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2014年7月6日日曜日

関西電力株主総会レポート

安倍政権たのみの傲慢さの一方で、世論の高まりに余裕なくす

速水二郎(電力兵庫の会)

原発再稼働に固執、高姿勢・すりかえ答弁に終始


会場前での株主への宣伝

ポートアイランド・ワールド記念ホールで、関電の第90回株主総会が開かれ2000人席にもかかわらず816人の参加で、一般株主の離反が目立つ総会となりました。今年は、いま関電に立ち塞がる3つの壁をどう乗り越えるのかが注目されていました。原発再稼働、再稼働できないときの電気料金値上げ、一般家庭までの電力自由化です。ところが開会と同時に役員総起立で頭を下げたのは、株配当金ゼロへのお詫びと今夏の節電のお願いでした。

引き続く営業報告や対処すべき課題の説明に移ると、原発推進に全力上げる強行姿勢ばかりが目立ちました。昨年の総会では供給電源を原発を含む「ベストミックス」論で主張していましたが、今年は安倍政権の「原発回帰のエネルギー基本計画」を持ち上げ、原発を「重要なベースロード電源」とする立場を鮮明にしました。再稼働は世界最高水準めざす対策を規制委の指導でやっているので早く運転したいと言い続けました。

さらに幾つかの答弁で高姿勢が目立ちました。

「世界最高水準」問題の質問で、欧州原発の原子炉が2重構造でメルトダウン防止構造になっていると指摘されても「関電炉は冷却水スプレーで底に水が貯留できるようになっている」ので何ら変わらないと答えました。

万が一、福島事故規模が起きたとき30km圏の住民避難はどうするのかの質問には、国が決めて自治体が実施することになっているので「できるだけ支援したい」と関電は関係がないといわんばかりの唖然とするような答弁でした。

福島事故で避難している16万人のうち、関電管内に来ている母子家庭などへ同じ電力会社としての社会的責任として賠償相談の窓口くらいは造るべきだとの意見に対してはCSRの説明だけなので「まともに答えろ」の声も飛び交いました。

再稼働によって使用済み核燃料の中間貯蔵施設がさらに必要となる事態だがどうするのかの質問には、原発立地の福井県以外の「電力消費で恩恵を受けている」地域の皆さんにお願いのため全社1丸となって取り組んでいると答えました。

また、規制委の新基準適合へ1071億円円もの費用をかけ今後さらに膨らむ問題など原発固執はいっそう経営困難になるはずだと指摘されても原発は重要電源との見解は譲りません。「福井地裁判決敗訴は極めて遺憾だ、控訴審で1層頑張る」と答弁し、規制委員長が判決直後に「司法にとらわれない」といった姿勢と同じと述べました。

自然エネルギーへの転換など株主提案を数の力で否決


空席が目立つ会場

かたくなな原発推進固執の関電経営者に対し、「エネルギー未来を考える市民株主と仲間の会(市民株主の会)」「脱原発へ!関電株主行動の会」「大阪市」「京都市」は、25に及ぶ今後の改善議案を提案しました。多少違いはあるものの、5月21日に出された大飯原発再稼働差し止め福井地裁判決の内容を引用しながら提案や討論を数時間続けました。

大阪市は第1位株主、神戸市は第3位の株主です。長らく株主総会には無縁でしたが、福島原発事故以降総会に出席するようになり提案もするようになりました。今年も橋下市長の「独演」が中心かのようなTV報道がありましたが、京都市長、神戸市長もふくめ「脱原発と再生可能エネルギーへの転換」は共通でした。ただ、安全が確認できれば必要最小限の再稼働は認めるとの立場でした。

「市民株主の会」は、原発から自然エネルギーへの転換、地球環境保全、自由化されてもライフライン維持発展、消費者と従業員の声による民主的な運営などを、関電の定款前文として新たにかかげ、社内外に宣言するよう求めました。毎年、多くの株主から建設的な提案があるにもかかわらず杜撰な議事録に終始してきたことを批判しました。今年も梅雨に入っても異常気象が続く中、1日でも早く温暖化ガスを削減し、温暖化対策でも原発から再生可能エネルギー・地域分散型への転換を求めました。365日24時間、電力の安定供給のために働くグループ従業員への労働条件切り下げに反対する意見も述べました。

*

しかし関電株主総会は、関電側提案への賛成討論は全くゼロにも関わらず、財界や動員株主の数の力で、25議案に及ぶ今後の建設的な改善提案にことごとく反対し、否決しました。

全労連近畿ブロック・原発なくす兵庫の会などのビラに株主注目


原発の是非をめぐる重要な関電株主総会だけに、多くの人々が駆けつけました。「市民株主の会」「原発ゼロの会・大阪」などのチラシを総会参加者へ配布する行動は大変です。なぜなら、ポートライナー市民広場駅から会場まで、関電は警察と相談し1定の通路を確保して「案内」する措置を今年も行いました。ビラ・マイク禁止の大型立て看板を立て、ハンドマイクでしゃべると関電社員が取り巻いて中止させ、いざこざがあるとすぐ県警が出動するという異常な状況でした。

こうした中、全労連近畿ブロック、「原発をなくす兵庫の会」「原発ゼロ・大阪」の合計84名の皆さんが早朝から配布に参加されました。株主との対話や、立ち止まっての解説も含め、共同の力は大きく約600部が届けられました。会場内には発言者や傍聴者も30名以上が入り、討論を激励していました。一般参加の方々が長時間チラシを隅々まで読んでいる姿が多く見られました。

傍聴した「原発をなくす兵庫の会」の代表は、前々回参加の際に感じたこととの違いを次のように述べています。

「2年前は鉄面皮、何を言ってもガードを堅く、必死の守りという姿勢だった。だが今回は、〝原発なくせ〟の圧倒的多数である国民との関係で余裕がなく、しかし安倍政権がしっかり支えていることを頼りにした〝傲ごう慢まんさ〟がないまぜになっている」「関電役員たちは『お客さまと社会の役に立つ、これが当社の理念』と言うが、『いつ自分と子どもたち孫たちの命が奪われるかもしれない』という恐れ・不安を抱きながら、独占ゆえに仕方なく電気を関電から買わされている客とのずれを認識しない。それは人間の形をした強欲資本主義の造形物のようにみえる」と語りました。

(2014年7月6日付「兵庫民報」掲載)

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