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2014年6月8日日曜日

劇団昴『イノセント・ピープル』:神戸演劇鑑賞会7月例会

一九四五年八月、ヒロシマ・ナガサキに原爆が投下された。舞台はこの二発の原爆を作った五人のアメリカ人の男たちの六十五年間の生き様を描く。そこに、人間の強さや弱さを見事に表現しながら、その生き様を観客に鋭く問いかける。

アメリカ、ニューメキシコ州ロスアラモス。この地に原爆起爆装置開発研究所が置かれた。ブライアン(科学者)ジョン(高校教師)GM社員(キース)海兵隊将校(グレッグ)医師(カール)の五人が従事した。五人はそれぞれの専門の知識を生かし研究に没頭した。

一九四五年七月、トリニティで原爆実験が行われ大成功を収める。「この世のものとも思えなかった。目の前がみんな真っ白に燃え、爆風が吹いて、大きな雲がわき上がった」原爆の威力に、彼等は子供の様に興奮した。

この後彼等は一九六三年、ロスアラモス二十周年の式典で再会をする。そして、一九七六年、二〇〇三年、二〇一〇年と年齢を重ねながら再会を果たす。だが、原爆を作り、甚大な被害をもたらしたことの感情や、悔恨はみじんも、彼等の身からは出てこない。家族に変化が起き、ジョンが自殺をしたのに。

日本人がアメリカ人をえがく希有な舞台だが、そこに作者の人間を見つめる鋭い視点がある。

(小谷博子)


劇団昴公演『イノセント・ピープル』~原爆を作った男たちの65年~/作=畑澤聖悟、演出=黒岩亮、出演=遠藤純一、要田禎子ほか/①7月3日(木)18時30分②4日(金)18時30分③5日(土)13時30分/神戸文化ホール中ホール/会員制(入会時に入会金千円と月会費2カ月前納)、月会費3千5百円(大学生2千円、中高生千円)/Tel. 078・222・8651、Fax078・222・8653

(2014年6月8日付「兵庫民報」掲載)

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