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2014年3月2日日曜日

憲法県政の会第10回定期総会

持続的な運動を



憲法が輝く兵庫県政をつくる会は二月十九日、神戸市内で第十回総会を開き、二十四団体から約六十人が参加しました。

総会では、六十三万票を獲得した昨夏の知事選挙の到達点を確信に、二〇一七年の知事選挙勝利にむけて持続的な運動をすすめていくことなどを確認しました。

代表幹事で神戸女学院大学教授の石川康宏さんが開会の挨拶をし、「憲法が輝く政治のあり方を具体的に語り、知恵をだしあい創造的運動を」と訴えました。来賓として兵庫県自治体問題研究所の岡田章宏理事長が挨拶しました。

事務局長の北川伸一さんが、昨年の県知事選挙をふりかえりながら、兵庫県民をめぐる国政・県政のたたかいとその道筋について報告。「第三次行革プラン」から県民の暮らしと福祉を守るたたかいを強調しました。県政を検証し、県政の実態と「会」の活動を広く県民に知らせる活動、県民の切実な要求を集めた政策づくり、組織と機能の強化と拡大などの運動方針を提案しました。

候補者としてたたかった代表幹事の田中耕太郎さんが特別報告。「〇九年、一三年の知事選を土台に知恵と力を総結集してたたかえば、県政の刷新は必ず実現できる。その確信を全体のものにして次は勝利しよう」と訴えました。

討論では、加入団体と地域の会の代表らが発言。「ブラック企業や平和問題など青年のなかで運動を広げたい」(民青同盟)、「県民犠牲に拍車をかける行革プランをおしもどすためにがんばる」(日本共産党県議団)、「平和を守り子どもの貧困をなくすためにも、次の選挙では必ず人にやさしい県政の実現を」(保険医協会)などと熱い訴えがつづきました。

最後に、代表幹事で弁護士の松山秀樹さんが役員を提案し、代表幹事で医師の武村義人さんが閉会挨拶をのべました。
(2014年3月2日付「兵庫民報」掲載)

党東灘・灘・中央地区と東灘区後援会が秘密保護法学習会


日本共産党東灘・灘・中央地区委員会と東灘区日本共産党後援会は、深草徹弁護士を講師に迎え、「秘密保護法学習会」を二月二十二日、東灘区民センターで開催しました。

深草氏は「特定秘密保護法廃止のために―問題点をえぐる五本のメス」と題して講演し――

①日本にはすでに機密情報漏洩を防ぐための法整備や情報保全のシステムが十分備わっている
②秘密保護法は、「国民の基本的人権を守るために権力者を縛る」という立憲主義に反する内容の法律である
③世界各国にある情報漏えいを規制する法律と比べて著しく不備がある
④表現の自由や知る権利を尊重する時代の流れに反している
⑤安倍政権が秘密保護法の成立にこだわったのは、国民の活動を制約する治安立法が自民党の悲願であったことと日米軍事同盟の強化が狙いだったという

――など、昨年、安倍自公政権が数の力で成立を強行した「秘密保護法」の問題点を、豊富な資料をもとに解説しました。

質疑応答では、「福島の原発事故に関連して、国会議員が資料提出を求めたら黒塗りの資料が出てくる。情報漏洩を問題にするが、むしろ必要な情報が国民に知らされないことが問題ではないか?」「国民の基本的人権を守るために権力者を縛る立憲主義と、この秘密保護法とは相容れないと思う」などの質問や意見が活発に出されました。

開会にあたり稲角守生地区委員長と松本のり子市議が挨拶しました。

(2014年3月2日付「兵庫民報」掲載)

神戸市予算案:大規模事業・企業誘致路線を継続

神戸市の二〇一四年度当初予算案は、久元喜造市長による初の予算案です。市長選で争点になった課題や論戦で明らかになった市民要求などがどう反映されるか、三宮開発なども含めた大型公共事業・開発路線に対する姿勢はどうかが注目されます。

住宅バリアフリー化助成制度を創設、保育所定員を1400人拡大


市民要求との関連でみると、神戸・市民要求を実現する会などによる粘り強い運動や、市民にあたたかい神戸をつくる会のぬきなさんが市長選で訴えた公約も一部反映された内容になっています。

子どもの医療費助成は、中学卒業までの外来の一部負担が「一日上限五百円」(一医療機関ごと)に拡充されました。

市内経済への波及効果の高い住宅リフォーム助成制度が「住宅のバリアフリー化助成制度」として施策化されました。

中学校給食は「デリバリー・ランチボックス方式」ですが、今年秋三十三校で先行実施、一五年度中に全校実施とされています。自校調理方式での実施を求める市民の運動が続いています。

保育所待機児童解消対策として保育所増設などで千四百人の定員増。ただし、うち四百五十人は駅前ビルなどを活用した小規模保育事業での対応となっており、子どもにとって最良の保育環境を保障するという点では問題も抱えています。

神鉄への「敬老パスと同程度の助成」―実施は15年度からの見込み

神戸電鉄での「シニア層などを対象とした新たな乗客増対策」は、市長が昨年末に表明した「敬老パスと同程度の支援」のことですが、一五年度実施へ今年度はシステムなどを検討。充実した制度へ市民が声をあげることが必要です。

LRT(次世代型路面電車システム)やBRT(専用のバスレーンを有する、もしくは運行車両に連節バスを用いる路線バス)については、採算性なども含めて実施の可能性を検討するとしています。

進出企業には大盤振舞―税の優遇や設備投資助成など


市民要求の一部を反映しているとはいえ、予算の本質は大型開発路線の継続。経済活性化・雇用対策でも企業誘致に重点を置いています。

税金等の優遇措置も拡充。支援対象もIT、ベンチャー、外国系企業などを優先しています。固定資産税の「二分の一軽減、三年間」を「九割軽減、五年間」、大規模特例では「九割軽減十年間」としています。設備投資への助成も「投資額の三%以内・上限五億円」など大盤振る舞いです。

こうした企業誘致で雇用約三千人増、市税収入は約二・六倍になるとしています。医療産業都市構想でも「経済効果もある。税収増にもなった」としていますが、本当に市税が増えたのかどうか一切わからないのが実態です。

一方、地域経済を支えている既存の中小企業への支援策はみえません。

三宮開発、医療産業都市、神戸港大水深バースなど推進


市長選挙でも争点となった三宮開発は、新神戸駅周辺から神戸駅周辺までの広範囲。構想を進めるため、新年度内の将来ビジョン策定へ官民共同で検討していくとしています。

医療産業都市推進に五十一億円、国際コンテナ戦略港湾の推進を口実に神戸港での大水深バースの建設などに百九億円を計上しています。

神戸空港については三十一億円を計上していますが「将来的な三空港一体運営を視野に入れつつ、運用時間の延長や発着枠の拡大など」の実現に取り組む、という程度。利用者が増えず深刻な経営状態となっている点についての対策は示されていません。

大型公共事業推進のためには多額を投入しているのに対し、市民の暮らしに関する予算では、乳幼児医療費助成拡充分が四億円のみです。商店街・小売市場の活性化策は一・六億円程度、住宅バリアフリー化工事補助の予算は三千四十四万円などに留まっています。



全体の予算案を貫いているのは、市民の運動や世論に押されて市民要求を取り入れながら、これまでの「大型事業と企業誘致優先」路線を継続していることです。
(2014年3月2日付「兵庫民報」掲載)

日本共産党神戸市議団が予算懇談会

日本共産党神戸市議団は二月十七日、神戸市中央区の私学会館で二〇一四年度予算懇談会を開き、労組、民主団体などから約八十人が参加しました。


森本真議員団幹事長が神戸市予算案の内容を報告しました。「大企業や大規模事業には金を使うが、市民の暮らしのためには、きわめて少額であり、アベノミクスに沿った大企業優先・企業誘致最優先の予算案になっている」と批判。同時に市民の運動の成果として中学校給食、乳幼児医療費助成の拡充、神鉄への敬老パスと同程度の支援策、学校司書の配置などをあげるとともに、それぞれの課題も明らかにしました。

また、きだ結県議が兵庫県の福祉医療改悪の内容などについて説明しました。

参加者からは―

「中学校給食は、川西は自校方式でやる。神戸市も少しずつでも自校方式を実現してほしい」

「大企業への固定資産税の補助の仕方を見たら怒りがわいてくる。神戸経済を支えている中小業者が固定資産税を払えなくなると、差し押さえまでやっている態度とあまりにも違いすぎる」

「公契約条例と中小企業振興条例セットで地域を活性化させることが大事だ。労働法のダイジェスト版を配るとか、ブラック企業の餌食にならないような施策もできる」

「借り上げ住宅について〝完全予約制〟というまやかしの制度を出してきた。申し込んだら確実に転居させるというもの」

「友生養護学校跡地や垂水養護学校の跡地には少なくとも重度障害者向けの施設をつくってほしい」

「国保料の計算方法変更で、年金二十二万円程度の非課税世帯に所得割が発生し、五万円くらい値上がりする」「生活保護の基準引き下げで、様々な減免制度などにも影響が出てくる」―などの意見が出されました。

(2014年3月2日付「兵庫民報」掲載)

神戸市議選候補者(東灘~長田)

地方議会第一党の奪回へ


来年二〇一五年いっせい地方選挙の候補者のうち、この間に発表された方々を紹介します。今回は、東灘・灘・中央地区委員会と兵庫・長田・北地区委員会が発表した神戸市議候補。(敬称略)

東灘区(定数九)

松本のり子(57)=現四期=党市議団長、文教こども委員。党県常任委員、東灘・灘・中央地区委員。新日本婦人の会東灘支部委員。神戸山手女子短期大学卒。

西ただす(38)=現二期=企業建設委員。党東灘・灘・中央地区委員。原水爆禁止東灘協議会幹事。立命館大学卒。学生自治会委員長など歴任。

灘区(定数六)

味口としゆき(44)=現一期=都市防災委員。党県委員、東灘・灘・中央地区副委員長。大阪経済大学卒。労組役員、日本民主青年同盟県委員長・中央委員など歴任。

中央区(定数五)

大前まさひろ(33)=新=党中央区市政対策委員長。東灘・灘・中央地区委員、借上住宅問題中央区連絡会事務局長。甲南大学大学院修士課程修了。

兵庫区(定数五)

大かわら鈴子(48)=現三期=産業港湾委員。元大沢たつみ参院議員秘書。兵庫県立総合衛生学院卒。看護師。川崎病院勤務など経歴。

長田区(定数五)

森本真(51)=現三期=党市議団幹事長、福祉環境委員。長田区子ども会連合会常任委員。日本福祉大学卒。

北区(定数十)

金沢はるみ(55)=現四期=党市議団総務会長、総務財政委員会副委員長。関西大学卒。大阪かわち市民生協、日生協健康保険組合勤務など経歴。

朝倉えつ子(47)=新=党北区くらし・福祉相談室長。日本福祉大学卒。日本民主青年同盟北多摩東部地区委員長、障害児学童保育指導員など経歴。
(2014年3月2日付「兵庫民報」掲載)

借上住宅〝完全予約制〟の名で追い出し

ひょうご震災復興借上住宅協議会はこのほど、ニュース『たんぽぽ』二月号を発行し、借り上げ住宅入居者を対象にした神戸市の「完全予約制」について、「だまされたらアカン、〝完全予約〟という名で〝追い出し〟制度、転居〝申請〟したら追い出される」と呼びかけています。

神戸市は、阪神・淡路大震災の被災者が入居する借り上げ復興住宅をめぐり、「原則二十年で退去」と追い出しをすすめてきましたが、ことし一月、移転先の市営住宅を予約すれば、空室がでるまで最長五年間、退去を猶予する〝完全予約制〟を発表しました。

これについて『たんぽぽ』は、借り上げ住宅に継続入居したいと願う居住者の心理を利用した巧妙な追い出し制度だと指摘。「いったん予約すると、取り消し(キャンセル)はできない。早々に転居させられます」と注意をよびかけています。

同協議会の公開質問状に当時の矢田市長が「希望に沿った地域に住み替えていただくことが基本」「未知の土地、見知らぬ場所への転居を強要するものではありません」と回答(二〇一二年十二月二十六日)していることも紹介。「市長の〝公約〟と法(人権)を守ってください」と神戸市に訴えています。

(2014年3月2日付「兵庫民報」掲載)

第12回阪神北「小林多喜二祭」

多喜二の志ひきつぎ新しい政治へ前進を


阪神北「小林多喜二祭」実行委員会は二月二十日、伊丹市内で第十二回阪神北「小林多喜二祭」を開催し、約百人が集いました。

実行委員長の藤木洋子氏(元衆院議員)の開会挨拶に続き、第一部で石川康宏神戸女学院大学教授が「小林多喜二の時代と安倍晋三の『美しい国』」と題して、記念講演を行いました。


石川氏は、小林多喜二の人生とその時代、作品研究にもふれ、多喜二などのたたかいにもとづく社会発展・歴史の前進について解明しました。

今日の「自民党がめざす日本社会」(『美しい国』)の根底には、日本国憲法の根本を否定する自民党新綱領と改憲案が第一課題にあること、危険な改憲案の一つひとつを国民に語っていくことの重要性を指摘。

また、「現代の三つの異常」(①財界第一②アメリカいいなり③靖国史観)の鼎立が困難になっていることなどを豊富な資料をもとに明らかにしました。

その上で、「国家権力の抑圧と侵略戦争に反対し、学びたたかいつつ生きた日本共産党員でプロレタリア作家だった小林多喜二の志をひきついで新しい政治への転換に向かって前進しよう」とよびかけました。


第二部・文化行事はハーモニカ奏者の寺村安雄さんの演奏。複音ハーモニカの多様な表現による「春よ来い」などの演奏は参加者を魅了しました。

参加者からは「講演を聞き、自分が気づいてないことに気付かせられた」、「今日の自民党体質が改憲案にもとづいたものだということがよくわかった」「自民党改憲案の危険性、恐ろしさを再認識した」「多喜二の生き様に学び、立ち向かいたい」「寺村さんのハーモニカ演奏に感動、一人の演奏とは思えない、達人という感じでした」など感想が寄せられました。

(2014年3月2日付「兵庫民報」掲載)

名護市長選に学ぶ:革新芦屋の会


「平和・民主・革新の日本をめざす芦屋の会(革新芦屋の会)」は二月二十三日、名護市長選挙のたたかいに即して「安保」を考えるつどいを開催しました。

辺野古に基地を作らせないたたかいのドキュメント映像を観た後、名護市長選挙を現地で支援してきた砂盛光偉氏(神戸健康共和会専務理事)の講演を聞きました。

砂盛氏は「医療従事者として、この国を〝生まれづらく、生きづらい国〟にしないためにも、平和の問題、沖縄の問題は避けてとおれない」と語り、若い職員が沖縄で学んでくるよう、系統的に取り組んできた、と経緯を説明した上で、今回の名護市長選で、みずから名護市民と語り合った経験を話しました。

「稲嶺市長が基地交付金に頼らず子ども施策を充実させてきたことは、市民が〝自らの生活は自ら切り開く〟確信につながった」「〝基地をつくったら観光もだめになる〟と観光協会の幹部も一致。まさに、オール沖縄のたたかいだった」「若い人も関心が高く〝稲嶺さんで決まり〟という状況だった」などと報告。

「続く沖縄知事選挙には、オール兵庫で支援しよう」と呼びかけて講演をしめくくりました。

参加者からは「民医連が若い職員をつれて支援活動に参加していることに敬意」「沖縄に連帯して、秘密保護法、原発、NHKなどのたたかいをすすめたい」などの感想が寄せられました。


(2014年3月2日付「兵庫民報」掲載)

前泊沖縄国際大学教授が神戸で連続講演


元琉球新報論説委員長で、沖縄国際大学教授の前泊博盛氏が二月二十二、二十三の両日、兵庫県内二つの九条の会で連続講演し、「日米不平等の源流は安保、地位協定にある」「AU(アジア共同体)をつくり、憲法九条に基づく外交力の強化で、武力に頼らない平和を」と呼び掛け、超満員の会場に共感の輪を広げました。

二十二日の九条の会・兵庫県医師の会の講演会では、「知られていない米軍基地のこと 憲法無視の日米地位協定」と題して講演。「米軍が自国内ではできないオスプレイの超低空飛行訓練が、なぜ日本では可能なのか」「なぜ日米地位協定は憲法の上位法として扱われているのか」と問いかけ、「原発事故と再稼働問題、TPP問題も含めて、日本の深刻な諸矛盾の多くは、在日米軍がもたらす国内法の機能停止状態に起因している」と、鋭く告発しました。

また、質問に答えて、「EUは経済共同体を作り、域内での戦争を無くした。アジアも同様に経済安保・多国間安保の概念と人間の安全保障で、血を流さない新しいシステムを」と強調。

翌二十三日は、九条の会.ひがしなだの講演会。特定秘密保護法に触れ、「米国からの情報提供欲しさに制定した〝防諜法〟だが、主権者国民の耳目、口を塞ぐのが真の狙い」と喝破。米軍普天間基地の辺野古移設強行についても「軍港など全機能を備えた最新鋭基地が、日本の経費で建設される」として、「権利は与えられるものではなく、闘い取るもの。民主主義を闘い取る本格的な運動を」とよびかけました。

(2014年3月2日付「兵庫民報」掲載)

第67回解放運動無名戦士合葬者

平和と民主主義、国民の生活と権利、政治革新をめざす運動なかばで昨年亡くなった方々を顕彰する第六十七回解放運動無名戦士合葬追悼会が三月十八日、東京新宿の日本青年館と青山霊園「解放運動無名戦士の墓」前で行われます。兵庫からは五十三人が合葬されます。合葬者の氏名、居住市町、享年、おもな活動歴は新聞版をご覧ください。

解放運動無名戦士合葬追悼兵庫県実行委員会は、中央実行委員会分担金や宿泊費、オルグ活動、諸費用にあてるため募金を呼びかけています。
郵便振替01140・7・3869 日本国民救援会兵庫県本部
通信欄に「合葬募金」と明記してください。問い合わせ℡078・351・0677

(2014年3月2日付「兵庫民報」掲載)

ひなたぽっころりん(529)

(2014年3月2日付「兵庫民報」掲載)

観感楽学

十四年前、クリントン米大統領が夫人とともに来日。出迎えた総理大臣が「How are you?(お元気ですか)」と言うつもりが「Who are you?(あなたは誰ですか)」とやってしまった。大統領は「私はクリントンさんの夫ですよ」と答えた。この総理が森喜朗氏だった――この話はジョークだとも言われている▼しかし、今回の発言は「笑い話」ではすまない大問題となった。誰もが注目したソチ五輪の女子フィギア・ショートプログラムで、浅田真央選手が十六位。ファンが心を痛めているさなかに、森氏は講演で「あの子、大事な時には必ず転ぶんですよね」「負けると分っている団体戦に出して恥をかかせることはなかった」と発言した▼この発言に対して、ダルビッシュ有投手は「スポーツの本質何もわかってないよね」と批判した。後半のフリーに臨んだ浅田真央選手は、なんと自己最高点をマーク。涙と笑顔で締めくくった彼女の演技は世界中を感動させた▼「負けるとわかっている団体戦に」などともよく言えるものだ。森氏は、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の会長だ。スポーツへの理解の浅い人物が会長では先が思いやられる。(D)

(2014年3月2日付「兵庫民報」掲載)