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2014年6月15日日曜日

観感楽学

原爆症認定近畿訴訟で国は、五月九日判決の勝訴原告も控訴した。Kさん(伊丹市)は百人以上の被爆者の救護、看護に当り被爆。心筋梗塞で原爆症認定申請したが、国の認定基準の被爆距離、被曝線量などに合致しないと却下。申請から六年も経ち、原告は判決を待たずに死亡▼却下取消し判決を受けた夫人は、「主人が生きていたらどんなに喜んだろうか。国のやることは遅い。国の犠牲になってきたのに」と夫婦一緒に判決を聞けなかった悔しさを述べた。それを控訴で追い打ちとは▼残留放射線の「外部及び内部被曝での健康影響は重視する必要なし」が控訴理由だが、これまで三十三連勝をかさねた判決は「被爆者の被曝評価は、被爆状況、被爆後の行動、活動内容、被曝後に生じた症状等に照らし、内部被曝の可能性も含めて総合的に検討される必要がある」と国の原爆症認定却下処分の違法性を断罪▼この判決を認めるともっと幅広く、直面する福島第一原発事故被災者も含め、あらゆる放射線被害に影響する。国の控訴は、被爆者の身に生じた事実も、判決の集積も無視してでも、原発被害に影響が及ぶことを食いとめようとの不当な巻き返しでもある。(K)

(2014年6月15日付「兵庫民報」掲載)

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