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2014年6月22日日曜日

大江健三郎とアイルランド文学そして「九条の会」

文化後援会「文化を語る会」で風呂本名誉教授が解明

講演する風呂本氏

文化の各分野について互いに学び合うために、日本共産党兵庫県文化後援会は六月十五日、二回目の「文化を語る会」を開催、風呂本武敏元神戸大学教授が「大江健三郎とアイルランド文学―『燃え上がる緑の木』を中心に」をテーマに講演を行いました。

風呂本氏は最初に、戦後、英語が「解禁」されるなかでイギリスの詩人、T・Sエリオットを中心にした「現代詩」が大きな影響を持ったことを紹介しました。「現代詩」というのは第一次大戦後の荒廃とした社会を直視し、これに立ち向かおうとする文学運動のことで、それが第二次大戦後の日本の知識人に影響を与えました。

大江氏はフランス文学出身ですが、こうした世代の一人として「現代詩」についても深く研究し、とりわけアイルランドの詩人イエーツ(一九二三年ノーベル文学賞受賞)に傾倒して作品を書き、その代表作が『燃え上がる緑の木』です。

風呂本氏はこの作品を紹介しながら、大江が現代を生きる人々の苦しみが宗教的に解決できるのだろうか、という問題を提起しながらそれには明快な解答を与えず、自身はいま「九条の会」に力を注いでいることを紹介しました。

風呂本氏はまた、文学を学ぶと言うことは言葉の持つ意味、背景を正確に読み取ることが基本であり、表現者もまた言葉に敏感になり、読み手に感動を伝えることが大切ではないか、と指摘しました。

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文化後援会では、文化の持つ力、文化活動の意義を深く学びあうためにこの「会」を続けることにしており、次回は「書」テーマに学ぶことにしています。

(2014年6月22日付「兵庫民報」掲載)

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