神戸市議会予算特別委員会の総括質疑が三月十三日に行われ、日本共産党の味口としゆき議員が、大企業誘致に偏重している経済対策、賃上げ対策、子どもの医療費助成問題などを取り上げました。
誘致企業に雇用確保義務付けを
久元喜造市長は企業誘致について本会議で「雇用拡大効果の大きな大企業を誘致することは大切」などと答えていますが、雇用拡大については企業の努力義務にとどめています。
味口議員は「固定資産税などを九割も免除するというなら、少なくともどれだけの雇用確保につなげるのか、明確に義務付けるべきだ」と追及しました。
答弁で玉田敏郎副市長は「用地面積によって設備投資補助もつけている。かなり大きな企業になるので、当然、雇用が出てくる。あえて人数は(条件として)つけていない」など、経済効果や雇用は、あくまで希望的見込みに過ぎないことを認めました。
また、進出企業への優遇措置は、最も多額になる場合、固定資産税・事業所税の減免八億七千三百万円、設備投資補助五億円、合計十三億円以上にもなることが明らかになりましたが、久元市長は「都市間競争」を理由にあくまで優遇措置は必要だと答えました。
これに対し、味口議員は、尼崎に進出したパナソニックが八年で工場を閉鎖し、そこで働いていた二百四十一人のうち、再就職先が決まったのは四十九人にすぎないこと、兵庫県が出した助成金の大半が戻ってこないという現状をあげ、「前車の轍を踏まないようにすべきだ」と迫りました。
最低賃金を下回る指定管理労働者の賃金是正を
久元市長は、市の非正規規職員の賃金を引き上げる方針を示し、民間企業の賃金引上げにつながれば、とも表明しています。
味口議員はそうした市長の意見には賛同するとしたうえで「それならば、市の指定管理者制度のもとで働いている労働者の給与も引き上げるよう、対応を」と求めました。
玉田副市長は「事業者が判断するもので、市として指定管理料の上乗せは困難」という態度に終始しました。
味口議員は、指定管理料が低く抑えられているもとで、給料を上げたくても上げられないという状況があると指摘。
さらに、最低賃金の七百六十一円への引き上げ後も、駐輪場労働者の時給が七百四十九円のままになっている実態を告発し、是正を求めました。
玉田副市長は、協定で労働関係法令を遵守することが義務付けられているとして「指摘された件は、早急に調査する」と答えました。
味口議員は、指定管理者制度が導入されている他のところでも、改正前の最低賃金のままにされていることがあることを指摘し、調査を求めました。
子ども医療費無料化の公約実現を
子どもの医療費助成について、保健福祉局審査で三木孝局長が「助成の拡充は医療機関の混雑、安易な受診につながる」と答弁したことについて、市長の見解をただしました。
久元市長は「そうした意見があることは承知している」とはぐらかしながら、「新年度で拡充した施策を検証しながら、次の段階に進めたい」と答えました。
味口議員は「市長の公約は無料化だ」として、公約を実現するよう迫りました。
このほか一般不妊治療費助成などトータルとしての子育て支援策も進めるよう求めました。
(2014年3月23日付「兵庫民報」掲載)