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2014年4月13日日曜日

観感楽学

春風が気持ちよく感じる季節、一人のフィギュアスケーターの演技に引き込まれました。ソチ五輪で金メダルを獲得し、その一カ月後の世界選手権で、金メダルに輝いた羽生結弦選手の演技です▼フリープログラムで演じた「ロミオとジュリエット」には、彼の特別の思い入れがあります。地元仙台で東日本大震災を経験したシーズンに演じていた演目です。彼自身、被災後は自宅に住めず、家族と避難所生活を経験し、練習場所を求めて各地を転々としました。言葉に出来ないほどの無力感の中、スケートをあきらめかけた彼の心を動かしたのは、同じ被災地である神戸でのチャリティーショーでの観客の声援だったと言います▼難易度の高いジャンプや技術はもちろんですが、彼が様々な場所で口にしている「自分のスケートを通して一生懸命な姿を見てもらい、それが少しでも多くの人に勇気を与えられるものになれば」という思いがスケートに表れ、観衆の胸をうっています▼また、色々な国の選手が全力で演技をし、心からの声援を送るスポーツを通して、国の隔たりなく感動し、つながる素晴らしさに、未来を切り開く力を感じました。(Y)

(2014年4月13日付「兵庫民報」掲載)

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