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2014年10月19日日曜日

ノーモアヒバクシャ近畿訴訟・傍聴記:9/26,9/30,10/10

戦争被害者同士を対立させ、残留放射能の健康への影響を過小評価…
安倍政権の姿勢あらわ

副島圀義

9月26日と30日に大阪地裁、10月10日に高裁と、公判が連続しました。



10日の控訴審での国側冒頭陳述は―
一般の戦争犠牲者はなんの保障もなく我慢している。原爆被害者だけは医療費の無料や手当てなどで優遇されている。
原爆投下から9日後に爆心地近くに数時間いてチリやホコリをすった位で病気になるはずがない。
―等々、若い国側代理人が供述するのを聞いていると、戦争についても、福島原発事故についても、いかに安倍政権が無反省か露わにしたものでした。
学徒動員が解除されて実家に帰る途中の中学生が、4日間も、他の被爆者を助けて家族探しや瓦礫撤去をするはずがない。
―この主張に至っては〝戦争を知らないエリート官僚の感覚で被爆青年の行動を推し量るな〟と言いたくなりました。



これまでの全国の判決は繰り返し「機械的一律的に基準を当てはめるのでなく、1人ひとりの被爆状況、急性症状の態様、戦後の生活・疾病歴等を総合的に判断。内部被曝、遠距離被曝、2次・残留放射線被曝なども考慮」としています。

にもかかわらず、最近の裁判で国側は―
「急性症状」があったというが何レムの放射線を浴びたか立証できるか?
国の審査基準は科学的合理的で最大限広げたもので、それ以上の認定は誤り。
―等々、挑戦的です。

これに対し、原告側弁護士は―
いままでの訴訟で決着済の議論を最初から蒸し返そうとするもので、司法への冒涜・高齢原告に対するいやがらせだ。
国の新基準自体、偏った構成の検討会が被団協などの異論を無視して強引につくったものだ。
被爆者援護法の立法趣旨や麻生首相(当時)が被団協と交わした合意にたちかえれ。
国が出してきた「専門家連名意見書」はUNSCEAR(国連放射線影響研究所)報告をまったく読み違えている。報告は、通常の被曝について低線量被曝の健康影響はまだ明らかになっていない。が、被爆者について低線量でも健康に影響があることは明らかだとしている。
―等々と批判しました。



公判後の集会では―
来春には一連の判決がでそろう。医療介護の全面改悪も進行中。大事な局面だ。
被爆者援護にも、核廃絶にも安倍政権は後ろ向き。社会の流れを前に向ける一端を担いたい。
福島の被害者、原発事故に立ち向かっている作業員の方々の被曝にきちんと対応するためにもがんばっていきたい。
―と弁護団の決意が伝わってきます。


訂正】前回(7月22日の公判・掲載は8月3日付)の傍聴記に2カ所間違いがありました。おわびして訂正します。①本文2行目と5行目の「原告Iさん」を「原告Uさん」に②本文6行目「当時2歳」を「当時13歳」に。


(2014年10月19日付「兵庫民報」掲載)

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