阪神・淡路大震災から十九年の一月十七日、「早朝追悼式」「市民追悼のつどい」「東日本大震災被災地と結ぶ十九年メモリアル」「ながたメモリアル集会」など、各地でメモリアル行事がとりくまれました。
地震発生時刻午前5時46分にあわせ、神戸市街を見渡せる諏訪山公園ビーナステラスで早朝追悼式が行われました。
復興県民会議メモリアル集会に300人
阪神・淡路大震災救援・復興兵庫県民会議は、震災から十九年となる一月十七日、神戸市勤労会館で「東日本大震災被災地と結ぶ十九年メモリアル」集会を開き、三百人が参加しました。
被災者支援法も住宅再建には不十分
松平晃さんのトランペット演奏で開会。主催者を代表して兵庫県保険医協会の池内春樹理事長が挨拶。「借り上げ住宅からの被災高齢者の追い出しは、恒久住宅をつくらなかったことが間違いであり、ゆるされない。この間の運動で被災者支援法ができたが、住宅再建には不十分であり、東日本への支援も継続していきたい」と訴えました。
全国災対連の住江憲勇代表世話人も挨拶しました。
憲法に基づく被災者支援を実現しよう
東日本大震災復旧・復興支援みやぎ県民センターの綱島不二雄・代表世話人、日本共産党の穀田恵二衆院議員が来賓挨拶しました。
綱島さんは、「農業、漁業が大きな被害をうけたが、いま『創造的復興』に苦しめられている。医療費窓口負担ゼロの四月からの実現をはじめ人間復興にがんばる。ひきつづく大きなご支援を」、穀田さんは、「阪神・淡路で借り上げ住宅や災害援護資金に極端にあらわれているように、助かった命が失われるようなことがあっていいのか、根本が問われている。『個人財産の形成になる』という壁をとりはらい、憲法二十五条、十三条に基づく被災者支援を実現しよう」と呼びかけました。
借り上げ住宅―希望者全員の継続入居を
県民会議の岩田伸彦事務局長は、借り上げ復興住宅では入居者団体と力をあわせた運動で、追い出し一辺倒だった県や市が一部継続入居を言わざるをえなくなっていると紹介。「希望者全員の継続入居を必ずかちとろう」と訴えました。
また、緊急災害復旧資金、災害援護資金などの返済に苦しむ被災者が少なくない現状を訴え、「東日本大震災で適用されている条件を踏まえ、返済免除などを求めていく」と力説。「創造的復興ではなく、被災者の生活と営業、暮らしの再建こそが復興の第一義的課題。東日本大震災被災者との連帯をつよめ、被災者の要求実現のため奮闘しよう」と呼びかけました。
原発被害―子どもたちの被害への不安
福島県郡山市から二人の子どもと大阪に避難している原発賠償関西訴訟原告団代表の森松明希子さんは、放射能による子どもたちへの健康被害とその不安、母子避難生活をよぎなくされている苦しみを紹介。「すべての子どもの権利と健康を守るのは、大人の責任。事実を伝え、まちがっていることは、まちがっていると伝え、何がもっとも大切にされるべきかを信念をもって発信していきたい」と声をつまらせながら訴えました。
被災者分断を持ちこませない
浜通り医療生協理事長で原発問題住民運動全国連絡センター筆頭代表委員の伊東達也さんが「原発震災から二年十カ月、福島のいま」と題して記念講演しました。
伊東さんは、被害の深刻さについて、人が住んでいない避難地域が東京都の半分以上もの広さで、十四万人の避難者が家も展望もない過酷な避難生活をよぎなくされていること、避難生活などによる震災関連死が「直接死」を超え、深刻な被害の農業、漁業をはじめ全産業に被害を与えつづけていることを指摘しました。
家族が引き裂かれ、若い世帯がほとんどもどっていない実情、放射線による苦しみと不安、ストレスのなかでの暮らしと、原発からの距離や放射線量、賠償による分断など県民のなかに対立がもちこまれていること、甚大な被害への賠償を東電と政府があくまで狭く、小さくしようと総力をあげており、県民の怒りが大きくなっている現状を告発しました。災害復興公営住宅建設のスピードアップ、雇用と生業再建、完全賠償と放射線被ばくの健康診断・検査・医療の継続的保障とともに、住民本位の除染など速やかな復旧・復興がもとめられていることを強調しました。
最後に集会アピールを採択。兵庫労連の津川知久議長が閉会挨拶で、「東日本大震災と阪神・淡路、この二つのたたかいを全国的な課題として共同をすすめ、もっとも大切にされるべきものがもっとも大切にされる社会をめざしてお互いに奮闘しましょう」と呼びかけました。
こくた衆院議員と党県委員会がメモリアル宣伝
大震災の教訓と憲法いかし命と暮らし守る政治を
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訴える(左から)森本、こくた、大前の各氏(17日、元町駅頭) |
日本共産党のこくた恵二衆院議員は十七日、諏訪山公園での早朝追悼式を終えた後、通勤の人びとが行き交う元町駅頭で、森本真神戸市議、大前まさひろ中央区市政対策委員長らとともに犠牲者と遺族への追悼を述べ、被災者の生活再建と憲法をいかす政治の実現を訴えました。
こくた氏は、いまもなお苦闘する阪神・淡路大震災被災者の実態について、災害援護資金の返済問題、借り上げ復興公営住宅からの追い出し問題など、「復興は未だし」と指摘し、引き続き闘うことを表明しました。同時に、東日本大震災被災者と連帯し、憲法十三条(幸福追求権)、二十五条(生存権)に基づいて、生活と生業の再建のとりくみ、原発ゼロの運動を呼びかけました。あわせて、消費税、秘密保護法、米軍基地など、国民的な課題での共同のとりくみの必要性を述べ、政治の根本を変えるたたかいを訴えました。
森本議員と大前氏は、新長田南再開発や借り上げ住宅からの被災者追い出しなど復興事業の失敗と冷たい神戸市政を告発し、阪神・淡路大震災の教訓をいかし、命と暮らしを守る政治をつくるために全力をつくすと訴えました。
(2014年1月26日付「兵庫民報」掲載)
