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2014年12月28日日曜日

観感楽学

近親がアルツハイマー型認知症初期と診断され、治療薬ガランタミン(商品名は別)を投与された。ガランタミンは2011年認知症治療新薬として承認された。「はて、この薬はポリオ治療薬だったのではないか」と記憶がよびさまされた▼ガランタミンは1961年ポリオ麻痺治療薬として当時のソ連から贈られ、代々木病院が初めて子どもに投与し劇的効果を上げた。ポリオの危機的大流行に「子どもたちを守れ」と、ソ連の生ワクチン1千万人分とガランタミンの緊急輸入を政府に迫る母親たちの大運動が全国に巻き起こった▼世界保健機構は2000年ポリオ根絶宣言を行った。生ワクチン・不活性化ワクチン接種の絶大な効果だった。このため、ポリオ治療薬のガランタミンの出番もなくなっていたが、半世紀後に「劇的」に認知症新薬としてよみがえったのだ▼ガランタミンはコーカサス地方のマツユキソウから分離され、1951年にソ連で初めて医薬適用された。マルシャークのスラブ民話劇『森は生きている』のあのマツユキソウから。「労農のソ連邦」はあえなくなったが、青春が夢と命を懸けた社会主義の大義は分離再生させなくてはならない。(A)

(2015年1月4日付「兵庫民報」掲載)

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