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2014年9月14日日曜日

〝福祉事務所による不正支給〟免罪する神戸地裁の不当判決

神戸市の北福祉事務所が収入認定を誤り、2年近く生活保護費を過少支給していたことから、神戸市北区でパンの製造・販売店を営む米﨑郁夫・由美夫妻が神戸市を被告として起こした国家賠償請求裁判で、神戸地裁第4民事部(植屋伸一裁判長)は8月26日、原告・米﨑夫妻の請求をすべて棄却する判決を言い渡しました。米﨑夫妻は、この神戸地裁判決を不服として控訴しました。

地裁判決報告集会で引き続きたたかう決意を固めあう
支援する人々と米﨑夫妻(右端)=8月26日


米﨑夫妻は、2010年1月から生活保護の利用を開始。当月の小口現金として利用するため、前月の売上の一部を「繰越金」として当月の収入に加算していました。「繰越金」として加算した額だけ、実際の収入より多く収入認定されてしまう結果、生活保護費が過少に支給されていたのです。

間違いを認識した時期を無視


判決では、米﨑夫妻の収入を正しく計算せず、生活保護費を過少に支給し続けたケースワーカーT氏が、夫妻の収入計算の誤りを「2年半近く発見できず」修正する機会を逸したことは、違法な行為にはあたらないとして、米﨑夫妻の請求を退けています。

しかし、2010年9月に、T氏が、2010年7月の収入申告書の資料を検算し、「繰越金」を売上に加えることなく、正しく米﨑夫妻の収入を計算していたことが、T氏の尋問で明らかとなりました。T氏は、この時には、米﨑夫妻の収入を正しく計算し、米﨑夫妻の収入計算の誤りを認識していたと思われますが、判決では、なぜか、この時のT氏の検算について全くふれていません。

収入認定の重要性と収入申告制度を誤解


また、判決は、「要保護者自らその収入の内容を明らかにし……保護の適格性を自己の責任において立証することが期待されている」として、福祉事務所が、生活保護費を過少に支給したのは、米﨑夫妻の計算の誤りに「責任」があるとして、北福祉事務所を免罪しました。

これに対し、米﨑夫妻の代理人である吉田維一弁護士は――

「判決の指摘は、福祉事務所の手引きである『生活保護手帳 別冊問答集』の一部を切り貼りしただけです。しかし、同書では、その直後に、〝被保護者からの申告のみによって収入認定を行えば足りることを意味するものではない。実施機関においては、要保護者から提出された収入申告書の内容について、客観的に妥当性を有するものかどうかを10分検討する必要がある〟と記載があります。さらに、〝(福祉事務所は)収入の認定に当たっては、綿密な調査を行う必要がある〟とも記載されています」

「収入の認定にあたっては、〝保護の実施機関は、常に、被保護者の生活状態を調査し、保護の変更を必要とすると認めるときは、速やかに、職権をもつてその決定を行〟うと生活保護法25条2項で規定されている職権調査が必要であることを指摘しているのです。今年1月の大分地裁判決でも、福祉事務所は〝実際には得ていない収入額を収入と認定しない職務上の義務を負う〟と判断されています」

米﨑夫妻に落ち度なし


「米﨑さんが提出した資料の数字は細かいところまで正確で、福祉事務所が正しく収入を計算をすることには何の問題もありませんでした。計算に誤りがあったものの、そもそも収入の計算は福祉事務所の仕事であり、米﨑さんに全く落ち度はありません。誤った収入認定を長期間放置していた福祉事務所の違法行為であり、〝福祉事務所による不正支給〟です」―と厳しく批判しています。

(2014年9月14日付「兵庫民報」掲載)

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