッカー独大統領(当時)の一九八五年の演説『荒れ野の四十年』を紹介し、自身の戦争体験や当時の様子を語りました。
参加者からは、「補給もなく戦争をすすめていった話を聞いて、人の命を大切にしない戦争はやっぱりめちゃくちゃ。安倍首相がすすめている集団的自衛権の解釈改憲は許してはいけない」「最初に紹介された『若い人にも過去のことを記憶する責任がある』という言葉が、戦争体験を聞いていくうちに理解できた。今も軍歌を覚えているという話を聞いて、思想から支配され深層心理からつかまれていくのがよくわかった」「いまの社会も秘密保護法や憲法改憲など国民が反対しているのに進められていく。自分たちが何をすべきなのか考えるのが大切」などの感想が語られました。
学費問題を考える分科会
「学費 Zero Pro Hyogo」結成!
学費問題を考える分科会では、世界から見ても異常な高学費で、世界のほとんどの国で実施されている給付制奨学金がないなど異常な日本の学費の実態を、学生が自分でつくった資料を使って紹介。さらに、宮本岳志衆議院議員の学費問題での国会質問を視聴し、参加者で交流しました。
「月十二万円の奨学金を借り、卒業までに六百万円近い借金を背負うことになる。奨学金はほとんど学費、生活費も夜中のバイトで稼がざるを得なくて、学業をおろそかにしてしまっている」「友だちが奨学金の説明会にほとんど行っていて、ほんとうに切実なんだなと感じている」「何のために大学に行くのかと関わる問題。教育の貧困をなんとかしたい」などの発言がありました。
最後に、「学費 Zero Pro Hyogo」立ち上げの宣言が行われ、「学費署名を七月末までに千人分集めよう」「八月には国会要請を行う」ことなどの行動提起を参加者で確認しました。
(2014年4月27日付「兵庫民報」掲載)