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2014年8月3日日曜日

九州電力川内原発再稼働「合格」決定に反論し、高浜原発再稼働の中止を求める(上)

安倍政権による原発を再稼働させる「もくろみ」を止めましょう

速水二郎(電力兵庫の会)

原子力規制委員会は7月16日、九州電力川内原発について「新規制基準に適合している」とする審査書案を発表。30日間の意見公募の後、正式決定されますが、再稼働へ向けてのゴーサインを出しました。

その「適合理由」では、地震・津波・竜巻・火山・電源喪失・格納容器破損・炉心損傷・水素爆発・航空機衝突とテロなどの審査ポイントを全てクリアしたと述べています。前記全てについて研究者・専門家や多くの住民が規制委の内外で批判が多くなされている中での強引な決定でした。

安倍政権による福島原発の過酷事故を忘れたかのような原発推進政策の影響を強く感じます。

「万が一の住民避難」対策は出来ていない


例えこれらのクリアがあったとしても、最も許せないのは「万が一の住民避難」対策の問題です。福島原発事故は、放射性物質の飛散・拡散情報が住民に知らされず、災害弱者の避難も遅れ、多くの被爆者や原発関連死者を出しています。

国際原子力機関(IAEA)は、5層にわたる多重的な規制対策を定めていましたが、日本は「安全神話」一辺倒で無視してきました。想定外の事故が起きても住民の被曝を防ぐ「最後のとりで」である第5層は、例えば米国でも最重要に位置づけられ、これをクリアしないと原発の運転は出来ません。

日本政府・電力会社による今までの「安全神話」
多重防護で「絶対安全」
  1. ウラン焼き固めペレット
  2. ペレットの被覆管
  3. 原子炉圧力容器
  4. 原子炉格納容器
  5. 原子炉建屋
  6. 緊急炉心冷却装置

1986年チェルノブイリ事故後IAEAが定めた「5層防護」
設計基準内
  • 第1層 異常の発生防止(フェイルセーフ設計など)
  • 第2層 異常の拡大防止(原子炉緊急停止系統の設置)
  • 第3層 過酷事故防止対策(緊急炉心冷却装置など)
最悪事態
  • 第4層 想定外の過酷事故への対応
  • 第5層 放射性物質が大量に放出された際の避難計画

けれども福島事故後も野田政権や安倍政権は、第5層を対象外とするとともに、住民避難は災害対策基本法に基づき自治体の責任で策定し、政府は「支援」するだけにしてしまいました。だから規制委員会も平然と「国が自治体の業務に口を出すことは出来ない」としチェック機能はありません。これを良いことに九州電力川内原発の再稼働を承認したのです。

過酷事故発生時の緊急避難対策を「置き去り」にしたままの再稼働は絶対に許すことは出来ず、14基が存在する若狭湾で、しかも次の高浜3、4号再稼働につながるだけに、傍観は出来ません。

一方、関西電力は、6月26日の株主総会の答弁で、避難問題について「国が決めて自治体が実施することになっているので、出来るだけ支援したい」と、まるで関電は関係がないような発言で失笑を買いました。

関電の真意は市民団体への回答として「…(政府が)法律として決めたので変えることは出来ない。それで当社が避難計画に関して何も関わらないというつもりはない。例えば自治体から放射線を測るための資機材が足りないとか、輸送のための手段が足りないから何とかしてくれ等という話があれば当社としては、バスとか、測定器をお貸するという約束はしている。一番問題になるのは、事業者はプラントで事故を起こしているので、事故の収束を行わないといけない。避難に人員を割きすぎるあまり、事故収束がおろそかになっては本末転倒になる。その一方で事故収束に直接かかわらない人間については、自治体から人を出してくれという話があれば協力する」と述べているように、高慢な姿勢をあけすけにしています。

「電力不足に」との理屈も破綻


なお、原発を再稼働しないと電力が不足するとの理屈も破綻しています。2014年夏の電力ピークも全国の原発停止の中で乗り越えられます。自然エネルギーの爆発的普及と市民社会の省エネ努力の効果、全国的電力融通、自家用発電所の最大利用、ピークカットのため大口電力との緊急協定の実施などがあるからです。

(3回連載・寄稿)

(2014年8月3日付「兵庫民報」掲載)

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