「どうなるの? 県立こども病院学習会」が五月十七日、兵庫県私学会館大ホールで開かれました。主催したのは県立こども病院のポーアイ移転計画を撤回させ周産期医療の拡充を求める会(こども病院連絡会)。
県民・医療団体の反対のなか、兵庫県は昨年の十一月、ポートアイランドで起工式を強行、二〇一五年度中の竣工をめざし建設を進めています。しかし、通院患者への説明も不十分。「どうなるの?」という不安の声も聞こえるなか、こども病院連絡会は、「移転反対」の趣旨を貫きつつも、新たな運動を構築しようと開いた学習会。六十人が参加しました。
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最初に、南海トラフ巨大地震の津波浸水想定について、県防災課の飯塚副課長からの説明を聞きました。飯塚氏は、県防災会議地震災害対策専門委員会の資料を示し、モーメントマグニチュード九・一の地震を想定し、津波の大きさはL2(最大クラス=神戸で三・九メートル)となること、揺れは阪神・淡路大震災では十三秒であったが、三分継続することなどを想定していると説明しました。
次いで、災害地質学が専門の田結庄良昭神戸大学名誉教授が、津波浸水想定の概要と問題点について講演しました。
田結庄氏は、兵庫県の想定では、国の想定に比べ浸水面積が防潮堤の沈下などで二・六倍、ポートアイランドまでの進入路となる旧市街地の浸水深が二メートルになると指摘しました。
県立こども病院が移転するポートアイランドについて、県が「港湾施設や道路は浸水するが、内陸部の住宅地には浸水しない」としているのに対し、阪神・淡路大震災の時の護岸沈下の状況を検討した結果、護岸の沈下などでⅠ期の東西の護岸から浸水すると解明。さらに、液状化、津波火災など問題も指摘しました。
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ねりき恵子県議は、四月にこども病院視察を視察した際、新院長が小児がん拠点病院の指定を受けていると説明。当初、県当局がポートアイランドへの移転のメリットとして総合病院に隣接することを強調していたことと食い違っていることを明らかにしました。
森本真神戸市議は、神戸市が進めている医療産業都市の問題点について報告しました。
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連絡会からは、患者・家族アンケートの中間結果が報告されました。県外四通を含め、県内の広範囲から寄せられた、二百五通の回答では、「移転の説明を受けた」人は、一二・八%、「納得した」人はそのうち一割に過ぎず、「不安がある」人が八三・九%にのぼり、県と病院の説明責任が大きな問題だと分かりました。須磨区の跡地利用については「こども病院の分院希望」が五七%、「医療機関設置」が二二%となっていることなどが明らかにされました。
最後に、連絡会として移転反対を貫きながら、アンケートなどの意見を集約・分析し、患者・利用者の不安の軽減に向け、運動を強化することと、移転構想の段階から反対を表明している県市医師会などの医療団体とともに、医療特区構想・医療の営利化などの問題での共同を検討することなどが、説明されました。
(2014年5月25日付「兵庫民報」掲載)
