県民・市町からの反対で一部回復したものの…
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「ひどすぎる!」と市町や県民からの声
「第三次行革プラン」の具体策(素案)が発表されて以降、県民世論を受けて市町からも、ひとり親家庭医療費助成では「所得制限がかなり厳しくなる。これによって現行の適用者の半数以上が適用除外になることも予想され、非常に厳しいので賛成しがたい」(神戸市福祉局)など、老人医療費助成では「今回なくす低所得者IIは低所得者Iの対象外となる低年金者の救済措置であることから、引き続き受給対象とすることを要望」(西宮市)など、反対の声があがりました。
これまで県「行革」によって福祉医療制度の改悪がつづけられるなかで、市町の反対意見もありながら、経過措置や実施時期をずらすなどの対応で強行してきましたが、「これまで削ってきて、これ以上はひどすぎる」という反対の声がひろがったのです。年末年始にかけてのパブリックコメントでも、四百五十件の意見のうち、四分の一近くが、福祉医療や私学の削減に関係する意見でした。
県議会でも、行革特別委員会の質疑で、日本共産党のきだ結県議が、住民の立場を代弁し、「母子家庭等医療費助成の所得制限の改悪により、全国でも一番厳しいランクになる」「まるで福祉や教育の狙い撃ちだ」と追及しました。
県民いじめの「行革」ストップ!要求実現連絡会でも、十二月二十四日~二十五日の二日間、団体からの参加者が、県当局に面と向かい、行革案の撤回と、要求実現の交渉を行いました。
こうした動きのなかで、今回、一月に発表した変更案(第二次案)では、老人医療費の一部対象外にして三割負担にする案を、二割負担に戻すなど、一定の回復をする案が出されたのです。
県政の役割投げ捨てる「県行革」
井戸知事は昨年八月一日、再選後のはじめての記者会見で、「県民本位、生活重視、現場主義で……兵庫の未来を切り拓く」と述べましたが、その後発表された「第三次県行革」は、「県民本位」どころか県民切り捨て、「兵庫の未来を切り拓く」どころか、市町の取り組みの足を引っ張る内容です。
また、私学助成のように、国が制度を改善して予算を増やしても、それを生かして県民むけの制度を思い切って充実するのではなく、県独自の予算カットにむすびつけるやり方もしています。
いま、安倍内閣の消費税八%アップ、社会保障の改悪プログラムがすすめられようとしている中、兵庫県の役割が問われています。
県民生活に追い打ちの負担増でなく、市町とともに福祉制度などの充実をめざす立場は、地方自治体として、広域自治体である都道府県として、当たり前の役割です。この立場を放棄し、県民生活置き去り、市町の足を引っ張る「行革」をつづけていては、いくら井戸知事が「地方分権の先導役」と胸をはっても、まったく説得力を持ち得ません。
老人クラブや私学への補助削減も含め、全面撤回こそ
一月の変更案には、市町や老人クラブからの反対意見、「現行制度維持を」という総意での要望があったにも関わらず、単位老人クラブへの活動強化費の引き下げ(月額単価を四千四百円から三千五百円)が、撤回されておらず、そのままになっています。
また、私立高校への経常費補助や授業料軽減補助についても、削減の大枠はそのままです。
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兵庫県は、一月の変更案を踏まえ、予算議会に最終案を提出し、強行しようとしていますが、今後市町や県民との矛盾を広げざるをえません。
このような削減も含めて、「第三次行革プラン」案全体を、県民の世論と運動で撤回させ、押し戻す取り組みが求められています。
(2014年2月2日付「兵庫民報」掲載)
