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2014年11月9日日曜日

再生可能エネルギー発電への電力会社による契約中断:その原因と改善策

速水二郎(電力兵庫の会)

降って湧いたような「契約中断」!


九州電力は太陽光発電等「全量固定価格買い取り制度」申し込み申請への回答を「保留する」と9月24日に発表。10月1日の福岡県での説明会では「太陽光を含めローンを組んで家を着工したが、契約中断で工事を中断している」「マンション屋上に太陽光パネルを設置する計画が頓挫した。顧客にどう説明すればいいのか」といった苦情が出されました。

その後、北海道、東北、四国の各電力会社は“契約中断”宣告を出し、全国的に波紋が広がりました。関西電力も、四国電力から供給を受けている南あわじ市・洲本市の区域について10月1日以降、再生可能エネルギー発電申し込みへの回答を保留しました。

安倍政権は、「原発を重要ベースロード電源とする」政策ですから、チャンスとばかり「買い取り制度」の見直しをマスコミに流したりしています(10月15日、経産省・新エネルギー小委員会の内容)。

一方、批判の声の大きさに慌てた電力会社は、電事連八木会長が「これは1時的保留で、設備などの運用の改善で」と表明(10月17日)。また、九州電力は、50kW未満の太陽光発電設備はいずれも従来通りの取り扱いをすると修正しました。

先走った九州電力


電力は瞬間生産・瞬間消費という性質をもっています。だから、いつも発電する量と電気を使用している消費量は一致しています。九州電力の場合、現在、春や秋の電力需要は8,001万kW程度で、火力や水力発電でまかなってきました。ところが、太陽光や風力発電等を設置する届け出が2014年7月末までに12,601万kWとなり「これは大変」となったわけです。しかし実際は2014年6月末現在、運転している再生可能エネルギー発電は「太陽光+風力計」で3,711万kWに過ぎません。12,601万kWは最近よく指摘されているように、投機的申請が多く太陽光パネルの値下がりを待つ建設遅れがひどい状況もあるのです。つまりオーバーな発表をしてしまったのです。

電力会社は供給責任で対応


太陽光発電を屋根につけた家は大変増えました。発電すると電柱を通じて配電線へ送り出し、電力会社へ売電しています。各戸の出力は大体3~5kW程度ですが、合計で11,000軒ほどになると、変電所から出ている1つの配電線の容量約31,000kWを上回ってしまいます。

しかし配電線にはあちこちに開閉器が付いていて、別の配電線に切り替えてバランスを取っていきますので、よほど爆発的な増え方にならない限り問題はありません。また、電線を太くしたり、変電所の変圧器を大きくする対処はどの電力会社も常時やっています。

送電線は全てつながっている


山また山を通る送電線はどうでしょうか。九州電力の場合、鹿児島県北部の1次変電所から北九州へ501万V超高圧送電線がつながっています。さらに関門海峡で中国電力と連系しています。九州から中国へは、常時約5,501万kWを送り出すことが出来る容量になっていますので、九州で増えれば中国から関西へ電力を流せば良いわけです。60Hz圏、西日本6社の連系で送電ロスの問題はあっても、いつも融通は出来るのです。変電所の対応はどうでしょうか。メガソーラーが同じような場所に沢山接続されるとしたら、変圧器などの置き換えが必要となる場合もあります。けれども今の電力会社は、大型変圧器や母線を取り替えてまで、再生可能エネルギーを買い取る方針は無いと思います。限界値が来たとき、電力会社の責任で取り替えるのか、再生可能エネルギー事業者に負担させるのか、政府に要求するのか、等を考えていると思います。

送電線は全国で一本化し公的な運営管理へ


爆発的に増える再生可能エネルギー発電の接続を公平にするため、送電線の容量が不足してる場合は設備強化し、また新設する場所も必要です。現在の10電力会社体制では無理でしょう。いま電力システム改革が議論されていますが、送電線関係の設備を全国的な公的機関に移管し、独立した運営管理が必要となってきています。そのためには資金も必要でしょう。政府は依然として原発に依存し推進するための電源開発促進税はそのままにしています。これを活用する方向がベターと考えます。

原発再稼働と無関係ではないのか?


太陽光発電などの事業者から「川せん内だい原発が再稼働するから再生可能エネルギーの枠が減ったのでは」との質問も10月1日の説明会で出されました。これに対し九州電力は「再生可能エネルギーのみでは安定供給できない。ベースロード電源としての原発と、調整可能電源としての火力発電も入れた前提で、再エネルギーの接続可能量を見極めたい」と説明しました。この回答を素直に考えると、川内原発1、2号機の計1,781万kW、玄海原発3、4号機の計2,361万kWの再稼働を前提にすれば、経営者として「再生可能エネルギーは原発の次にしか位置づけしていない」と考えるのが当然だと思います。

揚水発電所で再生可能エネルギー発電を溜めよう


電気は瞬間の生産・消費だと述べましたが、いままで電力会社は各地で大規模な揚水発電所を造り、原発の電力が余る夜間に、上の池に水を汲み上げ、昼間のピークに発電してきました。原発全停止で揚水発電所は多くが遊んでいます。だから全国の電力会社は、再生可能エネルギー発電を嫌わずに、揚水発電所を最大限活用して、「電気の備蓄」をすれば良いのです。

外国ではどうしているのか


EUは10月23日から会議を開き「首脳宣言案」を出しましたが「エネルギー安全保障」として、EUのガスパイプラインと送電網から孤立しているバルト3国やスペイン・ポルトガルの接続を重視することを宣言しました。再生可能エネルギーが急増する中、国境を越えて電気やガスを融通しあう方がエネルギー消費が効率化し、地球温暖化防止となるからです。各国は発電量の10%を輸出することを目標にしてきましたが、現状が遅れているので「緊急の措置」を来年2015年3月までに行動計画を示すことになりました。なおEUは、再生可能エネルギーの優先給電が指令で義務づけています。つまりEUでは再生可能エネルギー発電の出力を抑制する前に、火力や原子力を抑制しなければならないのです。ここが日本の遅れた政策との根本的な違いなのです。

分散型自給自足のエネルギー社会へ


第2次安倍政権の「エネルギー基本計画」は原発にこだわる方針ですから、これを抜本的に変革する必要があります。そのため、太陽光発電などを熱心に取り組まれている多くの住民や企業が手をつなぎ、共同で地産地消、分散型自給自足の地球にやさしいエネルギー未来へ向けた活動がいま求められています。

(2014年11月9日付「兵庫民報」掲載)

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